2019.04.15
新幹線、少しでも安く乗るための「ケチケチ術」 |在来線特急も新幹線をうまく使って節約可能
東北・上越・北陸新幹線は東京ではなく大宮発着にすると節約できるケースが多い(撮影:尾形文繁)
乗車駅または降車駅を1駅ずらしたり、区間を分割して特急券を購入したりすることによって特急料金を節約する方法をまとめた「特急料金、1駅ずらせば数百円も節約できる」(2019年1月22日付記事)には多くの反響があった。同記事では在来線特急についてまとめたが、もちろん新幹線に安く乗る方法もある。
「特急料金、1駅ずらせば数百円も節約できる」 ※外部サイトに遷移します
そこで、今回は新幹線の特急料金を節約する方法と、新幹線をうまく使うことで在来線特急に安く乗れる方法をまとめてみた。
東日本の新幹線は大宮から
東北・上越・北陸新幹線
最も簡単でタイムロスが少なく、かつ節約効果が高いのが東北・上越・北陸新幹線を利用する際に、東京・上野発着を大宮発着へ変更する方法だ。
北陸新幹線E7系グリーン車の車内。東京発着から大宮発着に変更するだけで2120円も安く乗れる(撮影:尾形文繁)
例えば東京から200kmちょっとにある東北新幹線の郡山、上越新幹線の浦佐、北陸新幹線の長野へは、東京発から大宮発へ変更するだけで自由席なら1090円、グリーン車なら2120円も安くなる。大宮発にすると200kmを切るので特急料金は安くなり、グリーン料金も200kmを境に1030円もの差があるためだ。
東京―大宮間は新幹線で26分、上野東京ラインなら31分だ。乗り換え時間を含めても10分のタイムロスと乗り換えの手間だけでかなりの金額が節約できる。さらに言えば、新宿や池袋からであれば大宮乗り換えのほうが所要時間も短い。
このほか、すべての駅を目的地とする場合に節約になるわけではないが、大宮発着にすることで東北新幹線なら白石蔵王だと自由席は960円、グリーン車なら1980円、くりこま高原だと自由席・グリーン車ともに740円、盛岡と秋田新幹線の各駅までだと同540円節約できる。
新青森や新函館北斗だと、自由席はないが普通車指定席で730円、グリーン車なら1760円も安くなる。北陸新幹線の場合は糸魚川で960円、新高岡で740円節約できる。
神戸市内から東海道・山陽新幹線
関西では、新幹線に並行して特急並みの速さを誇る新快速が走っている。これを使わない手はない。
京阪神で新幹線の利用がちょっと不便なのは神戸だ。山陽新幹線の新神戸駅は街の中心である三ノ宮からやや離れており、地下鉄で1駅・210円で行くことができるものの、JR在来線とは直接接続していない。それならJRの新快速で新大阪や姫路まで行ってしまうのも1つの手だ。三ノ宮から新大阪までは新快速で27分、姫路までは40分だ。
上り方面は東京や品川、新横浜だと、新大阪発にしても「のぞみ」指定席が110円安くなるだけだが、お得感が高いのは名古屋だ。新大阪発なら自由席が860円、「のぞみ」指定席は970円安くなる。グリーン車ならなんと2220円も安い。
自由席は浜松も760円、静岡は440円安くなる。この両駅に行く場合、新神戸から新幹線に乗っても新大阪で乗り換えとなることが多い。それなら新快速で新大阪まで行って新幹線に乗り換えても手間は変わらないだろう。
下り方面だと、姫路まで新快速を利用して乗り継いだ場合、自由席で福山・新尾道・三原が860円、岡山・広島・新岩国なら750円安くなる。徳山・新山口なら450円安い。
タイムロス数分で数百円浮く!
首都圏―新津間(上越新幹線+信越線)
新津駅は、新潟から信越線の普通列車で20分。だが、新潟の2つ手前の長岡から快速・特急列車を使う方法もある。長岡乗り継ぎの場合でも、タイミングがよければタイムロスはゼロ。あっても数分程度だ。
例えば大宮8時30分発の「とき307号」に乗ると、長岡には10時04分、新潟には10時28分に着く。長岡で10時29分発の信越線快速に乗り換えると新津11時13分着。新潟で乗り継いだ場合は10時47分発の普通列車で新津には11時07分着。差は6分しかない。
それでいて料金は、東京発(在来線で大宮から新幹線利用)なら960円、大宮発なら750円も節約できる。グリーン車利用なら東京発でも大宮発でも1760円お得だ。
長岡からの快速の本数は少ないが、同区間には特急「しらゆき」も走っている。「乗継割引」の制度を使って+370円で長岡―新津間を特急利用にするのもいいだろう。
乗継割引とは、JRが指定する新幹線駅でその日のうちに在来線特急に乗り継ぐ前提で特急券を同時に購入すると、在来線の特急・急行料金、指定席料金が半額になる制度だ。
乗継割引は自由席利用の場合や、新幹線・在来線どちらかのみ指定席の場合でも適用される。新幹線をはさんで在来線の特急・急行を乗り継ぐ場合は、在来線のいずれか高いほうの料金が割引となる。
適用される駅は以下の通りだ。
●北海道新幹線:新函館北斗、新青森
●東北新幹線:新青森
●上越新幹線:新潟、長岡
●北陸新幹線:長野、上越妙高(直江津以東のJR線区間が割引対象)、金沢
●北陸新幹線:金沢で特急「能登かがり火」「花嫁のれん」に乗り継ぐと、JR線内の特急料金が半額
●東海道新幹線:新横浜―新大阪間の在来線に併設されている駅(新大阪から大阪まで出て乗り継ぐのも有効)
●山陽新幹線:新大阪―新下関間の在来線に併設されている駅(新大阪から大阪まで出て乗り継ぐのも有効)
●山陽新幹線:岡山で快速マリンライナーに乗り継ぎ、坂出または高松で四国の特急に乗り継ぐ場合も適用
