2021.05.10
管理栄養士が検証!「○○が含まれる緑茶」のダイエット効果とは?
近年、“脂肪の吸収を抑えて排出を増加させる”“体脂肪を減らすのを助ける”などと記載された緑茶飲料を見かける機会が多いと思います。
しかし、特保や機能性表示食品として販売されている緑茶飲料が、なぜダイエットに良いと言われていて、実際にダイエット効果が期待できるのか、はっきりとは掴めていない方も多いのではないでしょうか。そこで、今回は”緑茶ダイエット”の効果や緑茶に含まれる機能性成分について、解説していきたいと思います。
ダイエット効果が期待されている緑茶の機能性成分とは?
緑茶には、カテキン、カフェイン、テアニン、ビタミンなど、さまざまな成分が含まれています。そのなかでもダイエットをサポートする成分として注目を集めているのが、緑茶の渋味の成分である“カテキン”です。特保や機能性表示食品として販売されている緑茶飲料には、この“カテキン”が強化されていることが多いのですが、この“カテキン“にはどのような働きがあるのか、さらに詳しくみていきましょう[1]。
“カテキン”には、どんな働きがあるの?
カテキンは、植物の色素や苦味・渋味の成分であるポリフェノールの一種で、活性酸素を取り除き、体内の酸化を抑えてくれる抗酸化作用や抗菌・殺菌作用、抗ウイルス作用、コレステロール低下作用、体脂肪低減作用、抗アレルギー作用など、さまざまな作用があることが明らかになっています。
しかし、カテキンが強化された緑茶を飲むことは、本当にダイエットに効果があるのでしょうか。実際に取り入れるなら、どのような商品を選び、どのくらい飲めばいいのか、“緑茶ダイエット”の詳細について確認していきましょう[2-4]。
本当に“緑茶ダイエット“は、効果があるの?
緑茶に含まれるカテキンのダイエット効果を検証するために、これまでに国内外でさまざまな研究が行われています。肥満(BMI25以上)の成人を対象に、緑茶の体重減少に対する効果を検討した研究の結果がまとめられたレビュー論文によると、日本で行われた研究では、体重減少に効果が期待できそうな結果が出ていても、海外で行われた研究では、体重減少効果は期待できないという、異なる結果が報告されているようです。
このレビュー論文に含まれる研究では、1日あたり270〜645mgのカテキンを含む緑茶を12週間以上飲み続けた際の体重への影響が検証されました。日本の研究では約-3.5〜-0.2kgの体重減少が見られましたが、海外の研究では約-0.04kgと体重減少がわずかであったことが報告されています。
また、研究によって結果がばらついていることから、“緑茶ダイエット”が体重減少に効果があると結論付けるには、まだ十分な根拠が得られていません。よって、残念ながら、ダイエット効果の有無や、どのくらいの量を摂れば良いのかについて、現時点では、はっきりとお伝えすることはできません[5]。
緑茶飲料に表示されている“特保”と“機能性食品”の違いとは?
カテキンが強化されている緑茶飲料のパッケージを見ると、“脂肪の吸収を抑えて排出を増加させる”などの効果についての表示と一緒に“特定保険用食品” “機能性表示食品”のどちらかが表示されていることがあります。この2つの違い、皆さんはきちんと理解できていますか?
この2つの食品の大きな違いは、商品ごとに科学的根拠について国の審査や許可があるかどうかになります。
まず“特定保健用食品”は、商品ごとに国が有効性・安全性を審査し、許可が出た商品にのみ表示が許されています。一方、“機能性表示食品”は、商品ごとに個別の審査はされていません。有効性・安全性がすでに明らかになっている機能性成分が添加された食品において、その機能性成分がもつ保健機能(体への働き)を表示することができます。
このことから、商品ごとにその効果について科学的に検証が行われ、国の審査を経て販売される“特定保健用食品”の方が、信憑性は高いものだと考えられます[6]。
これらの表示は、緑茶に限らず食品を選ぶときの参考にしてくださいね。
ダイエットの基本を忘れずに
今回は、緑茶ダイエットについて取り上げてみました。ダイエット効果があるかどうか、まだはっきりとしない点が多くはありますが、体重が気になる人にとっては役立つ可能性があると考えられます。
しかしながら、カテキンの効果を期待しすぎて、バランスを無視した食事をしてよいというわけではありません。食事のバランスを意識しないと、かえって健康に対して悪影響を与えてしまうことにつながりかねません。ダイエットにおいて、バランスの良い食事と適度な運動を心がけることは忘れずに意識したいところです。
また、体重減少のためには、食事から摂る過剰なカロリーを減らすことが重要です。普段からカロリーが高い炭酸飲料やジュース、乳飲料など飲んでいる方は、まずは飲み物を緑茶に変えることが摂取カロリーを減らすことに大いに役立つと考えられます。
ダイエットの基本を忘れずに、日々の食生活に緑茶を上手に取り入れられたら良いですね。
【参考文献】(すべて2021年3月19日閲覧)
[6]厚生労働省『e-ヘルスネット|特保(特定保健用食品)とは?』(2019年)
【プロフィール】管理栄養士 一ノ木菜摘
短大を卒業後、精神科病院で調理、給食管理などの栄養士業務を経験し、管理栄養士の資格を取得。精神科病院や地方の総合病院で栄養管理などの管理栄養士業務を経験するが、働き方に悩み、管理栄養士の仕事から離れる。その後、人間関係などに悩み食べることに苦しんでいる方を救ったことをきっかけに、摂食障害やダイエットに悩む方に向けてメンタルや食事の両面でサポートする活動をしている。
幸せ食ライフセッション|管理栄養士 一ノ木菜摘のブログ ※外部サイトに遷移します
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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