2017.07.21
自発的に動く子に!「親子手帳」という仕掛け│「親のコメント」が子どもを変えていく
「親子手帳」の仕組みと使い方とは?(写真 : photoman / PIXTA)
【質問】
小1と小4の子どもがいます。私は働いているため、子どもと一緒にいる時間はそれほど多くありません。限られた時間で、子どもに寄り添ってあげたいと思いつつも、子どもを叱ってばかりいます。夜になって、子どもが寝てから、「あんなこと言わなければよかった」と反省する毎日です。「勉強しなさい」と言ってはいけないとわかっていても言ってしまいますし、子どもの欠点ばかりが目について指摘してしまいます。どのようにしたらこの悪循環を変えられるでしょうか。
(仮名:中村さん)
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ついイライラしてしまう!を改善するには
お仕事をされながら、子育てをされている方は、ひと昔前に比べ、非常に増えてきました。
限られた時間の中で子どもと接し、充実した時を過ごす方がいる一方で、その時間を叱る、怒るの時間にしてしまい、後悔してしまう中村さんのような方も少なからずいます。
親も人間ですから、仕事でのイライラがあってそれを家庭に持ち込んでしまったり、子どものちょっとした言動が気に障るということもあることでしょう。
しかし、限られた親子の時間がそうなってしまうことは、とても残念なことです。なんとかこの状況を打開したいものですね。
そこで、中村さんには「親子手帳」をお勧めします。この仕組みを使うことで、大分ラクになるはずです。
現在、私は全国から相談メールをたくさんいただいたり、ママカフェという少人数勉強会を主催したりしているのですが、そこでの質問の多くは「勉強しなさいと言わないと勉強しないのですが、どうしたらいいでしょうか」といったものです。
もちろん、各家庭によってその背景は異なりますが、このような主旨の質問が大半を占めます。
そこで、私は「子ども手帳」という仕組みを考案し、以前、東洋経済オンラインの「効果大!子どもの生活習慣を整える『手帳術』」という記事で「子ども手帳」について紹介しました。これは、子どものお気に入りの手帳を手に入れ、自分が日々やるべきことを書き込んでもらい、達成できたらポイントを与えるというだけの仕組みです。毎日楽しく自己管理してもらうというものです。「子ども手帳」といっても、何か特別な手帳を買う必要はありません。市販の手帳を使うのでもよし、自作するのでもOKです。
東洋経済オンライン「効果大!子どもの生活習慣を整える『手帳術』」 ※外部サイトに遷移します
この単純な仕組みだけで、「子どもが自発的に宿題をするようになった」「~をしなさい!と言う回数が大きく減った」など、効果が出たという声をたくさんいただいていますが、その中である発見がありました。それは、ママさんやパパさんがこの手帳に「直筆コメント」を積極的に入れるようになったということでした。
親のメッセージの影響は絶大でした。子どもの意欲が増し、さらに大きな成果につながっていったのです。この親の直筆コメントが入った手帳が、「親子手帳」です。では、その仕組みと使い方についてご説明しましょう。
「親子手帳」の進め方
1.子どものお気に入りの手帳を手に入れる
まず、子どものお気に入りの手帳を手に入れましょう。“お気に入り”という部分が重要です。親から与えられた手帳ではモチベーションが上がりにくいのですが、本人が自発的に選んだものだとまったく違ってきます。親が与えた手帳であっても、シールを貼ったり、デコレーションしたりして“自分のもの”となるのであれば問題ありません。
2.これから1週間分の予定を自分で書かせる
今後1週間分について「毎日やるべきこと」を書き込みます。重要なことは“自分で”書かせるということです。親が書くと「親の言われたことをやるという習慣」が身に付いてしまいます。そうすると、親が書かないとやらない子になりかねませんので、自分で書かせましょう。もちろん、親はサポートしてあげてください。書く内容は、「日々のプリント」「宿題」「お手伝い」「早寝早起きなどの生活習慣」などです。習慣化させたいことを書いていくとよいでしょう。
