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2019.05.13

「治療の医者任せはダメ」と医者が力説する理由│病気になったら「正式な病名」の把握が大事だ


大きい病気になったとき、どのようなことに注意して病気療養すればいいのでしょうか(写真:Ivan-balvan/iStock)

大きい病気になったとき、どのようなことに注意して病気療養すればいいのでしょうか(写真:Ivan-balvan/iStock)

進行性で治療の難しいがんや難病、日常生活に障害をもたらす病気やケガなど、重い病気になったとき、患者さん本人もその家族もどうしてよいかわからずに慌てふためき途方に暮れてしまったり、うつ状態になったりすることもある。

インターネットの普及した今日では、病気になったときの対処法も大きく変化している。大病になったとき、どのようなことに注意して、病気療養をすればよいかについて考えてみたい。

病名と状態を専門用語でも聞いておく

外来での検査が一通り終わり、治療を開始する前には医師から診断と治療の説明がされる。そんな時には、その病名と進行度について専門用語でも聞いておくことをおすすめしたい。

最近は、医師の側も患者さんにわかる言葉で伝えなくてはいけないという意識が生まれ、誰にでもわかるような素人言葉で説明しようとすることがある。だが、そんな時にこそ、専門用語でも聞いておくことが重要となる。

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例えば、先日、萩原健一さんはGIST(消化管間質腫瘍)という病気で亡くなられた。GISTは医学の世界では話題になっていても、一般の人の耳には届きにくい珍しい病名だ。こんな病気が見つかったときに、「胃癌ではないけれども、胃にできた間質の腫瘍でがんの性質を持つ」などと説明されても、実態はよくわからない。

「癌じゃないんだ」と安心したり、「がんのような性質を持つ」と言われて心配したり、まるで、禅問答のように聞こえるだろう。

そもそも、話し言葉では、「癌」と「がん」の区別もつかない。通常、癌は表面の細胞にできた悪性腫瘍を指し、がんは悪性腫瘍全体を指すのだが、忙しい外来ではそんな説明をしている時間もなく省略されてしまうだろう。

自宅に帰って、家族に、どんな病気だったのと聞かれて、「胃癌ではないけれど、がんのような腫瘍だそうだ」と説明しても、まるで伝言ゲームをしているようで、その意味する内容はますますわからなくなる。

アップルの元CEOスティーブ・ジョブズ氏が罹患したのは、膵神経内分泌腫瘍(NET)という比較的珍しい病気だ。膵臓の癌なのにあれだけ長く生きられたと感心する人もいるが、NETはいわゆる膵癌(膵管癌)とは違って比較的おとなしい悪性腫瘍である。

早期に手術で摘出していれば、もっと長生きができたかもしれない。ジョブズ氏自身も手術を受ける時期を遅らせてしまったことを後悔していたことが伝えられている。

病気になったとき、自分の状態を速やかに理解し、自分自身が納得のいく治療を受ける決断をすることが大切である。しかし、ジョブズ氏ほどの頭脳の明晰であり余るほどのお金を持っていても、病気の治療を後で悔やまなければならなかった一例でもある。

正確な病名を把握する

自分の状態を速やかに理解し、納得いく治療を受けるためにも、医師から病気であることを告げられたら、正確な病名をきちんと把握することが大切だ。そうでないと、病気についてかかりつけ医や知り合いの医師などセカンドオピニオンになる人に相談しても、病名がはっきりしなければ適切に答えてもらえないことになる。あるいは、インターネットで調べようと思っても、キーワードがなければ調べようがない。

キーワードとして例えばGISTやNETなどと正確に把握していれば、ネット上に専門家がわかりやすく書いている説明を見ることができるだろうし、相談した医師も解説してくれるだろう。

また、まれな病気や難病にかかり、その情報がなかったり孤独感を味わっている人も、ネット上で正確な病名で検索すれば患者会や個人のホームページから同じ病気をもつ仲間を見つけたり、病気の情報を得ることができる。

ネットでは、まれな病気の人でも利用し活用することができるが、それも自分の病名を正確に把握していることが前提となる。もし病名が聞き取りにくければ外来で担当医にメモ用紙に書いてもらうことをおすすめする。

病院で医師や看護師・薬剤師から提供される情報はもちろん大切であるが、多忙な診療の中でその情報は十分ではないことも多い。また、患者さんにとって、与えられた情報だけで判断するのではなく、自分で情報を能動的に獲得し、それらをも参考にしつつ最終的な決断をすることが、情報リテラシーのうえからは望ましい。

ただし、インターネットで病気について調べようとすると、それなりの注意が必要となる。まずは、しっかりとした医療機関や厚生労働省、学会などのホームページから基本的な知識や標準治療についての知識を取り入れてほしい。

「○○の特効薬」、「驚異の治癒率」などとうたっているクリニックや民間療法の情報には飛びつかない慎重さが必要だ。金儲けのためのカモにされてしまう。そのサイトが何を目的に情報を流しているかを考える習慣が大切だ。

また、年配の方は、医師に質問したり聞き直したりすることを難しく感じ、自分自身でも自分の病気をよくわからないままに治療を受けてしまうことが生じやすい。医師に聞けない、言えない、理解しにくい、遠慮するなど、従順すぎる患者になりがちだ。今までの医療が、このような医師と患者の関係性を作ってきたともいえるのだが、これからは双方の努力で変えていくべきではないか。

どうしても本人が聞けない場合には、家族など誰か頼りになる人に一緒について行ってもらうことが大切だ。遠慮してしまう本人に代わって聴いてもらうことができるだろう。また、重い病気を知らされるとき、本人はそれだけで動揺してしまい何を聞いたかもわからなくなってしまうが、家族なら比較的冷静に聴くことができる。

積極的に情報を得ることが重要

以前は、がんのような重い病気を伝えるときには、入院中に、家族などを病棟に呼び寄せて行い、時間も注意も十分にとったうえで行える環境にあった。そして、伝えた後にも、継続的に家族や病棟の職員が気を配れる場所に患者はいた。

しかし、現在は、在院日数(入院期間)の短縮化が進んでおり、検査などはなるべく外来で行い、入院は治療など入院中にしかできないことに限るという方向へ進んでいる。そのため、患者さんは外来で重要な病気を伝えられた後に、1人で病院から帰宅するという状況が生じている。

欧米の病院では、病院の中に気持ちを落ち着かせる場所(スピリチュアルケアの場所)があったり、ケアをする専門の職員もいたりする。だが、日本ではまだそのような体制ができていないので、外来での病気の説明の後は、医療者の目が行き届かないのが現状だ。だからこそ、誰か頼りになる人と一緒に行くことをおすすめしたい。

医療情報のリテラシーは本当に難しい。ただし、難しいからといって完全に他人任せにするのは考えものである。後悔しないためには、自分自身で情報の収集にしっかりと関わることが必要となる。

ただし、インターネットを利用して検索してみると、ますますどうしてよいのかわからなくなってしまうということも生じがちだ。そんな時には、自分だけで悩むのではなく、相談に乗ってもらえる医療者がいることが助けになる。

そんな人を普段から身近に確保しておくことも、大切なコツの1つとなる。その病気の専門医でなくてもよい。身近にいるかかりつけ医も、医療者として適切なアドバイスができるはずだ。自分でも積極的に情報を収集したうえで、医師や看護師など医療者のアドバイスもあれば、それは自分の医療における決断の上でとても参考になるだろう。いのちに関わる大切な決断をする時には、それくらい慎重であって欲しい。

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提供元:「治療の医者任せはダメ」と医者が力説する理由│東洋経済オンライン

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