2017.07.06

「親に反抗し始めた子」への過干渉は危ない│学校をやめてしまったケースもある


親の指摘を受け入れず、反抗的態度を取っているとき、親はどうしたらいい?(写真:foly / PIXTA)

親の指摘を受け入れず、反抗的態度を取っているとき、親はどうしたらいい?(写真:foly / PIXTA)

【質問】

小6の息子の件でご相談です。家庭での学習習慣の定着以前に、父親である私の指摘を素直に聞き入れず、反抗するばかりで手を焼いています。注意しているわけでもないのですが、何か言おうものなら怒るばかりです。小学生の間は何とか力業も通じますが、これから先が思いやられます。
本人は、プライドが高いのか、間違うと隠そうとするうえ、間違えた問題こそ復習すべきなのに、振り返ろうとしません。したがって勉強時間の割に学力が伸びていません。どう接すれば良いのかアドバイスいただきたく、よろしくお願いします。来春は中学受験をする予定です。

(仮名:岩崎さん)

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反発できるようになったのは、喜ばしいことでもあり…

お子さんが反抗的態度を取り、親の言うことを聞かないという相談は、最近では随分と少なくなりました。現在は、「うちの子は言わないと何もやらないので、いつも急き立てているのですが、どうしたら自主的になるでしょうか」という質問がかなり多いです。特に「勉強は、言わないとやらないのでどうしたらよいでしょうか」という相談は後を絶ちません。しかし、岩崎さんの場合は、これらとは異なりますね。勉強はしているようですが、親の指摘を受け入れず、反抗的態度を取っているという状態ですね。

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一般的理由としては、子どもが思春期を迎えた影響が挙げられます。思春期になるとさまざまな変化があり、親に反抗するようになるというときも当然ありますね。しかし、岩崎さんのご相談内容からは、私は次の2つの原因が組み合わさっていると感じました。

1)これまで親が指示、強制をしてきたことに対する反発

お父さんの文面では、子どもが成長とともに反抗的になり、注意をしていなくても何か言えば怒るという状況になっているということですが、いきなりこのようになったわけではないでしょう。これまでの蓄積があって、あるとき一気に爆発して現在に至ったと考えられます。つまり、これまでの親の対応のツケがここへきて回ってきた可能性があります。

岩崎さんの相談内容にも、「小学生の頃は力業も通じますが」とあるように、これまで力業で封じてきたことに対して、子どもが成長とともに、反発できるようになってきたのです。これは正常な反応であり、喜ばしいことです。

一般的に人は強制・指示されたことに快く行動を起こすとは考えにくいものです。親が「こうすればうまくいくのに自分の子はなぜできないのだ!」「やれと言っているのにやらない!」ともし思っているとしたら、これは大きな勘違いです。強制では人は快く動かないのです。

もちろん親の言うことの中には、社会道徳や倫理観、一般常識や生活習慣など、子どもに教えるべきことがあり、それらは反発しようが、しっかりと教えていく必要はありますが、その場合でも強制的に指導するというよりは、まずは考えさせるというアプローチから入るとよいでしょう。

強みと弱みを強烈に併せ持っている

2)負けず嫌いというパーソナリティの問題

小6の段階でこのような対応を親に取ることができるということは、精神的成長が早いか、負けず嫌いというパーソナリティを持っている可能性があります。特に負けず嫌いというパーソナリティは自分の力で伸びていく非常に強いパワーを持っていると同時に、他の意見を受け入れないという傾向もあり、ゴールまで遠回りしてしまう場合もあります。また極端なマイナスケースでは、負けを認めたくないため、途中で勝負から逃げてしまうことや、うそをついてまでできている自分をつくり出そうとする場合もあります。強みと弱みを強烈に併せ持っているため、上手に対応してあげれば、かなり成長する一方、そうでない場合は大きなマイナスの結果をもたらす場合もあります。

以上の2つが複雑に絡んでいるのではないかと思います。ではこれらの状況に対して、今後どのように対応していけばよいかということですが、その前に次のことをまずは知っておきましょう。

「一般に強者と弱者の人間関係がある場合、強者の立場にある人がまずは変わらなければ、弱者の立場にある人からは変わりようがない。親子の場合は、親が強者の立場にあり、子どもは弱者の立場にある」

先ほどの1つ目の理由であっても、2つ目の理由であっても、まずは親が変わらなければ、何も変化は起きません。そこで具体的に次のような2つのアプローチをお勧めします。

1)何をしないほうがいいか(Do less)

はじめに、何をしないほうがいいかを考えます。通常、「何をしたらいいですか?」と問われることはあっても、「何をしないほうがいいですか?」とは聞きませんね。しかし、問題が起こっているときは、やりすぎていることが少なくありません。岩崎さんの場合も、これまでやりすぎていた可能性があるでしょう。そこで次のような対応を心掛けるとよいでしょう。

「しばらく子どもに干渉しない」

つまり放っておくということです。必要な会話、たとえば「おはよう」などのあいさつなどはしてもいいですが、それに対しても、はじめは子どもは応えないことでしょう。応えなくても怒ってはいけません。本来は、生活習慣はしっかりと子どもが小さい時から習慣づけるのがよいのですが、岩崎さんのような状況に陥っている場合は、反応しなくても親は指摘をしてはいけません。指摘すると悪化するだけです。

勉強しても伸びていかないという状況を目にして、何かと言いたくなるかもしれませんが、いっさい触れることをしません。

2)何をしたらいいか(Do more)

何をしないかということが実現できたならば、次に、何をするかに入ります。いただいた文面では、中学受験をされるということですね。ということは、おそらく塾へ通われているのだと思いますので、家庭での事情を説明し、第三者の先生からアプローチしてもらうことの働きかけをしてみてください。もちろん学校の先生や習い事の先生など近くでお子さんのことをよく知っている方に働きかけてみるのもよいでしょう。

引いてみるというのも大事なこと

しかし、近くにこのような人がいないという場合もあります。そのときは、特に具体的な働きかけをせずに、子どもとは世間話や雑談をするということをします。勉強以外のテーマでしたらいいでしょう。ただし注意しなくてはならないことは、このような手段を取られた結果、子どもの勉強が伸びてきても、親からの心配事や過干渉は禁物です。かつて、私は次のような経験をしたことがあります。

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『ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?』(クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

お父さんが自分の子どもの勉強が心配で、なんでも先回りして「あれをやれ、これをやれ」と指摘をした結果、いっぱいいっぱいになり、動けなくなってしまった子がいました。そこで相談を受け、いっさい勉強に親は干渉しないと決めると同時に、私が子どもと会って、学習に対するモチベーションを高め、さらに勉強方法を指導したところ、みるみる回復し、学力がぐんぐん伸びたのです。しかし、その後それに安心したお父さんは、また子どものことに介入してしまいました。そこで”The End”となってしまったのです。つまり、子どもはもう二度と積極的に勉強をすることはなくなり、学校にも行かなくなってしまったのでした。

子どもが伸びたからといって、初めの失敗した対応方法に戻してしまうと、親子関係もあっという間に元に戻ってしまうということなのです。

いずれにしても、親が少し距離を置いてみることが肝要です。目先の受験が気になり、つい何か働き掛けたくなってしまうかもしれませんが、引いてみるというのも大事なことです。お子さんとの関係づくりがうまくいくことを祈っています。

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石田 勝紀 :緑進学院 代表取締役

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提供元:「親に反抗し始めた子」への過干渉は危ない│東洋経済オンライン

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