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2021.06.09

腰痛気にする人ほど「痛みを感じやすい」悪循環|腰痛をうまく付き合っていくためのメンタル術


腰痛があるとついその痛みに集中しまいませんか?それが痛みを際立たせている可能性があります(写真:kokouu/iStock)

腰痛があるとついその痛みに集中しまいませんか?それが痛みを際立たせている可能性があります(写真:kokouu/iStock)

日本の国民病とも言われる「腰痛」。が、一口の腰痛と言ってもその理由は実にさまざまで、素人判断や間違った判断が命にかかわることもあり、痛みの原因をきちんと突き止めることが重要だ。本稿では、池谷医院院長の池谷敏郎氏著『腰痛難民 その痛みは、本当にただの腰痛なのか』から、「痛い」ということに集中すると痛みが増すような気がする脳と腰痛の関係性について紹介します。

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腰は意識すると痛くなる

ところで、今、腰の痛みはどうですか?腰に意識を集中していると、さっきまでは痛みを感じていなかった人も、じんわりと痛いような気がしてきませんか。もともと腰痛を感じていた人は、さらに痛みが強まったような気がしないでしょうか。

脳というのは不思議なもので、「痛い、痛い」と思って痛みに集中すればするほど、より痛みを感じやすくなります。それなのに、腰痛が長引いている人は、腰痛が最重要事項になってしまって、朝起きたら真っ先に「腰痛は大丈夫かな?」と考えるような生活になりがちです。

卵が先か、鶏が先かという話で、腰が痛いから腰のことを気にしてしまうのだと思いますが、気にするから痛くなる、気にするから痛みが強くなるという面もあるのです。このことは、外来で患者さんにもよく伝えています。その時に、私がよく患者さんに尋ねる質問があります。

「耳鳴りを気にしたことがありますか?」というものです。そうすると、ほとんどの患者さんは「耳鳴りはあんまり気にしない」とおっしゃいます。

「今日家に帰ったら、耳鳴りがしないか聞いてみてください。シーンとした部屋で耳鳴りに集中してみたら、きっとピーッと音がしていますから。でも、あなたは今まで1回も耳鳴りで悩んだことがないのでしょう? それは、あなたが耳鳴りを聞こうとしていないから。いつも聞こえているのに、聞いていないから気にならないんです。腰痛も、楽しいことや面白いことをしている間は、そんなに気にならないんじゃないですか?」

こう問いかけると、みなさん思い当たる節があるようで、「たしかにそうですね」と納得してくださいます。

実は、私自身も、30代半ば頃の腰痛時代に患った坐骨神経痛の影響で、片脚にしびれが残っています。ふだんはしびれを意識することはありませんが、患者さんと痛みやしびれの話をしていると、ふと思い出し、またピリッと感じはじめるのです。そんな自分自身の話をすることもあります。

「私も、子どもが小さかった頃に子どもを抱っこしていたら腰を傷めちゃって、今でもしびれが残っているんですよ。さっきまでは全然平気だったのに、こんな話をしていたら、私も脚がしびれてきちゃいました。

でも、ゴルフもしますし、運動もしますし、ふだんはしびれのことは気にしないようにして楽しんでいるんですよ。〇〇さんも、家にきれいな花を飾ったり、好きな音楽を聴いたり、面白いテレビ番組を見たりしてみたらどうでしょう? 腰痛のことばかり考えないようにしてくださいね」。腰痛に悩む患者さんには、このようにアドバイスしています。

好きなことをしている時は気にならない

脳が痛みを感じると、同時にドーパミンシステムという痛みを抑える仕組みも働きます。ストレスや不安、うつを抱えていると、この仕組みが働かなくなり、痛みが長引きやすくなったり、痛みを強く感じやすくなったりしますが、これの逆で、楽しい気分でいる時には、ドーパミンシステムがよく働きます。そのため、好きなこと、楽しいことをしている時には、痛みを感じにくいと考えられます。

腰痛が起きやすいシチュエーションと言えば、天気の変化が痛みを悪化させるという話もあります。昔から、「雨が降ると古傷が痛む」とよく言われます。「膝が痛むから明日は雨が降るね」なんて、翌日の天気を当てられるおばあちゃんもいます。

天気の変化によって悪化する痛みのことを「天気痛」と呼びます。とくに、天気が崩れると慢性の痛みが悪化すると言われています。

なぜ、天気の変化が痛みを悪化させることがあるのかと言うと、これははっきりと証明されているわけではありませんが、気圧が下がると交感神経が興奮し、血管が収縮して末端の血流が悪くなり、体内の組織が酸欠状態になって痛みを引き起こす物質が発生しやすくなる、と説明されることがあります。

また、季節の変わり目に体調を崩しやすいと感じている人は多いと思いますが、季節の変わり目は気圧の変動や寒暖差が大きく、自律神経が乱れやすいとも言われています。

天気と痛みの関連性はまだ仮説段階ではありますが、たとえば、こんな研究結果も出ています。京都大学が行なった研究で、関節リウマチの患者さんの延べ2万件を超える臨床データと気象庁が公表している気象データとの相関を解析したところ、気圧が低いほど関節の腫れや痛みが悪化することがわかったのです。この研究では、3日前の気圧がもっとも関係していました。

腰痛が天気のせいの可能性も

慢性的な腰痛も、同じことが考えられます。雨の日に腰が痛くなったり、天気が崩れると痛みが増したりしませんか。これまでを振り返ってそうした傾向があれば、天気の変化によって痛みの感度が上がりやすいのかもしれません。

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でも、「天気のせい」とわかるだけでも、ちょっと安心しませんか。そして、天気が崩れる痛みが増しやすいとわかったなら、対処することができます。

天気予報とともに天気痛の予報も教えてくれるウェブサイトやスマートフォン向けアプリもあります。そうしたツールも活用しつつ、天気が崩れそうな時、気圧が下がりそうな時には、こまめに体を動かして血流を良くする、好きな音楽を聴いてリラックスするなど、前向きな対策をとりましょう。

「明日は天気が悪くなるから、腰が痛くなるにちがいない」などと後ろ向きに捉えるのではなく、天気の影響を受けても大丈夫なように前もって「体を温めておこう」「リラックスするようにしよう」などと準備ができる、と前向きに捉えることが大切です。

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提供元:腰痛気にする人ほど「痛みを感じやすい」悪循環|東洋経済オンライン

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