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2021.06.01

深田恭子の適応障害が決して他人事ではない理由|ビジネスパーソンも気をつけたい3種の症状


大人気女優の芸能活動休止に驚きが広がっています(写真:アフロ)

大人気女優の芸能活動休止に驚きが広がっています(写真:アフロ)

5月26日、女優・深田恭子さんの芸能活動休止を所属事務所が発表し、日本中の人々に衝撃を与えました。7月スタートの連ドラ出演が決まり、「クランクイン直前での降板」というタイミングが事の深刻さを物語っています。

所属事務所の文書には、「私ども所属の女優 深田恭子ですが、昨年春ごろから体調を崩しがちとなり、今月に入り医師より『適応障害』と診断されました。これにより当面の間 治療を優先し、お仕事をお休みさせていただきます」と書かれていました。

やはり人々の注目が集まったのは、医師から診断されたという「適応障害」。適応障害とは、何らかのストレスが原因で心身や行動面に症状が表れ、日々の生活が困難になる状態のこと。不眠、頭痛、腹痛、めまい、倦怠感、気力減退、食欲不振などの身体的なもの、極度の不安や焦り、集中力低下、感情の高ぶり、緊張による多汗や震えなどの情緒的なもの、無断欠勤、大幅な遅刻、過食や過飲、破壊、ギャンブル依存などの行動的なものという主に3種の症状があり、個人差があります。

うつ病とは異なり、ストレスの原因がはっきりしているため、それを取り除くことで症状の改善につながる一方、うまくいかなければ慢性化して苦しみが長期化する怖いもの。実際、人間関係や生き方のコンサルをしている私のもとにも、適応障害の診断を受けて苦しみ続ける人からの相談があるなど、決してビジネスパーソンにとって他人事ではないのです。

芸能人は適応障害になりやすいのか

深田さんに限らず、「芸能人は適応障害になりやすい」と言われるいくつかの背景があります。まず仕事では、内容・場所・人間関係などが変わりやすいうえに、「多くの人々が関わるため緊張感が高く、個人のストレスが軽減されないまま長期化しやすい」こと。次にプライベートでも、人々の注目を集め、記者から追いかけられるのがつらいところです。

私が知る限り、深田さんのように医師の診断を受けて、所属事務所が公表できる人ばかりではありません。主に俳優やアーティストの中には適応障害と公表しないだけで、「充電」「インプット」「留学」「リフレッシュ」「創作活動」などの言葉を掲げて休みを取り、心身の回復に努める人がいると何度か聞いたことがあります。前述したように、適応障害はストレスの原因を取り除けば症状が改善されることが多いため、結果的に公表せずに済むのでしょう。

たとえば、5月19日放送の「突然ですが占ってもいいですか?」(フジテレビ系)に出演した山田孝之さんは、適応障害とは言ってないものの、「20代前半のころ、4年くらいうつ状態だった」ことを明かしていました。当時の山田さんは、映画『電車男』『手紙』、ドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」「H2~君といた日々」「白夜行」「タイヨウのうた」(いずれもTBS系)などで主演を努めていたころ。環境変化の大きさや心身への負担は、われわれの想像を超えるものがあったのではないでしょうか。

深田さんや山田さんとの関連性はまったくありませんが、昨年は芸能人の自死に関する悲しいニュースが立て続けに報じられました。今となっては事実こそわからないものの、関係者、家族、友人ら近しい人々にとっては悔やみきれない結果だけに、現在の芸能界は取り越し苦労に終わることを承知で、慎重かつ手厚い対応が求められているのです。

「環境に適応できない弱い人」ではない

適応障害という文字の印象から、「環境に適応できないような弱い人がかかるもの」と思われがちですが、そうとは言えません。私のコンサル経験上、適応障害の診断を受けた相談者さんたちは、おおむね「しっかりしている」「頑張り屋さん」「負けず嫌い」「親分肌や姉御肌」などのいわゆる“できる人”“いい人”でした。

深田さんがそうであるように、決して「気持ちが弱い」「逃げている」「サボっている」のではなく、向き合おうと頑張った結果であることも多いのです。むしろ、オフィスで同僚や部下などに、「あいつは気持ちが弱すぎる」「逃げるな」「サボるな」などと言っている人が、相手の適応障害を引き起こしている可能性があるだけに気をつけたほうがいいでしょう。

また、適応障害の落とし穴は、誰が見てもネガティブな出来事に対するストレスだけでなく、昇進・栄転・受賞、恋愛・結婚・出産、新居への引っ越しなどのポジティブな出来事がきっかけになるケースも多いこと。これらポジティブな出来事によって心身や行動のペースが変わり、「実は想像以上の緊張が生まれていた」ことが適応障害につながってしまうことがあるのです。

だからこそ大切なのは、自分に対しても、身近な人に対しても、「大丈夫」「休まなくていいだろう」と決めつけず、いい意味で「大丈夫?」「休んでみる?」などと問いかけてみること。「ストレスなんてあるはずがない」「まさか苦しんでいるなんて思わなかった」と決めつけてケアが遅れないようにしたいところです。

ビジネスパーソンの中にも、すでに適応障害の症状が出ている人は少なくないでしょう。少なからずそんな自覚のある人は、休暇を取る、意図的に気分転換のリフレッシュタイムを設定する、不安を吐き出し合える相手を持つ、仕事外の人間関係を複数作って視野を広げておくなど、日ごろの予防策が必要です。さらにそれでも、「つらい」と感じたときは早めに医療機関を受診したほうがいいでしょう。

約23年間トップを走り続ける難しさ

その意味で深田さんが、医師の診断を受け、所属事務所を通じて世間に公表し、ストレスの原因を取り除き、心身を休めることができるのは幸いでした。

深田さんは15歳のときに出演した1998年の「神様、もう少しだけ」(フジテレビ系)でヒロインに抜擢されて以降、約23年間もの長期にわたって主演クラスの女優として出演作を重ねてきました。しかも、求められるのは女優としての演技だけではなかったのです。

「美しさや人気を維持しながら、第一線を走り続けなければいけない」「周囲の注目を集めているため、つねに笑顔を振りまき、気の休まる瞬間がほとんどない」。そんな長年の奮闘に、コロナ禍の心労や労力が加わっているのですから、適応障害かどうかにかかわらず、ゆっくり休むくらいがちょうどよかったのではないでしょうか。

深田さんの頑張りを見続けてきた世間の人々の視線は優しく、ネット上にはこれまでの感謝や応援の声が相次いでいます。「復帰は秋ごろか」などの先走った報道もありますが、「適応障害を改善する目安」と言われる半年という期間にとらわれず、「自分のことだけを考えて、心身が完全に回復するまで休んでほしい」と願わずにはいられません。

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提供元:深田恭子の適応障害が決して他人事ではない理由|東洋経済オンライン

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