2018.12.12
LINEが「銀行参入」で狙うフィンテックの王座|みずほFGとタッグ、2020年にも開業へ
LINEの出澤社長は会見で、現在の銀行は「ユーザーからすれば改善余地がある」と語った(写真:つのだよしお/アフロ)
「これで重要なパーツはそろった」。11月27日、LINEが開いた金融関連サービス発表会で、出澤剛社長はそう語った。
国内最大のメッセンジャーサービスを運営する同社が銀行業に参入する。みずほフィナンシャルグループ(FG)との合弁で、2020年にも開業する見通しだ。
ネット企業の動向を見ていれば、今回の参入はある程度予想できたかもしれない。楽天は2009年にネット専業のイーバンク銀行を傘下に収め、2010年には楽天銀行へと商号変更。またヤフーは2000年に三井住友銀行との合弁でジャパンネット銀行を設立、2017年に取締役の過半数を派遣することで、出資比率は過半ではないが連結子会社化した。業界全体で金融強化の波は顕著だ。
スマホ決済で攻めの投資を活発化
冒頭の出澤社長の言葉どおり、LINEにとって銀行は必要だった。同社は2018年から最重点投資領域としてフィンテックを掲げる。収益柱の広告事業で稼いだ利益を、スマートフォン決済「LINEペイ」を中心につぎ込んできた。
11月にはこのLINEペイが非接触型決済「クイックペイ」と連携を開始。これにより年初に掲げた「2018年内に国内100万カ所で決済可能にする」という目標に達した。
LINEペイは利用者が送金や出金を行うのに銀行口座登録(本人確認)を必須としており、これまでメガバンクや全国の地方銀行と広く連携してきた。自社グループの銀行があれば、登録をよりスムーズにしたり、共同のキャンペーンを打ったりすることで、利用者数や1人当たり決済額を拡大できる可能性が広がる。
スマホ決済以外にも、LINEは10月以降、損害保険、テーマ別株式投資、スマホ家計簿など、金融系サービスを続々と投入している。ネット通販や出前などの既存サービスでも支払いや出金が絡むものは多く、銀行業とは相性がいい。
一方のみずほFGがLINEと組む目的は「デジタルネイティブ世代との接点を持つこと」(同社の岡部俊胤副社長)だという。次世代の顧客となる若年層の開拓への焦りが透ける。
7800万人のユーザー基盤を生かせるか
新銀行の具体的な事業計画はまだ明かされていないが、出澤社長は月間7800万人の利用者基盤やスマホ特化のサービス開発力を自社の強みに挙げる。「業界の規制は確実に守るが、ひょっとするとそれが今まで(既存事業者の)言い訳になり、本来努力が足りなかった部分があるかもしれない。それがうちの挑戦すべきところだ」(同)。
当記事は「週刊東洋経済」12月15日号 <12月10日発売>からの転載記事です ※外部サイトに遷移します
LINEは銀行参入発表と同日、個人向け信用スコア算出サービスとそれに基づく無担保ローンの構想も明かした。みずほFG傘下のみずほ銀行など2社もその事業会社に出資する。
金融の核となる銀行への参入で、LINEはフィンテックでも強者となれるか。生活のあらゆる場面に入り込むプラットフォーマーとしての技量が試される。
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提供元:LINEが「銀行参入」で狙うフィンテックの王座|東洋経済オンライン