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2021.02.22

コロナ後に来るべき人間や環境にやさしい社会|「参加と協働」が生きる社会へ変われるか


歴史の節目にはパンデミックが起因してきた。ポストコロナの世界はどうなるか(写真・metamorworks / PIXTA(ピクスタ)

歴史の節目にはパンデミックが起因してきた。ポストコロナの世界はどうなるか(写真・metamorworks / PIXTA(ピクスタ)

世界の歴史を見ると、ほぼ100年に1度大きく変わっている。もちろん、ここで100年周期説などというつもりはない。不思議にも100年に1度大きく時代は変わっているのだ。最初の時代の転機は、1815年のウィーン条約である。その次は、1919年のヴェルサイユ条約、そして最後は今回である。

歴史の転機にパンデミックが到来する

この3つの転機を見ると、皮肉なことだがすべてパンデミックの洗礼を受けている。1830年前後にヨーロッパは、コレラに襲われる。ヴェルサイユ条約のときは、まさにスペイン風邪真っただ中での会議であった。そして今回も、コロナウイルスによるパンデミック下にある。もちろんこれらのことは偶然ではない。コレラはヨーロッパが世界を支配し始めたことによってアジアから世界に蔓延したわけだし、スペイン風邪は20世紀を支配するアメリカが第1次世界大戦に参加したこととともにアメリカから世界に蔓延していったのである。今回は中国からだが、次の時代は中国が支配する前触れかもしれない。

資本主義が18世紀中頃のイギリスの産業革命をもって始まったとすれば、その最初の成果は、絶対王政の終焉であった。フランス革命からナポレオンに至る25年の革命は、フランスのみならずヨーロッパ中に自由、平等、博愛の意味を知らしめ、1815年のウィーン条約で資本主義の発展に最適な国民国家の枠組みを作り上げることになる。もちろん、条約自体はその反動としての王政復古であったが、それは国民国家への道を開いたともいえる内容を持っていた。

1919年のヴェルサイユ条約は、自由主義的資本主義と国民国家を徹底的に破壊した。第1次世界大戦から第2次世界大戦までの31年間は、大恐慌とファシズム、そしてソビエトの成立によって自由主義的資本主義を死に至らしめ、国家主義的社会主義と国家主義的資本主義をつくりあげた。

2021年の現在は、1989年に始まるといっていいだろう。国家主義的冷戦時代が終わり、国家を乗り越えるグローバルな社会が始まった年であり、それはソ連や東欧の国家主義的社会主義体制を破壊し、西欧においても国家主義から自由主義を生み出し、国家を越える国家連合組織を生み出し、国家をまたぐグローバルな企業をつくりあげていった。それはほぼ30年にわたる過程であった。

現在の変化を見ると、ある特徴的な事実に気づく。それはあらゆる政策が国家権力の独占ではなくなり、大衆に移管されていったことである。1960年代から始まる民衆の下からの運動は、人種差別、男女差別、権力者による支配などを粉砕し、国家権力を牛耳る大資本や権力政党の根幹を崩し始めた。

国家による民衆への福祉が不可能な時代に

これによって、冷戦構造の中で生き続けた国家主義的組織が危機を迎えることになる。ソ連や東欧では共産党独裁体制が機能不全に陥り、自壊せざるをえなくなったこと。そして、西欧においても国家主導による組織が機能不全に陥ることになったことである。

こうして、ソ連型の国家社会主義や、西欧の福祉国家型の資本主義が立ち行かなくなる。国家主導による経済成長がこうした社会を支える力であったのだが、民衆の意志の反映されない国家において次第に成長は鈍り、国家による民衆の福祉などできなくなったのである。

第1次世界大戦前の古典的自由主義に代わって新自由主義が登場するが、機動力という点、グローバルという点、短期的経済成長という点で効果を発揮した。しかし、バブル経済を創出し、リーマンショック以後は停滞したままである。しかも、この30年国家が担ってきた福祉制度を自由化したことで、リスク管理のない社会を創り出し、大震災やパンデミックなどの現象にはまったく太刀打ちできなくなっていたのである。

現在直面している問題は、この30年間で問題になってきた民衆主体による国家機構の変革が実現できないまま、国家が機能不全に陥ったこと、そのため国家が社会保障制度で何とか解消してきた差別が再登場し、きわめて弱い立場の人々がその負債を背負いこんでしまったことである。

