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2018.05.08

やり遂げる力は「死ぬ気で遊ぶ」から生まれる|プロトレイルランナーに学ぶ人生の極意


プロトレイルランナーの鏑木毅氏(写真提供:Cloud9)

プロトレイルランナーの鏑木毅氏(写真提供:Cloud9)

人生においても、仕事においても、いざというときに真の実力を出せるかどうかは、それまでくぐってきた修羅場の数で決まる。プロトレイルランナーの鏑木毅氏は、なぜ最も過酷なウルトラトレイルの世界で、トップランナーの仲間入りができたのだろうか。
いじめられっ子、三流ランナー、無気力公務員から40歳で世界3位になった鏑木氏の著書『プロトレイルランナーに学ぶやり遂げる技術』には、ビジネスパーソンが修羅場を乗り越える際に大いに参考になる「技術」も紹介されている。

著書『プロトレイルランナーに学ぶやり遂げる技術』 ※アマゾンのサイトに遷移します

今日は身体がダルいから、サボりたい。昨日遅くまで仕事だったから、今日はゆっくり休みたい。雨だから、ちょっと軽めのメニューにしておこう。少しでもラクをしたいという誘惑は、あらゆるところから忍び寄ってきます。そんなとき、僕は「これは練習じゃなくて遊びなんだ」と思うようにしています。そう思うと、不思議と気持ちが前向きになれるのです。

根っこにあるのは、山を走ることが好きということです。山を走ることで自分が解き放たれ、どこまでも自由になれる、100%以上の力を出し切れると思っています。

トレイルランニングのおもしろさに衝撃

28歳ではじめてトレイルランニングというスポーツに出会ったとき、そのおもしろさに衝撃を受けました。はじめて出た山田昇記念杯登山競争大会で優勝し、その後、レース以外にもあちこちの山を訪れました。登山やトレッキングなら2、3日かかるようなルートでも、走っていけば1日で行ける。そして、山を走るときに五感全部を使って感じる爽快感と、次はどんな景色が見えてくるのかというワクワク感。こんなに気持ちいいことはない、これ以上おもしろいものはないというのがすべてのベースです。

とはいえ、毎日同じようなトレーニングをしていると、どうしても「こなす」意識が出てきてしまって、100のつもりが70や80の力しか出せないことがあります。ウルトラトレイルを走るうえでは、12時間、20時間走り続けるようなキツいトレーニングも大小さまざまにある練習における大事なピースの一つですが、これを「やらなきゃいけない」「このピースをはめ込まなきゃいけない」と思った瞬間、そこに義務感が出てきてしまう。

ただでさえキツいトレーニングなのに、誰かにやらされて走るのでは、力が出せるはずがありません。そんなときこそ、「これは遊びなんだ」と思い込むことが大事なのです。

車を運転して現地に向かうときから、「頂上からどんな景色が見えるかな」「どんな楽しいことが待ってるかな」「どんな花が咲いてるかな」「どんな人がいるかな」とワクワクする気持ちに変えていく。トレイル以外でも、刺激の少ないロードのトレーニングでもなるべくそういったことを感じながら、つねにモチベーションが腐らないようにしていくことが、すごく大切です。

トレーニングの一環として、あえて雨の日や雪の日に山を走ることもあります。レース本番で吹雪の山中を走ることもあるからです。でも、雨だからといってイヤとは考えないようにしています。晴れているときだけが最高というわけではないし、雨水を吸った草や落ち葉がフワッと沈み込む感覚も嫌いじゃありません。それに、雨が降り、どんよりとした深い森の中を一人で走るときのほうが、周囲のことも気にならず、自分に集中できます。いろいろなアイデアが浮かんでくるのは、決まってそんなときです。

そうやって、どんな些細なことでもつねに楽しむ姿勢、ワクワクする気持ちを持つことでプラスアルファを引き出すのが僕のスタイルです。逃げたい、ラクしたいという気持ちをプラスのエネルギーに変えるのは、「今日も思いっきり遊んでこよう」という子どものような気持ちです。

「死ぬ気で遊んできます」

誰かに「ああしろ」「こうしろ」と強制されて、それにひたすら耐えて練習できるほど、僕はメンタルが強くありません。トレイルランニングに出会う前の僕が、陸上競技で大成できなかったのは、決められたメニューを「こなす」ことにどうしても真剣になれなかったからでもあります。でも、自分がおもしろいと思えることに対しては、考えられないような力を発揮できる。そのことを僕は強く自覚しています。

僕にとって、日々のつらい練習も、自分の限界に挑む本番のレースも全部「遊び」です。といっても、遊びだから適当にやるわけではなくて、とことん真剣に遊ぶこと。毎日ずっと真剣に遊び続けた集大成で、最後の一番大きなごほうびがレースだと思っています。みんなが注目しているところで、どでかい遊びをしてくるぞ、という感覚です。だから、僕はレース直前によく言うのです、「死ぬ気で遊んできます」と。

仕事でも、無理やり何かをやらされるのは苦手です。「これをやらなきゃ」と思うと逃げ出したくなるし、大きなプレゼンをやるときに「ここで決めなきゃ」と思うとプレシャーで萎縮してしまう。でも、それを楽しむ気になれば、いろいろなアイデアが湧いてくる。たとえ失敗したとしても、戦国時代と違って首を斬られることも、切腹を命じられることもありません。最近では、「人生は壮大な遊びだ」と達観できるようになってきました。

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『プロトレイルランナーに学ぶやり遂げる技術』は5月1日発売(クリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

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提供元:やり遂げる力は「死ぬ気で遊ぶ」から生まれる|プロトレイルランナーに学ぶ人生の極意|東洋経済オンライン

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