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2018.06.14

冷やすのか温めるのか?|目が痛い時の対処法


冷やすのか温めるのか?|目が痛い時の対処法

目の痛みに対して適切な処置を行うには、その原因を理解することが重要です。そこで、目の痛みの原因や症状、関連する病気や目が痛いときの対処法などについて、吉祥寺森岡眼科院長の森岡清史先生にお伺いしました。

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目次

-目が痛い原因
-目の痛みと併発する症状
-目が痛いときに考えられる病気
-目が痛いときの対処法

目が痛い原因

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表面がヒリヒリ痛む、奥がズキズキ痛むなど、目がどう痛むのか、また、痛みを感じる部分などによって原因は異なります。そもそも、私たちが身体的な「痛み」を感じるのは、人間の知覚神経と呼ばれる「三叉(さんさ)神経」が、何らかの刺激を情報として脳に伝達し、脳がそれを「痛み」として認識しているためといわれています。「目の痛み」を感じるのも同様のメカニズムで、とくに目の周辺は三叉神経が多く分布しているため、痛みが現れやすい器官といえます。

目の表面が痛い場合

目の表面がヒリヒリと痛む場合は、主にコンタクトレンズやドライアイなどによる乾燥が原因と考えられます。

「目が乾燥するだけでは痛みは生じませんが、乾燥によって目の表面を保護する涙の量が減り、角膜に傷がつくことで、角膜の表面にある上皮が剥がれ、ヒリヒリとした痛みを伴うようになります。この症状は、医学的には『角膜上皮障害』と呼ばれており、代表的な目の病気に数えられています」(森岡先生)

目の奥が痛い場合

目の奥にズキズキとした痛みを感じる場合、主に眼精疲労が原因であると考えられます。

「眼精疲労は、眼球を動かす外眼筋(がいがんきん)という筋肉の緊張により、血流が悪くなる症状です。目の奥には張りや痛みを感知するセンサーである『筋紡錘(きんぼうすい)』という受容器が集まっていますが、長時間のパソコン作業などで外眼筋を酷使していると、筋紡錘がそれを痛みとして感受することがあるため、目の奥の方で鈍い痛みが生じます」(森岡先生)

目の痛みに併発する症状

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目が痛いときに涙が出たり、白目が赤くなっていたりすることがあります。これらは、痛みに対処するための防御反応として現れる症状です。

目が痛いときに涙が出る理由

涙には、目の表面を覆って外部の刺激から目を守る作用があります。

「涙には、リゾチームという抗菌作用のある酵素が含まれています。そのため、乾燥や細菌感染など、外部からの刺激で目が傷ついたとき、目の表面を清潔に洗い流し、殺菌する効果があります。涙は目の表面を守る役割と、目の痛みを悪化させないように守る役割を担っているのです」(森岡先生)

目が痛いときに充血する理由

目の充血は、痛みの要因を消失させるため、より多くの血液を循環させることで起こります。

「目の充血は、目の表面からまぶたの裏側を覆っている結膜を通る毛細血管の血液量が増加することで起こる症状です。目の乾燥や表面に傷が生じると、それが刺激となって毛細血管が拡張し、大量の血液が流れます。血液には酸素や栄養素が含まれているため、目の異常や疲労回復に必要な防御反応です」(森岡先生)

目が痛いときに考えられる病気

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目が痛いときに考えられる病気として、代表的なはやり目(流行性角結膜炎)、角膜炎(角膜感染症)、ぶどう膜炎、ものもらい(麦粒腫)について解説します。

※目の各部位名称や場所についてはこちらの図をご参照ください。

※目の各部位名称や場所についてはこちらの図をご参照ください。

はやり目(流行性角結膜炎)

目の粘膜が炎症する結膜炎の中でも、伝染性の「流行性角結膜炎」は、角膜と結膜に炎症が起こり、痛みを伴う病気です。

「流行性角結膜炎は、夏場に流行しやすいアデノウイルスに角膜や結膜が感染した際に、それを排除するための免疫反応として炎症が現れる病気です。目の表面にゴロゴロとした目の痛み、充血、目やになどの症状が現れます」(森岡先生)

角膜炎(角膜感染症)

厚さが約0.5ミリ程度で俗に「黒目」と呼ばれる角膜に、微生物が付着して繁殖してしまう状態です。

「角膜の表面は通常、微生物の侵入を防ぐため角膜上皮という組織で覆われています。しかし、その角膜上皮が何らかの原因で傷つくと、細菌やウイルスなどの微生物が付着して繁殖しやすくなってしまいます」(森岡先生)

