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2021.01.12

頻尿でトイレが近い、つい漏れてしまう…こんなこと増えていませんか?


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1日8回以上、トイレに行っていませんか?

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頻尿に悩まされている女性は結構多くて、40歳以上になると7人に1人が「過活動膀胱」と言われています。過活動膀胱は、読んで字のごとし、過剰に活動しすぎてしまう膀胱です。

何の前触れもなく、いきなり「トイレ!」と強い尿意が起こります。しかもあまり尿が溜まっていないこともあります。あまりに突然の尿意で、トイレに間に合わず“ちびって”しまうことも。

頻尿というのは、トイレが近くて、朝起きてから寝るまでの排尿回数が8回以上の場合、定義されます。けれども、1日の排尿回数は人によってさまざま。8回以下の排尿回数でも、自分が排尿回数が多くて困る……と感じたら、「頻尿」といえます(※1)。

また、突然トイレに行きたくなって我慢できず、ちびってしまったり、くしゃみをすると少し尿がもれてしまったり……。女性は、さまざまな排尿にかかわる症状が起こることがあります。その対処法を紹介します。

※1 日本泌尿器科学会

膀胱の粘膜の老化も、皮膚と同様に女性ホルモンが影響

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膀胱や尿道の粘膜の収縮性は、年齢とともに低下していきます。つまり、膀胱も年をとるわけですね。

皮膚の老化と同じように、加齢とともに、膀胱や尿道の粘膜も厚みが失われて薄くなり、ふっくら感がなくなり萎縮し、収縮性を失っていくのです。そのため、少しの尿量でも尿意を感じやすく、トイレが近くなります。

特に、外陰部や腟は、女性ホルモンの低下に敏感に反応します。膀胱も同じです。また、膀胱や腟を支えている骨盤底筋群という筋肉の力も、女性ホルモンが低下すれば、徐々に低下してしまいます。

それだけでなく、粘膜の抵抗力が落ちて、「膀胱炎」を起こしやすくなる場合もあります。さらに、神経が過敏になると、ちょっとした刺激で尿意を感じたりします。

頻尿に加えて、排尿痛や残尿感があるようなら、膀胱炎が疑われるので、女性泌尿器科、あるいは婦人科を受診しましょう。

膀胱炎から、過活動膀胱に移行しないように注意して

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膀胱炎の原因は、尿道から細菌が侵入して繁殖することで、これはとくに異常なことではありません。膀胱は、肛門に近くて、大腸菌などが侵入しやすいところ。

免疫力が安定していれば、細菌は抑え込まれ、感染症と言うほどは繁殖できません。疲労やストレスなどで、免疫力が低下し、細菌の繁殖を許してしまうことが原因です。

「トイレを我慢すると膀胱炎になる」と言いますが、そういうことではなく、やはり免疫力の状態がどうかです。

もちろん暑い夏に、水も飲まず、気がついたら丸一日トイレにいかなかったという状況もよくありません。

菌は、尿と一緒に排泄されないと、そこで繁殖しやすくなります。暑い夏は、充分に水分を取って、尿意があればきちんと排尿することが予防や悪化防止になります。1日に4~8回排尿するのが一番膀胱のためにはよいといわれています。

泌尿器科では、膀胱炎には抗菌剤が処方されます。ほとんどの場合、1週間以内によくなります。

注意したいのは、膀胱炎から過活動膀胱に移行してしまうこと。膀胱炎は、水分不足が原因だから、病院で「たくさん水を飲んで」「トイレにどんどん行って」と指導されます。

確かに、膀胱炎の痛みがあるときの水分摂取はよいのですが、そのままずっと水分を摂りすぎ、トイレ頻回を続けていると、膀胱の正常な感覚が鈍って、過活動膀胱に移行してしまうことがあります。

最近の抗菌剤は強力なので、これを飲むと細菌は1週間以内に一掃されます。したがって抗菌剤を使って1週間もしたら、水分摂取は通常の量にして、トイレも自然な回数に戻すことが大事です。

過活動膀胱にはいろいろな原因がありますが、水分の摂りすぎや尿が溜まっていないのに何度も排尿するのはかえってよくないといわれています。

支えとなる骨盤底筋が緩むことで……

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膀胱や尿道の支えとなる骨盤底筋群が緩めば、トイレを筋力で我慢することが難しくなるのです。ストレスで神経が過敏になって、緊張が膀胱に伝わり、すぐに尿意をもよおす人もいます。緊張場面になると、トイレへ行きたくなり、ちびってしまったりするのです。

頻尿の原因のひとつには、前述した「過活動膀胱」があります。過活動膀胱は、膀胱に尿が十分に溜まっていないのに、膀胱が自分の意思とは関係なく勝手に収縮する病気。

急に、尿がしたくなって我慢ができず(尿意切迫感)、トイレに何回も行くようになります。過活動膀胱は、日本で推定1千万人以上の男女がかかるとても頻度の高い病気です(※2)。

この過活動膀胱の人の60%は、尿失禁の症状をもっていて、悩んでいる人がたくさんいることがわかります。

※2 日本排尿機能学会

40歳以上の4割の女性が悩んでいる尿失禁!?

