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2021.05.07

「老後破産の危険度」がグッと増すパターン3つ|70歳以上の「平均」資産保有額は高いけれど…


老後のためにはどれくらい貯金をすればいいのでしょうか? いざとなったとき土地や家を売ればいいのでしょうか?(写真:【IWJ】Image Works Japan/PIXTA)

老後のためにはどれくらい貯金をすればいいのでしょうか? いざとなったとき土地や家を売ればいいのでしょうか?(写真:【IWJ】Image Works Japan/PIXTA)

老後は、今までなかった問題が次々と降りかかってきます。健康や家族に関してなどさまざまな心配事がありますが、やはり現実問題として心配なのは「お金」でしょう。
実際のところ、老後のためにはどれくらい貯金をすればいいのか? いざとなれば土地や家を売ればいいのか? 「老後問題解決コンサルタント」として多くの相談を受けてきた横手彰太氏に聞きました。

※本稿は『老後の年表 人生後半50年でいつ、何が起きるの…? で、私はどうすればいいの??』より一部抜粋・編集したものです。

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70歳以上の資産保有額は意外に少ない

70歳になると、仕事をしている人はほとんどいなくなります。多くの人が65歳からもらう年金収入をあてにした生活になります。体調も思ったほど悪くないため、高齢者という言葉にまだ慣れない年齢かもしれません。

ただ、これから一気に医療費と介護費がかかる嵐の前の静けさにすぎません。健康が失われると、お金も一気に失われるのです。

生活費が予定よりオーバーしていないか。増えるはずだった投資信託の残高を見るのが怖くなってはいないか。今まで家計を振り返ってこなかった人は、必ずこの時点で資産保有額をしっかりと把握しなくてはいけません。赤字家計を続けて、預貯金をどんどん取り崩し、気づいたら残高が100万円を切っている……。そんなことになってしまうと、生活保護に陥りかねません。

では、70歳以上の高齢者はおよそどれくらいの資産を持っているのでしょうか。調査結果によれば、70歳以上の平均資産保有額は1314万円です(2人以上世帯)。あくまでも平均値になりますので、この中には富裕層も含まれています。実際、中央値の資産額は460万円しかありません。

中央値とは「数値を小さい順に並べたときに、真ん中にくる値」のことで、今回の場合「資産額が460万円の家庭がボリュームゾーン」だとイメージしてもらってOKです。

しかも、この金額は現金預金だけではなく、有価証券や保険も入っているので、すぐに使えるお金はもっと少なくなってしまいます。

平均的な資産保有額だと10年で枯渇

気をつけなくてはいけないのが、定期預金や、投資信託、積み立て型の保険など、すぐには使えない財産である「半凍結資産」の存在です。普通預金であれば、キャッシュカードがあればすぐにおろして利用することができます。一方、半凍結資産は、解約や売却など手続きを幾つか踏むことではじめて利用することができるもの。さらにネックになるのが、投資信託は投資した当時より資産が目減りしている、保険は今解約すると損をする、定期預金であればあと何年経たないと利子がつかないというのもありうることです。

総務省「2019年家計調査報告(家計収支編)」によると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)の可処分所得は約21万円。一方で支出は約24万円になっているので、普通に生活していくだけでも毎月3万円、年間36万円の赤字。資産が仮に現金で460万円あったとしても、およそ12年程度で資産は枯渇します。

少しでもゆとりのある老後生活を送ろうとすると、毎月36万円の生活費が必要だといわれています。こうなると赤字額は毎月15万円にまで増大。3年も待たずに老後資金は枯渇します。

これだけの赤字を出す生活を送る人はなかなかいませんが、病気や介護が必要になったときには、毎月の赤字額が10万円以上になることは珍しくありません。そうなると、たとえ70歳時点で1000万円の現金があったとしても、10年も持たないのです。

「いや、自宅を売れば大丈夫!」と思っている人もいるかもしれません。自宅を売却して、コンパクトな家に移り住むという選択肢です。

残念ながらこれも簡単ではありません。あなたの家を売り出した場合、いったいいくらになるでしょうか。もしあなたが30歳のときに購入した戸建てであれば、築40年です。

建物の価値はほぼありません。売却価格は、ほぼ土地の価格となります。あなたが住んでいる所が「住みたい街」として人気がなければ、土地の価格も下がっている可能性が高いのです。

