2019.05.07
物事に追われている人に教えたい時間の作り方│ 「いつ、何を、どのように」考え方を変えよう
スマホばかり見ていることが原因かもしれません(写真:Fast&Slow/PIXTA)
時間に追われて生活していますか。
それとも、自分の時間をきちんと管理していますか。
現代は、時間の節約に役立つ新たなテクノロジーが次々と生みだされる時代です。便利になっているにもかかわらず、新たな機器に囲まれるほど、時間がますます足りなくなり、ストレスがますます増えるようです。
もちろん、スマートフォンやパソコンを上手に活用すれば時間を節約できますが、つねに接続している状態もまたストレスになりうるのです。
予定を立てておかないと、いちばん重要なこと以外はつねに時間不足になり、それがストレスにつながります。予定を立てておけば、やらなければならないことをする時間がある、という安心感につながります。していないことに対してあせってストレスを感じる必要もありません。
私はスウェーデン、カルマル市に生まれ、自分で興した会社でずっと働いてきました。昔からずっと、いわゆるリーダー、起業家タイプでしたが、社交性や愛想のよさを隠れみのに、実は不安症を長年抱えていました。その心の病を妻であるスーサン・ビルマークと共に夫婦で抜け出しました。共著である『北欧スウェーデン式 自分を大切にする生き方』にも詳しくまとめてありますが、ここ数年は心の病の研究に力を入れ、ストレスに悩む人の助けとなるべく活動しています。
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マルチタスクは非効率だと気づいた
キッチンの大掃除をしている最中に、雑巾を取りに洗濯室へ行くと、洗濯物が洗い終わっていて、あとは干すばかりになっていました。でもその前に、いま干してある洗濯物を取り込んでクローゼットにかけなければなりません。
クローゼットのある寝室へ行くと、花瓶の水がなくなりかけていて、花がしおれています。そこで、水をくみにバスルームへ行ったところでふと、なにをしに来たのか忘れてしまったのです。
仕方なく階下のキッチンへ戻ると、雑巾が必要だったことを思い出しました。
つねに何かしている自分はとても効率がいい、と思っていたのですが、実際は、必要以上に時間をとられていたのです。いましている作業に注意をしっかりと払ったことがなかったのです。
どうでもいいことばかりしていて、肝心のことがほとんどできていなかったので、なにかやり遂げた実感がまったくありませんでした。
マルチタスクという言葉はもう時代遅れだと思っています。マルチタスクが効率的なことはまずありません。最近では、一度に1つのことに対処するほうがいい、と言われています。わたしも、1つのことに全神経を集中させるほうが、ずっと効率的で現実的だと実感しています。
目の前のことをしっかりやり、やり終えてから次のことをする。このほうが時間を節約できるのです!
テレビ、スマホ、PCをどれくらい見つめているか
自分の時間を増やしたければ、テレビ、スマホ、パソコンを見ている時間を減らすことです。週に何時間、画面を見つめているか考えてみてください。そのうちの数時間を、もっとほかにやりたいことに費やせるはずなのです。
数年前、スウェーデンのあるテレビ番組が、スウェーデン人は1日約6時間を、テレビ、ラジオ、インターネット、新聞に費やしていると報道していました。この数字がその後も下がっていないのはほぼ確実です。
わたしたちは日中、ありとあらゆる情報にさらされています。それらをその日のどこかの時点で、処理しなければなりません。情報を消化し、息抜きして、頭を回復させる時間も考えておく必要があるのです。
実際にあったニュースも噂話も人の意見も、何でもかんでもとりあえず頭に詰め込んでおくわけにはいきませんから、ある程度制限する必要があります。不要なものをときどき取り除いて、脳のスペースを空けておくのです。
こうした作業一切は睡眠中にはできません。睡眠中は思考の整理を自分でコントロールできないからです。
だからこそ、瞑想(めいそう)や息抜きを意識的に行うことが非常に大切です。瞑想する時間を日々の暮らしに取り入れ、自分にとってベストなやり方を見つけましょう。身体を動かす時間と同じように、息抜きや瞑想の時間も予定に組み込むのです。
娘のジュリアが小さかった頃、テレビの子ども向け番組をつけてやると、その晩ずっとつけっぱなしということがよくありました。そのうちに、テレビのつけ方を娘に教えてやりましたが、ほかに何かして遊んでいるときは、娘が自分でテレビをつけることはめったにありませんでした。
いまでは家族全員、なるべくテレビをつけないようにしています。一度つけてしまうとなかなか消せなくなるからです。
現代の問題は、デジタルの娯楽がごく身近にあることです。テレビをつけっぱなしにして、スマートフォンやパソコンの画面を見るのがごく当たり前になっているのです!
