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2020.05.01

家庭で「緊急事態宣言」を出してみた驚きの結果│噴出しているのは「元々あった問題」が大半


コロナ休校で子どもと一緒にいる時間が増え、家庭内のさまざまな問題が深刻化している(写真:プラナ/PIXTA)

コロナ休校で子どもと一緒にいる時間が増え、家庭内のさまざまな問題が深刻化している(写真:プラナ/PIXTA)

小6の男の子と小3の女の子がおります。コロナ休校が長く、一緒にいる時間も増えて家庭内では、些細なことでいざこざが絶えません。私もだんだんイライラしてきて、怒ってしまうこともしばしば。いい学習環境も保たれないため勉強面でも心配です。アドバイスをいただけましたら助かります。 (仮名:大塚さん)

新型コロナの影響により休校が長引く中、各家庭ではさまざまな悩み、トラブルが起こっているという情報が筆者の元には、日々続々と入ってきています。

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緊急事態宣言が出ている地域を中心に、今多くの学校が5月6日まで休校となっていますが、さらに5月末まで延長すべきという声が各地で大きくなっています。茨城県や岐阜県、愛知県など、5月末までの休校延長措置を決める都道府県も増えています。

先日、富山県の小学校で学校を再開したら、教員と児童が数人感染するという「学校クラスター」も発生しました。これで学校再開へのハードルはますます高くなったでしょう。

そうなれば今後、家庭内でのさまざまな問題が一層、深刻化していくことは容易に想像できます。

「子育ての悩み」上位は勉強に関わること

このような不安、心配が家庭内で募る中、筆者は4月18日に緊急オンライン講演会を実施しました。全国から200名以上の方が参加され、事前に子育てに関するお悩みを質問形式でいただきました。それに基づき、内容をカテゴリー別に分類したところ、次のような結果になりました。

【現在子育てで悩んでいること】

1) 勉強方法や使用教材に関する内容 25%
2) 子どものやる気に関する内容 14%
3) スケジュールに関する内容 13%
4) スマホ・ゲームに関する内容 13%
5) 親が勤務で忙しく面倒みられないという関連の内容 12%
6) コロナに起因する子育てへの焦り・不安 12%
7) その他(学習環境、兄弟姉妹喧嘩など)11%

やはり、勉強に関わる内容が上位を占めています。

悩む家庭がある一方で、上手に教材を使って子どもが勉強している家庭もあります。そのような家庭ではどのようなことをしているのか。調査を別のグループで行うと、次のようなことがわかりました。

「学校からの課題が多めに出るところはそれを進め、そうでない家庭では、某教育会社のデジタル教材を使って進めたり、ネットからプリントを印刷して学習したり、市販のドリルを使って学習を進めている」

このような時期だから、ネット上にある教材を使って勉強に当てているという家庭もあるようです。しかし、これは親の興味関心がないと行動はなかなかできませんし、ネット上には無数の教材があり、どれを選択してよいかわからないということもあるでしょう。働いている親の場合、時間的に難しいということもあるでしょう。

しかし、今後、休校が長引くか、断続的な休校が続くことを想定すれば、5月以降は今は混乱して後手後手になっている学校や塾も、徐々に落ち着きを取り戻し、適切な教材と教育手法を出してくると思われます。家庭で学習内容に関する問題は徐々に解決していくと思います。

さてここからが、重要なお話になります。

先ほどのアンケートを概観しますと、「コロナに起因する子育ての焦り・不安」以外は、実は日頃から悩んでいる内容とあまり変わらないということがわかります。

多くの問題は、今に始まったことではなく、「普段からそのような状態であったことが、コロナ休校によってただ強調されただけ」という印象を受けます。つまり、日常から整えておけば、非常時にも対応できるはずだったということです。

しかし、そのようなことを言っても後の祭りですから、今回の非常時に一気に子どもの新たな習慣を作ってしまうという、逆転発想の方法をお勧めしています。人は非常時であればこそ変わることもできるため、その特性を利用してしまいましょう。

この方法は、全ての家庭に100%適用できるかどうかわかりませんが、すでに実践された方から子どもの行動が変わったという報告を受けている方法です。それは、

「国が緊急事態宣言を発出しているのだから、我が家も緊急事態宣言を発出する」

というものです。

よくよく考えてみれば、国が緊急事態なのですから、家庭も緊急事態モードにしてもよいのではないでしょうか。家庭内はいつも通りというのであれば、これまでのダラダラ感がますます助長するだけになってしまうと思いませんか。

この方法を先日、講演会でお話ししたところ、早速実践された方より、次のようなご連絡をいただきました。

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【緊急事態宣言】

政府の緊急事態宣言を受け、土田家でも4月20日付けで発令されました

1)不要不急のきょうだい喧嘩の自粛
2)自分のものは自分で行うことの要請
  洗濯物の取り込み・たたみ・しまう
  食後の片付け・食器洗い・拭き・しまう
3)お風呂・トイレ・洗面所掃除、子ども3人で分担の要請

この宣言を出してみて、その後子どもたちはどのように変わったのかという報告もいただいています。

【我が家の緊急事態宣言を出した結果】

実はあの日から、水回り3箇所、トイレ、洗面所、お風呂は、3人が朝いちばんの仕事として進んでやっています。そして、今まで食事の後お皿を下げることさえしなかった3人が、お皿洗い、食器拭きまでしてくれます。

1日中勉強している受験生のお姉ちゃんは時間がないと思っていたら、朝の仕事をするようになって、1日の勉強のノルマがなんと4時間で終わってしまうというミラクルが起きています。キッチンピカピカ、洗面所ツルツル、お風呂はキュッキュッで、私の気分は連休始まって以来、最高潮に達しています。

子どもたちが「自立」するチャンス

このようにすることで、子どもたちにとっては、自分のことは自分でやるという「自立」のチャンスにもなります。すべてを親がやるというこれまでの習慣から、子どもに自分のことは自分でやらせるという新たな習慣に変えていくことで、親はサポーターという立ち位置になれます。家族で分担し、協調性を育むということもできます(もちろん子どもの年齢によってはできない場合もありますが)。

「自立と協調」。これは、筆者が考える教育の目的であると思っています。ぜひ、この機会に、子どもたちに「教育」をされてみてはいかがでしょうか。

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提供元:家庭で「緊急事態宣言」を出してみた驚きの結果│東洋経済オンライン

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