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2018.06.05

がん予防には「仕組みと原因の理解」が大切だ|「1億総がん時代」に覚えておきたい基礎知識


がんは「遺伝子の異常」をきっかけに起こる病気だという(写真:runa/PIXTA)

がんは「遺伝子の異常」をきっかけに起こる病気だという(写真:runa/PIXTA)

世の中には、実に多種多様な「健康書」が氾濫している。しかし医者によって言っていることも大きく違い、何を信じたらいいのかわからない。「人生100年」時代、本当に信頼できて、誰でもお金を掛けずに毎日できる簡単な健康習慣とは、いったいどのようなものなのか。
4月26日、東洋経済オンラインのメルマガでもおなじみのムーギー・キム氏の渾身の著作『最強の健康法―世界レベルの名医の本音を全部まとめてみた』(SBクリエイティブ)が、『ベスト・パフォーマンス編』と『病気にならない最先端科学編』の2冊セットで刊行された。本書は日本を代表する50名に上る名医・健康専門家による直接解説を、東大医学部で教鞭をとる中川恵一氏、順天堂大で教鞭をとる堀江重郎氏が二重三重にその正確性をチェックしたうえで制作されている。
東洋経済オンラインでは同書を元に、多くの名医たちが実践しているおカネの掛からない確かな健康法を紹介していく。第6回は、がんの仕組みを解説する。

「『がんなんて他人事』と思っていませんか。実は、すべての人の体内に、『がんの元』があるんです」

こう話すのは、帝京大学医学部准教授の渡邊清高氏だ。東京大学医学部附属病院、国立がん研究センター勤務などを経て現職につき、特に患者とのコミュニケーションに重きを置いて診療にあたっている。

国立がん研究センターがん対策情報センター(2013年データ)によると、平均寿命が延びた今の日本では、生涯のうち何らかのがんにかかる確率は男性で62%、女性でも46%だという。男性であれば約3人に2人という、かなり高い確率でがんにかかるということになる。

「そのうちかかる病気」という前提で準備を

人口の大部分ががんにかかる「1億総がん時代」に、「がんは他人事」と信じて対策を考えないのは、あまりにも楽観的で、自分の健康に対して無責任ではあるまいか。

だからこそ、がんについては、予防の大切さに加えて「自分もそのうちかかる病気」という前提で、準備しなければならない。その備えがないと、いざ「がんです」と言われたときに、絶望の淵に落ち込んで何も考えられなくなったり、それこそあやしすぎる民間療法に引っかかったりしかねないのだ。

出典:『最強の健康法 病気にならない最先端科学編」

出典:『最強の健康法 病気にならない最先端科学編」

「私たちの体は、実に約37兆個もの細胞から作られています。健康な状態であっても、細胞には毛髪や爪、血液や腸の粘膜のように、常に新しい細胞に置き換わる仕組みが働いています。

その細胞の遺伝子は日々、細胞分裂のときのエラーなどの内部の原因や、タバコや紫外線などの外部の刺激によって傷ついてしまいます。遺伝子が傷ついた細胞が、いわゆる『がんの元』です。健康に見える人の体内でも、『がんの元』は日々刻々、生まれています」

恐ろしいことに、すべての人の体内に、「がんの元」があるのだ。がんは「遺伝子の異常」をきっかけに起こる病気である。

そもそも正常な細胞には、増殖すると増えるのをやめる仕組みが備わっている。これに対し、がん細胞は、遺伝子の傷がきっかけで、無秩序に増える性質をもっているのだ。

「がん」は周りの臓器に広がっていく

がんとは、このように遺伝子が傷つき、無限に増殖する細胞が、時間をかけて大きくなり、周りの臓器に広がっていく病気である。

たとえば、最初にがんができた臓器が肺だとしたら、そこから種を蒔くように周囲に広がったり、血液の流れに乗って他の臓器にまで広がったりする。はじめにがんができた臓器から血液やリンパの流れに乗って広がることもあり、そこで増殖することを「転移」という。

しかしながら、遺伝子に異常が生じても私たちが即座にがんにならないのは、人体には「がんを防ぐ3段階の予防線」が機能しているからである。

がん化を防ぐための第1段階として、細胞には遺伝子が傷ついたときに修復する機能がある。

第2に、細胞には「細胞死を起こす遺伝子」が備わっており、遺伝子への傷などの不具合が生じる細胞があると、細胞死を起こす仕組みが働く。

第3に、それでも生き残ったがん細胞を、免疫を司るリンパ球が退治する、という3つのステップが存在する。

出典:『最強の健康法 病気にならない最先端科学編』

出典:『最強の健康法 病気にならない最先端科学編』

加齢と生活習慣が「がん」を生む

では、がんはどのような要因によって発生するのだろうか。その要因の一つが、加齢である。

前述のように体はうまくできており、何らかのきっかけで遺伝子が傷ついたとしても、その傷を修復し、誤ったコピー情報の遺伝子をもった細胞が増殖しないようにする仕組みが、幾重にもわたって備わっているという。

しかし、歳をとると、その修復機能も衰えていく。また、加齢によって体の免疫応答が衰え、がん細胞を排除する機能が低下するという要因もある。

年齢が上がるにつれてがんの罹患率が上がるのは、こうした要因が背景にある。

これに加え、さまざまな生活習慣もがん細胞の発生の原因になることがわかっている。

がん発生の構造を踏まえた上で、ビジネスパーソンがガン予防のためにできることとは何なのか。

次回の連載では、がんリスクを減少させる習慣について、引き続き渡邉教授に解説してもらう。

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提供元:がん予防には「仕組みと原因の理解」が大切だ|「1億総がん時代」に覚えておきたい基礎知識|東洋経済オンライン

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