2021.02.19
コロナ自宅療養「高熱が出たとき」の対処法|自宅でもできる「経口補水液」の作り方
新型コロナウイルスに感染し、自宅療養・宿泊療養中に高熱が出たときの対処法をご紹介します(写真:EKAKI/PIXTA)
新型コロナウイルスの爆発的な感染者数の増加に伴い、自宅療養やホテル療養となる方が後を絶ちません。地域によっては入院先が見つからないことから、高齢者など重症化リスクの高い方たちも自宅での療養を余儀なくされています。
自分が感染し、自宅療養となった場合、どう対処したらいいのか? どうしたら家庭内感染を防げるのか? テレビ番組のコメンテーターとして活躍する白鷗大学教授の岡田晴恵氏の著書『新型コロナ自宅療養完全マニュアル』ではそうした疑問に答えています。
東京都医師会の小林弘幸・順天堂大学教授と鳥居明・鳥居内科クリニック院長も監修に加わった同書から、一部抜粋・再構成してお届けします。
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自宅療養中の高熱への対処法
厚生労働省の『新型コロナウイルス感染症診療の手引き 第3版』によると、症状の中でもっともよく見られるのが発熱、次いで咳嗽(がいそう、せきのこと)、それから倦怠感と呼吸苦でした。また、味覚障害は約17%、嗅覚障害が約15%、下痢は約10%です。
上記からもわかるように、新型コロナウイルス感染症の主な症状のひとつに、高い熱があります。場合によっては40℃くらいまで上がることもあります。自宅療養、宿泊療養での高熱が出たときの対処法について学びましょう。
発熱時にはまず、検温をきちんと行います。食後は食べ物を消化するためにどうしても体温が高くなるので、時間をおいてから測ります。悪寒は、熱の上がり始めに生じやすい症状です。その際は「全身の保温」を意識して、できるだけ体を冷やさないことが大切です。
一方、熱が上がって顔がほてったり、カラダが熱くなったり、手足が熱くなったら、体にこもった熱を発散させます。薄着にしたり、毛布を外すなど、「涼しく」してあげましょう。
熱を下げるには、首の後ろや太ももの付け根などの太い動脈部分を冷やします。汗をかいた場合は、濡れタオルで全身をさっと拭きます。また、発熱で汗をかくので、水分補給はこまめに行いましょう。
コロナで高熱が出たときは、
(1)検温方法の確認
飲食・入浴・運動後や、帰宅してすぐなどは、本当の体温の測定は難しいので、それぞれ30分ほど時間をおいてから測ります。また、体温計は真横からではなく、脇の斜め下から挟むようにしましょう。0.3度ほど測定結果に誤差が出てしまうためです。
(2)体を冷やす
高熱でつらいときは、首の後ろや脇の下、ももの付け根など太い血管が通っているところをピンポイントで冷やすと、効果的に冷えて楽になります。タオルでくるんだ保冷剤や水まくら、濡れタオルなどを使いましょう。
(3)体温調節は衣服で
発熱時の体温調整は、衣服で行いましょう。熱の上がり始めは「悪寒」がするので服を1枚多くして保温、熱が上がり切ったら服にこもった熱を逃がすため1枚脱ぎます。汗で濡れた下着やパジャマはこまめに着替えて、体が冷えないように気をつけましょう。
ポイント――経口補水液の作り方
発熱したときの汗はただの水分ではなく、ミネラルなども含まれています。そのためただの水ではなく、経口補水液で失った栄養素を補わなくてはいけません。市販品もありますが、自分でも作れます。作り方は、白湯1ℓと砂糖40g、塩3gを溶かします。あれば、オレンジなどの柑橘類を搾って加えます。
自宅療養では経過記録をつけましょう
自宅療養を行う場合には、経過記録表をつけるようにしましょう。経過記録表とは「いつ、どんな症状が出ていたのか」や、その他注意する点を共有するために記入するものです。記憶は不正確なので、記録をつけて正確な情報を残します。救急車を呼んだり、診療を受ける際にあると、医療従事者が状況をすぐに把握できるので、症状に変化があれば記入します。
