2020.01.14
「痩せたい」「食べない」生活を見直そう【教えて、ドクター!】
からだの内側から若々しさを保つために、日々の食生活はとても大切です。レストランオーナーであり、管理栄養士、食生活アドバイザーの肩書きももつ堀知佐子先生に、エイジングと食事の考え方をお聞きします。
自分のからだと向き合おう
私自身が「食生活でからだが変わる」と実感したのは、妊娠・出産がきっかけでした。30代後半で出産したのですが、妊娠中に食生活が変わった結果、それから5、6年はずっと体調がよかったのです。30代後半というと、そろそろダイエットの効果を感じにくくなる年頃です。私の場合、ちょうどその時期に食生活が変化したこともあって、食事と体調の関係に今まで以上の関心をもつようになりました。若いときはそれほど気にしなくてもよいのですが、基礎代謝が落ちてきてやせにくくなってきたら、健康を維持するためにも食生活が重要になってきます。
美容以前の問題として、健康であることが一番大切です。たとえば、肌をきれいにしたいと思い立ったとき、肌にトラブルがあったらその時点ではマイナスの状態。からだも同じで、慢性的に肩こりや頭痛があるとしたら、まずは、不調のない健康なからだに整えることが先決です。健康な状態をゼロとして、より美しくより健康に「プラスアルファ」を増やしていくことが大切なわけです。
しかし、最初からすべての不調を完全になくそうと意気込むと、長続きしません。私は、「このくらいの不調なら苦にならないし生活にも支障がない」という「健康のストライクゾーン」を決めておくことをおすすめしています。ストライクゾーンは人それぞれ違いますので、それを見極めることも大切です。自分のからだと向き合って、今、自分がどのような健康状態なのか意識する習慣も身につけ、ストライクゾーンを外れてしまったときは、睡眠時間を長くするとか、食事に気をつけるとか、それぞれ自分に合ったケアをすればよいわけです。
体重を例にとってみましょう。理想的なBMI値が22と言われるのは、一般的にそのくらいが最も健康障がいが少なく、病気にかかりにくいからなのです。BMI値22だと、10代の若い人だったらぽっちゃりしすぎるけれど、30代後半や40代になってくると、脂肪の比率や筋肉の重量から考えて、これくらいがちょうどよい体重ということになります。人によって、あるいは年齢によってもBMI値18〜24くらいの間で、自分に合ったベストな体重があり、それが健康のストライクゾーンだといえます。社会的な指標を参考にしつつ、自分のからだに合う数値を見つけていくのが、いちばんだと思います。
控えるよりも「とること」が大事
30代後半からの、からだが変化してくる年代に気をつけたいのは「栄養不足」です。体重が増えることを気にして、「あれもこれも控えよう」と食べる回数や量を減らすと、からだに負担がかかってしまいます。健康のためにも、朝は必ず食べるようにしましょう。体内時計のスイッチが入ってからだが起きますし、起床2時間以内に温かいスープや味噌汁などをとると、特異動的作用というからだの働きによって体温が上昇し、代謝がよくなります。脂肪が燃焼されやすくなり、エネルギーを消費しようと体内の機能が動き出します。
そのタイミングで意識的に食べたいのが果物です。夕食後のデザートで果物を食べることが多いと思いますが、実は朝に食べるのがいちばんいいのです。それも食事の前にとるのが理想的。食事は、からだを温めるものがおすすめですが、わざわざ料理をしなくても、買い置きのインスタント食品を上手に使って栄養価を満たす朝ご飯にすることができます。
たとえばパック入りの麦ご飯をレンジで温め、インスタントのワカメスープの中に半量ほど入れ、チューブのしょうがを少々加えれば、即席でも内容的には優れた朝ご飯が出来上がります。からだも温まりますし、麦は食物繊維が豊富な上、ビタミンB群やカルシウムも含まれているので、肌にもよいのです。ワカメに含まれるアルギン酸カリウムはむくみを解消してくれます。ビタミンAも豊富ですから、朝ご飯としてはかなり優秀です。麦ご飯の代わりに、もち麦やはと麦をゆでて入れてもいいでしょう。時間のあるときに、ご自身で水からゆで柔らかくなったらざるに上げ、小分けで冷凍しておくと便利です。
これならおにぎりにして職場にも持って行くことができますよね。インスタントの味噌汁やカップスープ、市販の温泉卵をプラスすれば、立派なランチになります。それでも、お弁当を買うよりはからだに優しいはずです。ヘルシーな食事にこだわって一生懸命になってしまうと続かなくなりますから、市販の商品も上手に使って工夫することが大切です。
ー手の込んだ料理でなくても、工夫次第でヘルシーな食事になるというのは心強いですね。さっそく生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
堀知佐子(ほり・ちさこ)
管理栄養士・食生活アドバイザー・アンチエイジング料理スペシャリスト。レストラン「Le Rire(ル・リール)」シェフ。京都の調理師学校で教鞭をとった後、京料亭「菊乃井」の物販事業部責任者を経て、2010年株式会社「菊の井」常務就任。08年アンチエイジングをコンセプトとしたレストランを開業。料理教室の開催、地方自治体アドバイザー、講演など、食と健康をテーマに幅広く活動。著書に『みそと野菜でアンチエイジング』『100歳まで錆びない栄養レシピ』など多数。
取材・文/飯塚りえ
イラスト/はまだなぎさ
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提供元:「痩せたい」「食べない」生活を見直そう【教えて、ドクター!】|ワコール ボディブック