2017.06.06
ベジファーストvs肉ファースト“自分に合う食べ方”の探し方
睡眠改善には正しい食知識も大切ですよね。糖質制限をはじめ、様々な食事法が流行する中、どの方法が「正しい」のかが気になるところ。
野菜から先に食べる「べジファースト」に次いで、最近では、肉から食べる「肉ファースト」(プロテインファースト)という食べ方も出てきました。あれ…?野菜から食べた方がいいんじゃないの?一体全体どちらにすべき?と思った方もいるのでは。そこで今回は、自分に合う食べ方を見つけるヒントをご紹介します。
“○○ファースト”最大の目的は「血糖値コントロール」
ベジファーストも、肉ファーストも、食後の血糖値の上昇を穏やかにするという目的は同じです。血糖値を急激に上げないことで、食後の眠気を抑えたり、集中力を持続させたり、身体に脂肪をためにくくしたりと、メリットがいっぱい。そして、食べる順番を変えるだけという手軽さも嬉しいですよね。
厳密に言えば、野菜の方が肉よりもGI値(血糖値の上昇の度合い)が低いので、野菜から食べる方が血糖値の上昇は緩やかになります。では、なぜ、肉から食べるべきだという意見が出て来たのでしょうか。そして、どちらが「正解」なのでしょうか。
べジファーストの落とし穴
“○○ファースト”とは、本来「先に食べる」という意味ですが、○○だけ食べるのが良いと誤解されてしまう場合があります。
ベジファーストを実践する多くは、“ダイエット部”の皆さんです。ダイエット部員の方は口々に、「野菜中心に食べています」と言います。
すると中には、とにかくサラダ!サラダ!サラダでお腹いっぱいにするのが良いのだ!という野菜至上主義がはびこり、肉や米は悪であるという偏った考えを持つ人も出てきます。
しかし、ここにはひとつ誤解があります。ローカロリーだからと言って、野菜ばかり食べていてはうまく痩せられません。脂肪燃焼に必要な栄養素がまかなえず、代謝が落ちてかえって痩せにくくなる場合があるのです。
この時、特に不足しやすいのが、たんぱく質です。そこで、ダイエットをしている人こそ、意識的にたんぱく質を摂ろう!というのが肉ファーストを勧める理由のひとつです。
肉ファーストの落とし穴
一方で、肉ファーストなるキーワードが登場する前から肉を優先して食べている人もいます。それは“筋トレ部”の皆さんです。
筋トレをする人の多くは「毎日ささみを食べています」と言います。すると中には、とにかくプロテイン!プロテイン!そうだね、プロテインだね!というたんぱく質至上主義がはびこり、たんぱく質以外は価値が低いという偏った考えを持つ人も出てきます。
しかし、ここにもひとつ誤解があります。たんぱく質だけでは筋肉はつくられません。筋肉の合成に必要な栄養素がまかなえず、いくらトレーニングをしても筋肉量が増えない場合があるのです。
この時、特に不足しがちなのは野菜から摂取できるビタミン・ミネラル・食物繊維です。
つまり、ダイエットをしたくて野菜中心に食べている人は肉(たんぱく質)が、筋肉をつけたくてたんぱく質を意識的に摂っている人は野菜(ビタミン・ミネラル・食物繊維)が不足しやすい状況にあります。
では、いったいどんな食べ方がベスト?
ベジファーストにも肉ファーストにもある落とし穴。ではいったい何を基準に食べ方を選べば良いのでしょうか?おさえておきたいポイントをまとめました。
ダイエット=野菜 筋肉=ささみというイメージは捨てる
結論から言えば、野菜から食べても、肉から食べても構いません。それよりも大切なのは、何かを集中的に食べたり、何かを極端に減らしたりというのではなく、主食・主菜・副菜をそろえ、それぞれ必要な分だけ食べること。ベジファーストも、肉ファーストも、あくまで「食べ順の提案」だということを忘れないようにしましょう。
ベジファーストor肉ファーストは、食べ癖から考える
先にもお伝えした通り、血糖値の上昇を穏やかにするという目的は同じです。どちらがより自分に合っているかで決めればいいのです。
例えば、自分に不足しがちなものを意識して食べるという意味で、ダイエット中の方は肉から、筋肉をつけたい方は野菜から、と考えてみてはいかがでしょうか。
早食いによる食べ過ぎを防ぎたいなら肉ファースト
血糖値を上げにくいのは野菜ですが、肉は噛む回数が多いので、野菜から食べるより満腹感を感じやすいというメリットがあります。早食い癖のある方は、肉から食べて食べ過ぎを防止するというのもひとつの手です。
野菜とたんぱく質の適正量を知っておく
ダイエットや身体づくりはもちろん、毎日を健康的に過ごすためにはどのくらい食べたら良いのでしょうか。野菜とたんぱく質の1日の摂取目安量は以下の通りです。
野菜:成人350g以上。
プラスワンポイント・・・根菜(人参・大根・ゴボウ・レンコンなど土の中に生る野菜)、葉もの(キャベツ・小松菜・ほうれん草など土の上に生る野菜)、実の野菜(トマト・ナス・ピーマンなど種のある野菜)を組み合わせて食べましょう。
たんぱく質:体重1キロあたり1g~2g。筋トレをする方やアスリートは2gを目安に。
プラスワンポイント・・・たんぱく質は肉だけでなく、魚や豆類など、動物性と植物性の両方から摂りましょう。
量より質が大切なのは、睡眠も食事も同じ。体型を気にするあまり、量(カロリー)ばかりに囚われるのではなく、食べる物の役割を考えられるようになるといいですね!
photo:Getty Images
編集部内で信頼できると判断した情報、並びに医師や専門家への取材を元に信頼性のある情報提供を心がけておりますが、自己の個人的・個別的・具体的な医療上の問題の解決を必要とする場合には、自ら速やかに、医師等の適切な専門家へ相談するか適切な医療機関を受診してください。(詳細は利用規約第3条をご確認ください)
菊田恵梨
健康食品メーカーに10年間勤めた後独立し、2015年に株式会社ボディトーンを設立。スポーツ栄養のプロ・アスリートフードマイスターとしての知識と経験を活かし、スポーツサプリメント(BODY TONE SPORTS)をプロデュースする。その他、アスリートへの栄養指導、減量指導、フィットネスクラブでのダイエット監修、セミナー、コラム執筆など、多方面において食を通じたパフォーマンス向上をサポートしている。
提供元:ベジファースト vs 肉ファースト“自分に合う食べ方”の探し方|Fuminners