自宅を売却できたとしても、住む場所がありません。自分の子どもが住んでいるところに同居すれば問題は解決します。しかし、世の中の家族関係は複雑化しており、子どもの配偶者が喜んで同居に賛成してくれるとは思えません。

70歳を超えると雇ってもらえる職場は限られ、仮に働き口が見つかったとしても給料はあまり期待できる数字ではありません。赤字分を月々10万円のアルバイト収入で賄うことも考えられます。時給が1000円だとすると、毎日5時間×20日間で達成できます。

数字だけ見れば達成はそんなに難しくないようにも思えそうですが、心身ともに健康という条件がついてきます。また、70歳は老化が確実に進んでいて、現役時代とは比べものにならないくらいパフォーマンスが落ちています。働いて赤字分をすべて補うという選択肢は、現実的には難しいでしょう。

だからこそこのタイミングで、資産の棚卸をする必要があります。

老後破産の3大原因

そもそも老後は、現役時代と違って毎月の家計が赤字になりやすい構造になります。ここで、老後破産が起きやすい3つのパターンをご紹介します。ぜひ、自分の置かれた(ないし、置かれそうな)状況と照らし合わせて読み進めてください。

【パターン1】年金収入が少ない

年金は、現役時代の努力の結果です。どんなに稼ぎ続けていても、年金を納付していないと老後はもらうことができません。サラリーマンでも転職で、年金を払っていない期間がある人は多いもの(私も自営業時代は年金を納付していませんでした)。自営業だと、医師や弁護士という比較的高額所得となる職業でも、年金の受給額は少ないのです。

65歳での年金の平均受給額は14万7000円。元気なうちは働くことによって余裕がある生活を送れますが、貯金が300万円だけだとあっという間に底をつきます。老後は、働いて稼ぐ力が年々弱まるので、年金額が少ないことは破産するパターンとなる確率が高いのです。

年金を22万円もらう予定が、65歳時のまさかの熟年離婚によって年金も分配対象となり、月13万円で1人暮らしになってしまった事例もあります。

【パターン2】貯金が少ない

資産が、売却しても売れなかったり二束三文の自宅だけだったりする場合、貯金が少ないと老後破産をしやすくなります。年金収入が少なければ、貯金に頼るしかありません。そして、自宅以外の不動産はあるといっても、地方の土地で売却してもまとまったお金にならず、家賃収入を生まないものばかりといった人も少なくありません。いわば「土地持ち・金なし」です。

また、代々受け継いできた土地だから売れないという人もいますが、あなたが売れなければ、あなたが亡くなった後、その土地を相続した配偶者や子どもはますます売れません。地価は下がることはあっても、急に上がるなんて期待はしないほうがいいですから。

貯金が少ないと思った人は、まず財産の棚卸を行って換金できるものはないか確認しましょう。

財産の中でも換金ができるものであれば、貯金額に応じて随時売却しましょう。本当に困るのはあなたではなく、あなたの大切な配偶者や子どもです。

社会的孤立が老後破産に影響することも

【パターン3】社会的孤立

いざというときに頼る人がいないと、老後であれば大きなリスクになります。

高齢者は、ちょっとしたことで体調を崩しやすくなります。外出をしないと体力がいっそう落ち込みますし、栄養バランスのとれた食事をしないと不健康になります。病気がちになれば、医療費がかかり、介護費が発生することもあります。

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また、孤立していると、人と話すことが極端に減少。寂しさからか、オレオレ詐欺などに引っかかりやすくなります。

怪しい業者など資産の取り崩しに関係することは、子どもや配偶者と同居していれば、すぐお互いの異変に気づくことで確認ができます。しかし1人だと、なかなか気づきません。

今、高齢者の1人暮らしは急増中。過去35年間で男性は約10倍、女性は約6倍も増加したというデータもあります。1人暮らしをすると必ず老後破産となるわけではありません。でも相談する人がいないという社会的孤立が、老後破産に間接的なことでも大きく影響するのです。

このような老後破産を招かないためにも、問題を直視して、できるうちに対策を講じておくことが大切です。ぜひ、元気なうちにこれらの問題をクリアにしておきましょう。

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