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尿失禁とは、自分の意思とは関係なく、尿が漏れてしまうことと定義されています。40歳以上の女性の4割以上が経験しているとされていて、実際に悩んでいる人は、実はとても多いのですが、恥ずかしいからと我慢している人がほとんど。

尿失禁の中でも、笑ったり、重い荷物を持ったり、くしゃみをしたりして、お腹に力が入ってしまうことで尿がもれる場合が「腹圧性尿失禁」。

また、トイレに行きたいと感じてトイレに行く前にちびってしまう場合を「切迫性尿失禁」といいます。

「腹圧性尿失禁」は、骨盤内にある膀胱や子宮を支えている筋肉が弱くなって起こります。この筋肉は、加齢によって弱くなりますが、更年期以降の肥満や閉経などによる女性ホルモンの低下によってさらに弱くなるのです。

「切迫性尿失禁」は、尿意をもよおすと、自動的に膀胱が収縮してしまう状態です。脳障害の後遺症で起こることもありますが、加齢によってなぜそうなるか原因不明のことが多いのです。

骨盤底筋を鍛えることでかなり改善されます

頻尿(過活動膀胱)や尿もれ(尿失禁)があると、なんだか年をとった感じがして、ショック……。

でも、これらの症状も、ちょっとした工夫で意外と簡単に改善することがあるので、トライしてみてください。

自分でできるセルフケアは、骨盤内の膀胱や子宮を支えている筋肉、骨盤底筋群を鍛えることです。

肛門と腟を鍛える体操はどの年齢でもアンチエイジングに

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簡単な体操です。

まず、全身の力を抜いて、肛門と腟を10秒間縮めてみてください。お腹や足に力を入れず、肛門と腟だけに集中して、ゆっくりジワジワと引き上げるように、力を入れます。これを数回、くり返します。

最初は、椅子に骨盤を立てて座り、腟まわりの骨盤底筋を椅子の座面で感じて行なってみると、感覚がわかりやすいです。

くれぐれも、お腹やお尻などのほかの筋肉に力を入れないようにします。眉間にシワが入っていませんか? 顔にも力を入れないようにしてください。慣れてきたら、駅で電車を待っているときや家事の合間でもおこなえます。

筋肉を鍛えることは、どの年代でもアンチエイジングに役立ちます。

特に、骨盤底筋群は、意識しなければ鍛えられない筋肉です。意識できないと、お尻もどんどん垂れていきます。素質もありますが、意識している人とそうでない人では、年を重ねるごとに差が出てきます。

アドバイスしてくれる医師を探せると心強い

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できれば、適切なアドバイスをしてくれる女性泌尿器科(女性泌尿器科で検索してみて)や婦人科の医師を探せるといいですね。自己嫌悪に陥ったり、心配するだけでなく、前向きに症状を改善していきましょう。

頻尿、尿もれなどの症状は、誰にでもあること。身近な友人に聞いてみてください。同じ悩みを持っている人がいるはずです。女性として経験を共有できて、安心できるかもしれません。

婦人科では頻尿、尿もれの治療に、更年期障害の治療、ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬も使われています。

女性ホルモンを補充するホルモン補充療法(HRT)によって、粘膜がしっかりして膀胱の緩みが改善する人もいます。ホルモン補充療法で、頻尿や尿もれが解消する度合いは人によってさまざまです。

漢方薬もあわせて使うこともできます。

また、骨盤底筋体操やホルモン補充療法で症状が軽減できない人は、筋肉の働きを強める失禁治療薬、膀胱の過活動を抑える薬などが用いられることもあります。ほかにも、いろいろな頻尿を改善する薬があります。

お薬で改善せず、症状がつらい場合は、手術という選択肢もあります。女性泌尿器科の専門医に相談してみてください。

増田美加・女性医療ジャーナリスト

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予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。

image via Shutterstock

記事提供:ウェブメディア「MYLOHAS」

ヘルスコンシャスな女性たちにむけて、「カラダ・食・マインドを整える」記事を厳選してお届けします。

提供元:頻尿でトイレが近い、つい漏れてしまう…こんなこと増えていませんか?|MYLOHAS(マイロハス)

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