3.日々終わった事柄は赤で消し、ポイント化する
「宿題」「お手伝い」など自分で決めたやるべきことについて、やり終わったら赤で消していきます。そして、1つ終われば、ポイントとします。ポイントとはやったことを点数化する「見える化」の仕組みで、1つのやるべきことが終われば、それをポイントとして点数化するのです。点数がそのまま、自分のやったことを表し、モチベーションアップにつながります。点数をどうつけるかは各家庭それぞれでかまいません。
消す色は何色でもいいのですが、これまでの例では、なぜか赤色が圧倒的に効果がありました。「やりきった感覚」が得られやすいのかもしれません。その際、やれなかった項目は消さず、そのまま残します。消せなかった分は、翌日以降、その週末までに消し込むこととします。もしできなかった場合は、ポイントにならないようにします。ですから「なぜやらないの」と言ってはいけません。やらなければポイントにならないだけですので、言葉で追い詰める必要はありません。
ポイントを精算し、次週の予定を立てる
4.毎週末、消えた分だけポイント精算する
毎週末に親子でポイントを精算します。特に1週間ごとというルールが絶対に大切というわけではありませんが、集計単位としてキリがよいことから毎週末とするのがいいと思います。そして次の1週間の予定を書き込んでいきます。
5.親がコメントを入れてあげる
1週間頑張った子どもに、親から手帳にコメントを入れてあげましょう。週1回でも、毎日でも特にコメントの頻度の指定はありません。あまりにも間が離れなければいいでしょう。これにより、子どもとの絆や信頼関係が深まります。内容については、以下の点だけ留意してください。
1. コメントはプラスの言葉であること
→手帳は、親が子どもを管理するためのものではありません。子どもが自分自身を管理していくための手帳です。何ができなかったといったマイナスの言葉ではなく、できている部分についてプラスの言葉を入れてあげてください。
2. 子どもの成長に合わせて徐々に漢字を増やしていく
→家庭で使われる語彙(ボキャブラリー)がどういうものであるかが、非常に重要です。そのレベルによって学ぶ力が変わってくることさえあります。せっかくなので、ちょっと難しい言葉を使ったり、漢字を使って、語彙を増やす機会にしてしまいましょう。就学前の子や小学校低学年の子であっても、ずっとひらがなだけではなく、漢字も入れていってください。ただし読めない可能性があるものは、ふりがなも入れるなどの工夫があってもいいでしょう。
アドバイスは比較的すんなりと受け入れる
3. ただ「警告」を与えるのではなく、具体的に「ワンポイントアドバイス」をする
先ほど、マイナスの言葉はNGと書きましたが、ワンポイントアドバイスをしてあげるのはOKです。
人は、強制されたことに対しては拒絶か嫌々ながらやるという反応を示しますが、アドバイスであれば、比較的すんなりと受け入れます。アドバイスでは、できなかったことについて、「具体的に」どうすればやりやすくなるか、その方法について書いてあげるといいでしょう。
すぐに行動ができるようにしてあげられるようなものがいいですね。
(悪い例)「ちゃんと勉強をやりなさい!」→(効果的な例)「漢字の練習からやると勉強モードに入れるかも」
(悪い例)「宿題やっていないね~」→(効果的な例)「宿題は朝やってしまうとうまくいくらしいよ」
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これらの写真は、親子手帳の実例です。それぞれ工夫して親子で取り組んでいるのがわかるかと思います。
工夫をして親子で楽しめるようにすることがポイント
ポイントは親子で楽しめるようにするということ。ぜひこうしたツールを使って、親子の絆を深めていってくださいね。きっと叱ってばかりの毎日が変わることと思います。
石田 勝紀 :緑進学院 代表取締役
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提供元:自発的に動く子に!「親子手帳」という仕掛け │「親のコメント」が子どもを変えていく│東洋経済オンライン