2017.08.10
ペパーミントで目覚めスッキリ|アロマオイルの選び方と活用法
室内香や柔軟剤など、香りの成分として「アロマオイル」を含むアイテムを楽しんでいる人は多いと思います。その中でも香りがよいだけでなく心身によい働きを得られる天然成分を100%含んだオイルは「精油(エッセンシャルオイル)」と呼ばれて区別されています。今回は、ハーブとアロマの専門店「生活の木」の梅原亜也子さんに、目的別の精油の選び方や効果的な活用法についてお話を伺いました。
目次
-アロマオイルと精油の違いとは?
-精油の選び方
-自宅でできる精油の活用法
-精油を使ったマッサージ法
-【眠りの悩み別】精油の活用法
-精油使用時の注意点
アロマオイルと精油の違いとは?
快眠やストレス解消、リラックスのために「アロマオイル」や「アロマテラピー」を試したいと思っても、種類や使い方について「よくわからない」といった人もいるかもしれません。まず、「アロマオイル」や「アロマテラピー」の定義についてよく理解したうえで、目的に応じた使い方をしましょう。
アロマオイルと精油
アロマオイルやアロマテラピーの“アロマ”とは“香り”のことを指します。合成成分なども含む、香りのするオイル全般を「アロマオイル」、成分が100%天然由来のものを「精油(エッセンシャルオイル)」と呼んで区別します。スキンケアや入浴剤などの効果を実感するためには、必ず「精油」を利用しましょう。精油を使用する自然療法は「アロマテラピー」と定義されており、心身へさまざまなよい影響を与えるといわれています。ただし日本では、一般的な医療とは区別されています。
アロマテラピーの作用
精油を使って行う、アロマテラピーの主な作用は以下の通りです。
リラックスする
脳に精油の香りが伝わると精神的にリラックスするといわれています。香りを受け取る「嗅覚」は、食べ物を見つけたり危険を察知したりするなど、人類の最も原始的な脳機能の一部といわれており、香りから受ける刺激は自律神経をつかさどる脳の視床下部へ伝わります。そのため、好みの香りを嗅ぐと心地よさを感じ、副交感神経が優位になり、リラックスした状態になります。
精油の種類
精油の香りは精油が抽出される植物の系統によって7つに分類することができ、それぞれに異なる作用があります。
ハーブ系
花や葉から抽出され、最もポピュラーとされる種類です。
【香りの特徴】草花をイメージさせるすっきりとした香り
【代表的な精油】ミント、ローズマリー、ペパーミント
【主な作用】元気になれる、気持ちがやわらぐ
柑橘系
柑橘系果物や、それに似た香りの植物から抽出されます。主に食用となる果物から採られることが多いため、親しみやすい香りの種類とされています。
【香りの特徴】さわやかで甘い香り
【代表的な精油】オレンジ、グレープフルーツ、レモン
【主な作用】前向きになれる、リフレッシュ
フローラル系
主に花びらから抽出されるもの。抽出できる量が限られていることから、比較的高価です。
【香りの特徴】甘くて華やかな香り
【代表的な精油】バラ、ネロリ
【主な作用】女性ホルモンのバランス調整、幸福感を得られる
オリエンタル系
木の根や葉などから抽出されます。持続力が高いため香水の原料として使用されることが多い香りです。
【香りの特徴】スパイシー、あるいはスモーキーでエキゾチックな香り
【代表的な精油】パチュリ、ベチバー
【主な作用】緊張の鎮静
樹脂系
芳香を放つ木である香木の樹脂から抽出されます。美肌効果が高いものもあり、美容クリームの原料として使用されることもあります。
【香りの特徴】柑橘系のようなフレッシュな香りもあればスモーキーな香りもあり、さまざま。
【代表的な精油】フランキンセンス
【主な作用】呼吸を深くし、心を落ち着かせる
スパイス系
料理のスパイスとしても使用される香辛料から抽出されます。
【香りの特徴】シャープでピリッとした刺激の強い香り
【代表的な精油】ジンジャー、ブラックペパー
【主な作用】身体を温める、元気が出る
樹木系
木の葉、枝、樹皮などから抽出されます。
【香りの特徴】森の中にいるような深呼吸したくなる香り
【代表的なオイル】サンダルウッド、サイプレス
【主な作用】ストレスを抑えて心をリラックスさせる
精油の選び方