●九州新幹線:なし
この乗継割引制度、新幹線区間が1駅だけでも適用になる。ということは、在来線の乗車区間が長距離の場合、新幹線1駅分の特急料金860~980円を支払っても、それをはるかに上回る割引を受けられる可能性があるということだ。
筆者が高校(昭和鉄道高校)時代、同じクラスの友人と関西に行ったときのこと。相生から東京へ戻るとき、その友人はなぜか相生―姫路間の新幹線特急券を持っており「こうすると乗継割引が適用されて『サンライズ瀬戸/出雲』の特急料金が半額になるんだぜ」と得意げに見せてきた。
サンライズの特急料金は3240円だが、新幹線からその日のうちに在来線特急へ乗り継ぐ場合は在来線の特急料金が半額になる。このため新幹線1駅分860円の特急券を買うと姫路―東京間の特急料金は1620円、合計で2480円となり、トータルで760円も安くなるのだ。
なぜそんないい話を事前にしてくれなかったのか! だが、そこは「鉄道高校」である。「旅客営業の授業で習ったことをちゃんと覚えていないお前が悪い」と返されるしかなかった私であった。
1駅だけ新幹線利用で安くなる
ほかに具体例をいくつか紹介しよう。
滋賀県の米原から関西空港へ行く場合、この区間には米原始発の特急「はるか」が走っている。この列車を乗り通すと指定席特急料金は2680円になる。だが京都まで980円を払って新幹線に乗り、京都から「はるか」で関空へ行くと、乗継割引で特急料金は1490円のところ740円に。合計1720円で、960円もの差になる。米原発でも京都から「はるか」を利用するほうが“はるかに”安い。本数も京都発のほうがはるかに多い。
また、金沢から新大阪へ特急「サンダーバード」の指定席で行く場合、京都―新大阪間だけ新幹線自由席にすると、特急料金は590円安くなる。さらに乗車券も京都で区間を分割して購入すると190円安くなり、トータルでは780円の節約になる。
最後に、比較的知られている方法ではあるが、新幹線特急券を「区間を分割して買う」と安くなる区間を紹介しよう。
新幹線の自由席特急料金は基本、各区間の指定席特急料金の520円引きと定められているが、1駅だけ利用の場合は520円引きの半額になり、860~980円程度になるのが普通だ(北海道新幹線と九州新幹線の一部区間を除く)。
しかし、なかには2駅でも980円となる区間が存在する。それはもともと1駅だったところの中間に新駅が開業した区間である。
分けて買うと安くなる理由は?
例えば東海道新幹線の静岡―浜松間はもともと途中駅がなかったが、のちに掛川駅が開業した。すると、それまで980円で利用できたのが急に2倍の料金になってしまう。これではいけないということで、新駅開業前の名残として現在でも980円のままとなっている(ただし東京―大宮間と、博多―久留米間は別事情により2駅でも半額になっている)。
また、追加新設駅はないが、駅間距離が長いことやJRの会社境界をまたぐことによって分割購入のほうが安いケースもある。
こういった区間を活用し、区間を分割して特急券を購入すると、通しで買うより安くなる区間は結構ある。下記は主な区間だ(一部お得な額がわずかな区間については省略している)。860〜980円の区間が2つ以上連続する場合は、通しで購入するよりも分割購入したほうが安くなる。
●東海道新幹線
三島―浜松間
(静岡分割・980+980=1960円。520円安)
静岡―豊橋間
(浜松分割・980+860=1840円。640円安)
浜松―名古屋間
(豊橋分割・860+980=1840円。640円安)
豊橋―岐阜羽島間
(名古屋分割・980+860=1840円。640円安)
岐阜羽島―京都間
(米原分割・860+980=1840円。640円安)
米原―新大阪間
(京都分割・980+860=1840円。640円安)
※ただし三島―名古屋間など、上記の区間を2つ以上またぐ場合は通しで買うほうが安い
●山陽新幹線
福山―広島間
(三原分割・860+970=1830円。650円安)
徳山―新下関間
(新山口分割・860+970=1830円。650円安)
●東北新幹線
盛岡―一ノ関間 (北上分割・860+860=1720円。120円安)
●上越新幹線
東京―熊谷間
(大宮分割・1070+860=1930円。120円安)
大宮―高崎間
(熊谷分割・860+860=1720円。120円安)
※ただし東京―高崎間は通しで買うと2470円で通しのほうが220円安い
●北陸新幹線
飯山―糸魚川間
(上越妙高分割・860+860=1720円。770円安)
飯山―黒部宇奈月温泉間
(上越妙高と糸魚川分割・860+860+860=2580円。660円安)
※なんと日本で唯一の、3つもの区間に分割すると安くなるケース!
いかがだったであろうか。「ケチの一つ覚え」「セコイことばっか考えて」といった意見もあるだろうが、あえて言おう。これはケチの極みである! 不正な統計によって「景気は上向いている」と国にだまされ続け、実質賃金が下がっていたことが明らかとなった今、ケチにならずして何になるというのだろうか!? 賢いと言ってくれた方は「ケチの美学」を感じていただけたものと信じている。皆さんも「ケチの美学」を極めてみてはいかがだろうか。
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提供元:新幹線、少しでも安く乗るための「ケチケチ術」|東洋経済オンライン