ぶどう膜炎(虹彩炎(こうさいえん))

虹彩や毛様体、脈洛膜とそれに隣接する組織に炎症を起こす病気の総称を「ぶどう膜炎」と呼びます。房水と呼ばれる水で満たされている前房と、99%が水からなる硝子体に炎症性細胞が浸潤します。

「診断しても原因不明なことが多いものの、免疫異常や細菌、ウイルスの感染などが原因になります。目の奥に痛みと充血が現れる、視力機能が低下する、かすんで見える、まぶしく感じる、蚊が飛んでいるように見えるといった症状も起こります」(森岡先生)

ものもらい(麦粒腫)

ものもらいは、まぶたの毛根に常在菌であるぶどう球菌や溶連菌(ようれんきん)が詰まったり、細菌が感染したりして、免疫反応が生じてまぶたに炎症や痛みが生じる病気です。

「ものもらいになると、痛みとともにまぶたの毛根に細菌が詰まることで炎症が起こり、まぶたが腫れます。炎症が治まると痛みはなくなりますが、目の中にしこりのようなものを感じるため、異物感が強くなります。症状が進んで腫れた部分が自然に破れ、膿が放出されれば病状は回復します」(森岡先生)

もし、上記に心当たりがあるような痛みや症状があった場合、早急に病院で適切な処置を受けることが大切です。

「目が痛いときは、基本的に目の痛みを起こす原因にアプローチする必要があります。上記で挙げた眼痛に関しては、痛みを和らげるため、抗炎症作用のあるステロイド薬の目薬を使用することが治療の主流になっています」(森岡先生)

目が痛いときの対処法

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目が痛いときに実践したい、代表的な対処法についてご紹介します。

目薬をさす

目薬をさすときは、目に生じる症状や原因によって、目薬を使い分けることが大事です。

「目を酷使したことが原因で痛みを感じているときは、眼精疲労に効果がある目薬を使いましょう。具体的には、筋肉疲労を和らげる効果のあるビタミン剤が配合された目薬です。また、目の乾燥やドライアイに悩んでいる場合は、涙の成分と類似の人口涙液が入った目薬、保湿効果のあるヒアルロン酸が配合されたものがよいでしょう。痛みの原因や使うべき目薬が分からない場合は、薬剤師や医師に相談してみてください」(森岡先生)

目を温める、冷やす

目を温めたり、冷やしたりする行為は、目の痛みへの手軽な対処方法ですが、原因によっては逆効果となってしまうことがあるため注意が必要です。

「一般的には、眼精疲労による筋肉のこわばりには目を温めること、細菌感染や目の傷などで生じた炎症には目を冷やすことが効果的とされています。ただし、痛みの原因がどちらか分からない場合は要注意です。眼精疲労で目が痛いときに目を冷やしてしまうと、筋肉のこわばりを助長する恐れがあります。一方、目に炎症が生じているときに目を温めると、腫れや痛みを悪化させることがあります。目が痛いと感じたら、まずは病院で診察を受け、原因を見つけることが大切です。そのうえで、目を温めるべきか冷やすべきか、適切な処置を選ぶようにしましょう」(森岡先生)

目を休める

目を休めることは痛みを和らげることにつながり、眼精疲労やドライアイへの対策としても有効です。

「単純に目を閉じるだけでも、目から入る外からの刺激を遮断したり、目の筋肉を休めたりするには十分です。その際、可能であれば抗菌作用のある『眼軟膏』を塗って眼帯を装着し、そのまま眠りにつくのが望ましいです。眼軟膏とは、下まぶたの内側に塗り、眼をつぶることで目の表面に薬剤を浸透させる塗り薬のことです。薬剤が目の中に数時間留まるので、睡眠中にじっくりと症状を緩和させることができます。眼軟膏は病院で処方されるものなので、まずは検査を受け、医師に相談の上、使用するようにしましょう」(森岡先生)

主にドライアイや眼精疲労などによって引き起こされる目の痛みは、早めに病院で診察、治療を受けることが大切です。目の痛みの原因を理解してから、今回ご紹介した対処法を実践してみてください。

<参照>
「よくわかる最新医学 目の病気の最新治療 緑内障・糖尿病網膜症・白内障・黄斑変性症」杉田美由紀監修(主婦の友社)

日本眼科学会

http://www.nichigan.or.jp/public/disease.jsp ※外部サイトに遷移します

photo:Getty Images

※体験談は個人の感想であり、特定の効能・効果を保証したり、あるいは否定したりするものではありません。

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提供元:冷やすのか温めるのか?|目が痛い時の対処法|フミナーズ

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