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2021.04.12

まだ「スキルアップに囚われる人」の残念な未来|「ポジション思考」に転換すべき深い理由


「ポジション思考」に切り替えて、転職に成功しよう(写真:tomcat/PIXTA)

「ポジション思考」に切り替えて、転職に成功しよう(写真:tomcat/PIXTA)

世の中で転職を考えている人の中には、やみくもにスキルをつけてキャリアアップを狙っている人がいます。しかし、ただやみくもにスキルを身につけても、結局自分の市場価値は上がらす、望みどおりの転職ができないということになりかねません。

新時代にこのような「スキル思考」に代わる考え方となるのは「ポジション思考」です。ポジション思考とは、目指すポジション、すなわち役割を明確化して考えることです──。

『転職2.0』の著者であり、アメリカ・人材系ビジネスの最前線企業・リンクトイン日本代表の村上臣氏はそう言います。「キャリアのオピニオンリーダー」として活躍する同氏に「ポジション思考」とは何かを聞きました。

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我慢しながら働くことになる理由

世の中で転職を考えている人の中には、やみくもにスキルをつけてキャリアアップを狙っている人がいます。やる気だけを原動力に、とりあえず英会話スクールに通ってみたり、社会人大学・大学院に通ってみたりするようなパターンです。

もちろん英語を習得したり、MBAを取得したりすることには大きな意味があります。しかし、目的がなく行動するのは問題があります。わかりやすく極端な例を挙げれば、国内に閉じている業種・業界でのキャリアアップを狙う場合、英語ができてもあまり有利にはなりません。

ただやみくもにスキルを身につけても、結局自分の市場価値は上がらす、望みどおりの転職ができないということになりかねないのです。

そもそも、転職に際して、なぜ多くの人がスキル思考に執着しているのかというと、会社でやるべき仕事が不明瞭だからです。

総合職とは、平たく言えば「どんな仕事でも言われたことはやる」ということ。そこで「能力」とされるのは課題遂行能力、職務遂行能力であり、実態は漠然としています。

仕事の内容が漠然としていると、成果も判断しにくくなります。だから多くの会社では、年次や経歴の長さに応じて昇進や昇給が決定されているのです。

「君もそろそろ○年目だから、ここで課長になったほうがいいだろう」
「5人の部下を抱えて3年目になったから、もう1段ステップアップしていい頃合いだ」

このように、「大きな問題さえ起こさなければ、基本的にはキャリアアップできる」というスタンスで人事を行っています。そこには、根拠となるロジックがあまり存在しません。

「この役割で何年か仕事をすればスキルが身につく」と言われているだけで、「その仕事をするために必要なスキルは何か?」という中身は、いつまでも具体的には示されないのです。

高度成長期の日本では、終身雇用の約束が確実に履行されていたため、スキル思考でも順調にキャリアアップできました。

風向きが大きく変わったのは、1990年代の終わりから2000年代初頭にかけての就職氷河期の時代です。当時は、不況による上場企業の倒産が大きなニュースにもなり、会社側が日本型雇用を維持できなくなりつつあることが明らかとなってきました。

あれから20年近くが経過し、その間もだましだまし終身雇用の幻想を維持してきたわけですが、世界金融危機(2007〜2010年)と2020年のコロナショックによって、いよいよ会社の体力が消耗し、終身雇用の約束を果たすことが困難となってきました。

今、日立製作所などの一部の大企業を中心にジョブ型雇用への移行が行われているのは、まさにスキル思考からの脱却を象徴する出来事と言えます。

目指すポジションを明確化しないと生き残れない

転職2.0の時代に「スキル思考」に代わる考え方となるのは「ポジション思考」です。ポジション思考とは、目指すポジション、すなわち役割を明確化すること。

例えば、エンジニアであれば、PM(プロダクトマネジャー)、あるいはリードエンジニアが目指すポジションとなります。

ただし、ポジション=役職ではありません。

営業職であれば、大企業向け営業担当か中小向け営業担当かによってもポジションは異なりますし、新規営業と既存営業でもポジションは異なります。ポジションによって求められるスキルが異なるため、外資系企業では、ポジション別の採用を行っており、日本でも同様の会社が増えています。

要するに、求人票やジョブディスクリプション(職務記述書、職務の内容を明記した文書)に記載されている職務内容が1つのポジションであるということです。

多くの外資系企業では、マネジャーコースと専門職コース(IC:インディビジュアルコントリビューターと呼ばれます)へと、大きく2つのキャリアトラックに分かれるのが一般的です。

マネジャーはチームをマネージして成果を上げる役割を担っており、専門職はチーム内で自分の能力を発揮して貢献する役割を担っています。コースによって必要な学びも異なるため、30歳くらいになるとみんな真剣に目指すポジションを意識するようになります。

日本では、待遇を上げる手段として管理職があてがわれる傾向もあり、ポジションを目指すという意識はまだまだ希薄です。しかし、ジョブ型雇用が中心となるポスト終身雇用時代には、必然的にポジションを意識してキャリア形成をする人が増えるはずです。

市場価値向上のためのHOWを知る

重要なのは、自分が目標としているポジションに近づくという視点です。まずは目指すステップ・ポジションを想像する。そのうえで、現状の自分を振り返り、ギャップを知る。

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そのギャップを埋めるためには、どんな学びが必要なのかという順に考えるのです。

現状と目指すポジションとのギャップが見えれば、次のアクションが取りやすくなります。ギャップを埋めるために英語が必要であれば、積極的に英語を学べばよいでしょう。あるいはギャップから考えると、学びよりもつながりをつくるほうが先決だと気づくかもしれません。

つながりをつくる場合は、異業種交流会や各種の勉強会・セミナーに参加するといった方法があります。

いずれにせよ、場当たり的に行動している人ほど、何の根拠もないのに「これだけ行動しているのだから、必ず報われるはず」などと思い込みがちです。これは「努力すれば報われる」という価値観を教えている日本の教育のせいでもあります。しかし、本来は「正しい努力をすれば報われる」が正解です。努力の仕方を間違うと、物事は徒労に終わってしまうことを知っておきましょう。

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7割弱の社会人が「学ぶ習慣」がないという現実

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提供元:まだ「スキルアップに囚われる人」の残念な未来|東洋経済オンライン

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