精油やアロマオイルは専門店や雑貨店などで手に入れることができます。多くの種類がある中から本当に効果的な精油をどのように選ぶか、ポイントをご紹介します。
精油を選ぶときのポイント
「100%天然成分」かどうか
100%天然成分のオイルを「精油」といい、抽出した植物本来の香りや効能が十分に含まれています。しかし「合成のアロマオイル」の場合、効果を得られないだけではなく、かぶれなどのトラブルの原因にもなります。効能を求めたい場合は「精油」を選びましょう。
基礎情報の表示がラベルに書かれているか
品質の悪いものは、品名、原料となる植物の学名、抽出方法、原産国、輸入元などの説明が書かれていないことがあります。どこで、何から、どのように抽出されたかによって、成分が異なります。ラベルは必ず確認するようにしましょう。
自分が心地よいと感じられる香りか
自分の好みではない香りを使用することはストレスにつながるため、好みの香りであるかという点がとても大切です。まずは目的の効果を得られるものをいくつか探して、その中から最も自分が好きな香りのものを選びましょう。自分好みの香りにブレンドすることもおすすめです。どんな組み合わせにしたらよいかわからないという人は、購入する際に気軽に店員に相談してみましょう。
自宅でできる精油の活用法
手軽に精油を楽しみたい人のために、ディフューザーなどの専用器具を使わず自宅にあるものだけで簡単に効果を得られる方法をご紹介します。
マグカップに精油を垂らす
熱いお湯を入れたマグカップに精油をたらすだけで、部屋に香りが広がって「芳香浴」を楽しめます。就寝前に寝室に置くと、香りによって精神が落ち着き安眠効果が得られます。仕事中にオフィスのデスクの上に置くとイライラした状態が緩和したり、集中力がアップしたりするので、仕事の効率アップも期待できます。
布類に精油を垂らす
ハンカチなどの布類に精油を垂らすと簡単に香りを持ち運べます。就寝時には枕元に置くことで香りを身近に感じることができるので、リラックスした眠りが得られます。色がついた精油は布にシミとなる恐れがあるので、使わなくなったハンカチなどを使用しましょう。
精油をお風呂に垂らす
入浴時に精油を使用すると、身体を温めると同時に香りによるリラックス効果が期待できるので、身体をより入眠しやすい状態にシフトさせることができます。天然塩200gに精油を10〜15滴垂らしてよくかき混ぜるとアロマソルト(入浴剤)ができあがります。天然塩の保湿効果と、香りでリラックス効果を得ることができます。一回のアロマソルトの使用量は30〜50gが目安です。
精油を使ったマッサージ法
前述のように天然成分100%の精油の香りは心地よさをもたらします。精油を使ったマッサージ用トリートメントオイルで手や指をマッサージすると疲れがほぐれ、冷えが取り除けます。爪の先には神経が集中しているので、マッサージをすることはストレス解消にも効果的です。
マッサージ用トリートメントオイルの作り方
[材料]
・キャリアオイル(トリートメント用のオリーブオイルなどの植物オイル)…30ml
・精油…3〜6滴
※精油は有効成分が高濃度に凝縮されているため、直接肌に使用すると炎症などを起こす恐れがあります。必ずキャリアオイルなどで薄めて使いましょう。
[道具]
ビーカー、ガラス棒、保存容器
[作り方]
1、 ビーカーにキャリアオイルと精油を入れてガラス棒でよく混ぜる
2、 1を保存容器に移して出来上がり
※1ヶ月以内には使い切りましょう。
マッサージ用トリートメントオイルを使ったハンドマッサージ法
ハンドマッサージをする前に、オイルが衣服に垂れないように、膝の上などにタオルを用意しておきましょう。
[ハンドマッサージの手順]
※今回は生活の木で販売している、精油を使用したマッサージ専用のトリートメントオイルを使用します。
[1] 手に500円玉大のトリートメントオイルをとる
[2] 手首から指先に向かってなでるようにしながら、手の表裏にトリートメントオイルをなじませる。腕のほうまでのばしてもOK
[3] 親指で指の付け根と付け根のあいだの水かき部分を、「痛気持ちいい」程度の力で3秒かけて押して、その後3秒かけて戻す
[4] 折り曲げた人差し指と中指の間に反対の手の指を挟み、付け根から指先まで3秒ほど軽く押していく