最初に患者の基本情報(体重や身長、年齢や血液型、アレルギー情報など)、次に主な症状はどんなものか、そして記録時の状態を時間の経過とともに記入していきます。
症状の経過の記録は、朝、昼、夜の3回は必ずつけましょう。それ以外にも、容態が変わったときや、食事の様子などについても記入しておきます。何をどれくらい食べたかなども重要な記録になるからです。
経過記録表の例を示します。
名前:A さん 年齢:26 歳 身長:158cm 体重:52kg 血液型:B 型
●おもな症状
・高熱(37.5℃以上を2日間)
・ゼーゼーした咳
・咳が落ち着くのとひどくなるのを繰り返している
・鼻水/痰/下痢はなし
・全身に強い倦怠感
●経過
2/17
19:05 熱(38.2℃)が出る。38℃以上の熱は初めて
19:40 食事。煮込んだうどん(半人前)みかん(1つ)を完食
22:50 咳が悪化。同時に熱が38.6℃まで上がる
2/18
0:10 咳の症状が一旦落ち着いてゆっくりと就寝
5:00 起床。熱下がる(36.7℃)
7:30 食事。おかゆ(1人前)完食
感染流行時は「家庭内感染の予防」が最重要
これまで感染経路のわかっている中で多いのが「家庭内感染」でした。これは同居している人の間で感染が広がってしまうことです。感染経路が判明している人のうち35%以上が家庭内感染という報告もあり、「家庭内にウイルスを持ち込まない対策が重要である」と東京都では指摘がされました。
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とはいえ、通勤や通学、日用品の買い物など、生活を送っている限り、リスクをゼロにするのは難しいもの。高齢者や基礎疾患のある人など、重症化リスク因子を持った方と同居している場合はとくに注意が必要です。外出時に着たコートは玄関に置く(室内に持ち込まない)、帰宅したらすぐに手洗いと洗顔をする、などウイルスを持ち込まない習慣を徹底し、「家族に感染させない」ように意識して行動しましょう。
以下に感染しないためのシチュエーション別対策法を紹介します。私たちの暮らし方を「新しい生活様式」にアップデートして、感染予防に努めていきましょう。
移動するときは
(1) 1人で散歩のとき
屋外で周りに人がいないときは、マスクは不要です。ただ、人と会話するときや室内ではマスクを着用しましょう。
(2)誰かと出かけるとき
たとえ屋外であっても、誰かと出かける際には必ずマスクをしてください。さらに2mあけられればベストですが、現実的ではありません。あまり近づきすぎないように意識しましょう。
(3)電車/バスに乗るとき
飛沫を浴びるリスクを避けるため、できるだけ立って乗ります。また、混み合うドアの付近ではなく、車内の奥に移動します。近くの窓が閉まっていたら、なるべく開けてください。つり革などにウイルスが付着している可能性もありますので、降車したら手を洗うようにしましょう。
(4)タクシー/ほかの人の車に乗るとき
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タクシーやほかの人の車に乗る際は、窓を開けて車内の換気をよくします。基本的には、車内でいろいろ触るのもやめましょう。支払い時は、出来たらキャッシュレス決済を行います。車内に消毒用アルコールなどが置いてあれば使用させてもらいましょう。
買い物するときは?
(1)買い物は原則1家族1人
(2) 可能ならば、平日午前中など空いている時間に
(3) 入店前にアルコール消毒
(4) 商品にはあまり触らない
(5) トングやかごなど、使いまわすものを触ったら手を洗う
(6) レジに並ぶときは2メートル間隔あける
(7) 支払いはなるべくキャッシュレス決済
(8) 店を出るときもアルコール消毒
(9) 知り合いに会っても長話しない
(10) 帰ったらすぐに手洗い
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提供元:コロナ自宅療養「高熱が出たとき」の対処法|東洋経済オンライン