2021.04.26
管理栄養士が解説!“お酢ダイエット”の本当の効果と上手な活用法
“酢納豆”が流行るなど、お酢はダイエットに良いというイメージが広がっているようです。実際のところ、お酢を摂ることで本当に痩せるのでしょうか?今回は、お酢に関する正しい知識と、ダイエットするうえで上手に取り入れる方法をご紹介していきます。
“お酢ダイエット”とは?
メディアでたびたび取り上げられる“お酢ダイエット”。ダイエットに興味がある方なら、一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、具体的にどのようなダイエット法なのでしょうか。
一般的には、大さじ約1〜2杯のお酢を料理や飲み物に加えて朝晩の食事中か食後に摂るのが理想的な方法のようです。また、“酢納豆”などといったお酢以外の食品と組み合せることで相乗効果を期待する方法も紹介されています。
お酢ダイエットの紹介を見ると、“大さじ1杯だけ”、“お酢を飲むだけ“、”手軽”といったキーワードを目にしますが、本当にお酢をとるだけで痩せられるのでしょうか。
お酢はダイエットに効果があるって本当?
実際に、お酢のダイエット効果を検証するために研究が行われているのでご紹介します。日本で行われたBMI25〜30の肥満の成人155名を対象とした臨床試験では、15mlもしくは30mlのりんご酢が含まれた500mlの飲料を朝食後と夕食後の2回に分けて12週間摂ったグループは、摂らなかったグループに比べて体重や体脂肪が減ったという結果が得られました。この研究では、飲酒や激しい運動は禁止され、夜9時以降の食事を控え、食事記録を取るようにして指導されていました[1]。
この結果から、お酢は体重や体脂肪を減らす働きがあることが示唆されています。ただし、生活習慣や食事内容を考慮されたうえでの結果であることから、お酢を取り入れるだけではなく、食事内容や生活習慣を整える必要はあると考えられます。
また、このほかにもお酢のダイエット効果は検証されていますが、動物試験の研究が多く、人を対象にした質の高い研究がまだ少ないため、“お酢ダイエット”がダイエットに効果があると結論付ける十分な科学的根拠が得られていません。よって、ダイエット効果のあり・なしや、どのくらい量を取ればいいのかも、現時点でははっきりとお伝えすることはできません[2]。
“酢納豆”だけではない、お酢のおすすめの活用法
それでも、お酢が少しでもダイエットをサポートしてくれる可能性があるなら、試してみたいと思う人もいるのではないでしょうか。実際にお酢を意識して摂る場合、水などで薄めて飲む人が多いと思いますが、人によっては、同じ方法で摂るのは飽きてしまって続けられなくなるケースもあるかと思います。以前流行した“酢納豆”についても、お酢そのものと同様、現時点でダイエット効果に関して十分な科学的根拠がないため、“酢納豆”を食べると痩せるとは言い切れませんが、日本人の食生活のなかに馴染みやすく、続けやすいというメリットがある点が流行の理由なのかもしれません。
お酢を毎日の食生活にとり入れる方法を複数知っておくと、飽きずに続けやすいと思いますので、“酢納豆”以外でおすすめの活用法を2つご紹介します。
(1)もずく酢
もずくは、カロリーが低くダイエット中にぴったりの食品です。さらに食物繊維が豊富に含まれているので腸内環境を整え、便秘改善に役立ちます。そのままではお酢独特の酸っぱさが気になる方は、スープに入れるとまろやかになり、食べやすくなります。
(2)豆腐の黒酢あんかけ
豆腐もカロリーが低くダイエット中に役立つ食品です。豆腐に含まれるレシチンには脂質代謝を助ける働きが、オリゴ糖には腸内環境の改善を助ける働きが期待されています。また、加熱をすることで酸味がやわらぐので、酸っぱいのが苦手な人にもおすすめです[3-4]。
ダイエットは毎日の習慣から
今回は、“お酢ダイエット”について取り上げてみました。ダイエット効果があるかどうかは、現時点でははっきりとしない点が多くありますが、体脂肪や体重が気になる人にとっては役立つ可能性はゼロではないと考えられます。しかし前述の通り、お酢を摂るだけではなく、規則正しい生活習慣やバランスの良い食事をすることは意識していきたいところです。
どのようなダイエット方法でも、毎日の積み重ねが大切になってきます。毎日のちょっとした工夫や心がけが、ダイエット成功への近道かもしれません。自分に合った方法を見つけて、ダイエット生活を過ごしていただければと思います。
【参考文献】(すべて2021年3月27日閲覧)
[3]文部科学省、『日本食品標準成分表2020年版(八訂)全体版』 ※外部サイトに遷移します
[4]一般財団法人 全国豆腐連合会、『全豆連 豆腐の栄養と健康』
【プロフィール】管理栄養士 一ノ木菜摘
短大を卒業後、精神科病院で調理、給食管理などの栄養士業務を経験し、管理栄養士の資格を取得。精神科病院や地方の総合病院で栄養管理などの管理栄養士業務を経験するが、働き方に悩み、管理栄養士の仕事から離れる。その後、人間関係などに悩み食べることに苦しんでいる方を救ったことをきっかけに、摂食障害やダイエットに悩む方に向けてメンタルや食事の両面でサポートする活動をしている。
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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