[5] 小指〜親指の順で指先をつまみながら右回り、左回りに1回ずつ回す
[6] 親指で、各指の爪を「痛気持ちいい」程度の力で3秒ほど押す
[7] 親指と人さし指のあいだにある「合谷(ごうこく)(※)」というツボを3秒ほど押す
※合谷…心身の痛みを緩和させたり、ストレスを軽減させたりするツボ
[8] 手順3〜7を反対の手でも行う
ハンドマッサージの順番や時間は自分が気持ちいいと感じるタイミングで行ってください。手の甲をさすったり、腕をもんだりするなど、自分なりのハンドマッサージ法も見つけてみましょう。
【眠りの悩み別】精油の活用法
精油の効能のひとつに快眠・安眠があります。「目覚めが悪い」「なかなか寝付けない」といった睡眠に関する悩みを抱えている人のために、睡眠に効果的な精油とその効果を高める方法をまとめました。
目覚めの悪さには「ペパーミント」
「ペパーミント」に含まれるメントールは朝の心身のだるさを改善して活力を与えてくれる効果があり、爽やかな寝起きが期待できます。また、鎮静効果があるので夏の暑さの寝苦しさを緩和します。
【活用法】スプレー容器の中に5mlくらいの無水エタノールを入れて精油を5~6滴たらし、45ml程度の精製水で薄めたものを寝室や洗面所などに噴射する。
ストレスで眠れないときは「ラベンダー」
鎮静作用のある「酢酸リナリル」という成分を多く含むラベンダーは、イライラするストレス状態を緩和して安眠を誘う効果があります。
【活用法】マグカップにお湯をはり、ラベンダーの精油を1~2滴落として枕元に置き、心地よい香りを楽しみながら入眠する。
不安で寝付けないときは「オレンジ・スイート」
オレンジの香りは多くの人に好まれる傾向にあります。オレンジ・スイートの9割以上を占める「リモネン」という成分には抗不安作用があるので、気分を変えてぐっすり眠ることができます。
【活用法】洗面器の中に42度前後のお湯を入れてオレンジ・スイートを1~2滴垂らしたところに、10~15分程度足をつける足湯がおすすめです。
精油使用時の注意点
さまざまな有効成分が含まれる精油を用いる際は注意が必要です。使用時の注意点にはどのようなものがあるのでしょうか。
精油使用時の6つの注意ポイント
原液を直接肌につけない
精油は有効成分が高濃度に凝縮されたものです。原液は肌にとって刺激が強すぎ、炎症などの肌トラブルを引き起こす恐れがあります。肌に使用する際は、トリートメント用のオリーブオイルなど植物油などで1%以下に薄めてから使いましょう。
希釈した精油を使う際は、事前にパッチテストを行うとより安心です。特に敏感肌の人は使用前に必ず行いましょう。パッチテストの方法は、トリートメント用のオリーブオイルなどのキャリアオイルに精油を加え、1%の濃度に薄めたものを肌に塗布します。例えば、30mlのキャリアオイルに対して精油の量を1%にしたい場合は、精油の量を0.3ml(約6滴)以下にしてください。1〜2日経過して身体に異常が出ないようであれば、使用を始めましょう。
3歳以下、妊婦の使用は要相談
皮膚や機能が未熟な3歳未満の赤ちゃんや幼児には芳香浴以外の使用はできません。また妊婦さんには使用できない精油もあるため、精油を取り扱う専門店のスタッフに確認してみるとよいでしょう。
使用期限を守る
精油には使用期限があります。また開封すると劣化するため、使用期限内でも香りが変化していると感じる場合は使用を中止してください。
内服しない
精油は食品にも使われるバニラエッセンスなどとは異なり、内服すると肝臓などの消化器官に害を与える危険性があります。小さな子どもがいる場合は、手の届かない場所に保管するようにしましょう。
火の元に注意する
精油は引火の危険性がある液体です。使用時はキッチンや暖房などの火の気のある場所を避けましょう。保管の際は冷暗所に置いてください。
<参照>
▼書籍
『新版 これ1冊できちんとわかるアロマテラピー』梅原亜也子(マイナビ)
photo:Getty Images
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提供元:ペパーミントで目覚めスッキリ|アロマオイルの選び方と活用法|フミナーズ