見たいものが家族それぞれで違っていると、こうした状況を制限するのは難しい問題です。
肝心なのは、家族としてどう対処すべきかを話し合うことです。たまには画面から離れましょう。その代わりに、散歩する、おしゃべりをする、ゲームをするのもいいものです。
家事を家族全員のチームでやれば自由時間ができる
中には上げ膳据え膳で暮らしているような子どももいます。家族みんなで家事を分担すれば、みんなの自由時間が増えて、家族団欒(だんらん)の時間がもっととれるのです。
子どもは小さい頃から上手にお手伝いできるものです。夕食後に、各自が自分のお皿を流しまで持って行くことを、小さい頃からの決まりごとにするといいでしょう。最初からそう仕向けると、小さい子も喜んで手伝ってくれます。
もう少し大きくなれば、ほかのことももちろん手伝えるようになります。なぜ手伝いが必要か、手伝ってもらえないとどうなるかを説明すれば、子どもでもちゃんとわかるものです。家族とは、全員が共同作業をするチームだということを、身をもって学ぶのです。
5歳になるマーティンは、一時的な里子として、毎週数時間をうちで一緒に過ごしています。ちょっと仕向けてやると、喜んでお手伝いをしてくれます。
ゲーム感覚で家事を楽しんでいるようです。踏み台に上がって鍋をかき回す、野菜を切る、テーブルの用意をする、飲み物を注ぐ、といったことを喜んでやっています。着る服さえ決まれば、1人でちゃんと着ることもできます。
進んでお手伝いができるのは、よちよち歩きの頃から、マーティンの母親にそう育てられてきたからでしょう。このくらいの年齢の子は、大人が前向きに楽しい様子で頼めば、喜んで手伝ってくれるのです。口うるさく言ったり、命令口調で頼んだりしないかぎり、子どもはすぐに協力してくれます。
毎日の家事やしなければならないことに子どもを参加させて、家族の一員と感じさせるのです。家事や自分のことをやり終えるたびに、子どもは自信を深めていきます。
分担を決めるときは家族みんなで話し合いましょう。子どもは自分の意見も尊重してもらえる、とわかるようになります。尊重された子どもは、親に対しても敬意を払うようになるのです。
計画や段取りのヒント
・予定を書き出す
・長期(月間、半年間、年間)計画表を作成し、誰がなにを担当するか書き込む
・短期(週間など)の具体的な計画表を作り、誰がなにを担当するか書き込む
・予定を詰め込みすぎないように。予定以上に時間がかかる場合の予備や、自発的に行うゆとりを残しておく
・自分の時間がとられる要求にはノーと言えるようになる
・なるべくそれぞれに任せるようにする
・家族みんなで計画を立てる
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自分がいちばん元気な時間帯を知り、エネルギーを多く必要とする重要なことは、その時間帯にするようにします。毎晩、最低10分間は、息抜きの時間をとるようにしましょう。
このヒントの1つか2つを取り入れるだけでも、かなり気分がよくなることに驚くでしょう。
計画や段取りを上手に組むには、何度もやってみる必要があります。「いつ、なにを、どのように」すべきか、考え方を変えなければならないからです。
最初は後ろめたく感じるかもしれませんが、その必要はありません。誰だって、いい気分でいることが当たり前なのです!
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提供元:物事に追われている人に教えたい時間の作り方|東洋経済オンライン