確かに人類史において、民衆が豊かになることは重要な進歩だといえる。ごく一部の人々だけの豊かさを人類全体の豊かさに帰すというのは、人類の希望でもあった。しかし、最初は少数の者、次第に多数の者が物的豊かさを享受するという理想は何度も踏みにじられ、そのたびに新しい社会を目指す運動が生まれた。

ある意味資本主義も社会主義も、その運動の1つであった。一人一人の利己心が最終的に全体の豊かさにつながるということも、国家統制による組織化と平等主義が少ない物的資源を平等に分配できるということも、実は限りある地球上の環境の中でのみ実現できることである。

資本主義体制の中で地球を守ることができるのか

「必要に応じた分配から欲求に応じた分配」という言葉は人類の夢であるが、これほど発展した現在においてもそれは不可能だし、今後も不可能であろう。豊かにならねばならないのは、人間だけでなく、地球に住むすべての生き物なのかもしれない。すべてが地球という運命共同体の一員になってしまったのである。

人々はもう気づき始めている。限られた地球環境の中で無限の豊かさは不可能であるばかりでなく、無意味であることを。再生可能という言葉はすべての生命にとってキーワードである。

しかし、今の資本主義体制で地球を守ることができるのか。図らずもコロナ下で、不要不急という言葉の下で、「無駄なものはいらない」という意味を理解したはずである。自宅で謹慎しながらも、久しぶりに自然が帰ってきたようなみずみずしい季節感を感じるのはなぜであろうか。窮屈な背広やネクタイを放り出し、化粧もせずに、普通の自分に戻って生活することが、なぜこんなに楽しいのか。

直接人と会わない寂しさはある。それゆえに人と会って議論することの意味が理解できたはずである。会社の人ではなく、なにか本当に語り合える人と語りたいという気持ちが、なぜこれほど出てくるのか。

あえて言えば、コロナは次の世界に進むための神が与えた最終警告なのかもしれない。新しい社会や体制は、なかなか見いだせないことも確かだ。ただ、方向性だけは、ある意味で見えてきた気がする。よそよそしい権力や地位というものとは関係のない、そうした小さいけれども参加する意味のある、地に足の着いた組織の必要性だ。私はそれを「労働と参加の組織」だといいたい。

地に足の着いた「労働と参加の組織」が必要だ

スペインのバスク地方にモンドラゴンという町がある。そこではもう長い間、協同組合組織によって学校や企業が営まれている。大資本による競争という問題さえなければ、こうした企業は町に根を下ろしているがゆえにきわめて強い。

資本主義の要でもある所有権という意味を、私は最近こう考えている。所有権は排除の権利だと。国有であろうと私有であろうと、所有権であるかぎり同じだ。なぜなら、2つとも排除の論理に結びついているからである。私的に排除するか、国家的に排除するかは違うが、つねに排除されるものが前提されている。

所有権を排除することは、社会主義の要でもある。しかし国家社会主義体制では、結局国有として積極的に所有権を認めることになったのだ。私的所有を揚棄することは、それを誰が持つかという法的所有の問題ではなく、それに対してどう積極的に人々が参加できるかという経済活動の問題であると思う。だから国家や企業に民衆が参加することが要求される。そう考えるとモンドラゴンの企業は、未来を意味しているのかもしれない。

土地に根差すと、土地や環境を破壊してまでも利潤を得ることなど考えることはない。かつて自主管理という言葉でいわれていたものがそれである。未来を予測することは難しい。筆者も70年生き、ソ連や東欧、ヨーロッパやアメリカ、アジアなどを見てきて、つくづく感じることがある。それは、人々が社会や自然を壊さず、参加と協働で生きている社会は生き生きしているということである。資本主義の次にくるものは、巨大な生産力や物的豊かさを達成する社会ではなく、人間や自然環境を壊すことのない社会であってほしいと願うばかりである。

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【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します

コロナ禍の日本で無気力が蔓延したのはなぜか

>現代日本とフランス第2共和政はソックリだ

かつて民主主義は資本主義と蜜月関係だった

提供元:コロナ後に来るべき人間や環境にやさしい社会|東洋経済オンライン

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