2025.04.09
70歳を超えたら毎日の食事は「冷凍庫・電子レンジを味方に」
電子レンジは蒸しなすを作る際などシンプルな使い方をしてきましたが、70代ならではの使い方をしたいとレシピを考えました(写真:『人生これから!ひとり暮らしの元気が出るごはん』)
料理研究家の大庭英子さんは71歳。キャリア45年以上で、ジャンルを超えた料理のおいしさに多くのファンがいます。そんな大庭さんが提案する、身近な材料と調味料で「食べたいときにすぐ作れる!がんばり過ぎない」ひとりごはんを真似してみませんか?
大庭さんの新著『人生これから!ひとり暮らしの元気が出るごはん』より一部を抜粋・再編集し、本記事では冷凍と“レンチン”活用のヒントやレシピをご紹介します。
"元気"を支える冷凍術
70代からの食事作りに大きな助けとなるのは冷凍庫。冷凍庫は料理の仕事をするうえでも大事な存在ですが、仕事をやめてからも必要不可欠なものだと思っています。
食べたいものを、食べたいときに、おいしく食べる。そのためにおすすめしたいのが食材の冷凍です。特に肉や魚など、元気の源となるたんぱく質食材を冷凍庫に常備しておけば、買い物に行けないときでも食べたいものをささっと作ることができます。
牛切り落とし肉、豚バラ薄切り肉、鶏や豚のひき肉、合いびき肉は、多めに買い、買ってきたらすぐ1人分80〜100gに分けて冷凍しておきます。
魚は切り身を。特におすすめなのが甘塩の塩鮭です。ごはんのおかずのイメージがある塩鮭ですが、パスタやクリーム煮などの洋風料理の食材としても使えて、とてもおいしいのです。
70代からの食事作りに冷凍庫は強い味方。毎日の食事を楽しく、おいしく。そして栄養不足にならないためにも、冷凍した食材をじょうずに使いこなしていきましょう。
豚肉、牛肉、ひき肉、塩鮭も冷凍しておけば、いつでも食べられます。
肉や魚を冷凍する前の様子(写真:『人生これから!ひとり暮らしの元気が出るごはん』)
70代以降も健康を維持するためにはたんぱく質が大切。60代以上でもたんぱく質は1日50~65gは必要といわれています。豚肉や鶏肉100gに含まれるたんぱく質は約20g。意識しないと必要な量はなかなかとれません。
薄切り肉やひき肉は速く凍り、速く解凍できるように小分けにし、薄くしてラップで包み、さらに冷凍用保存袋に入れて冷凍します。
おいしい"レンチン"レシピのPOINT
電子レンジは再加熱など、限られた使い方しかしてきませんでした。でも、火を使わず、なべや調理用具などの洗い物が少なくなるなど、70代にとって電子レンジは便利で頼もしい存在になるかもしれない、と思ったのです。
電子レンジを使い、おいしくて、テーブルに出せる食器を使い、1回の調理で完成できるレシピを、と考え試行錯誤しました。
食材のうまみが十分に出にくいのがレンジ調理の難点であり、野菜も熱の通りが悪いものがあるので、食材選びや切り方に工夫が必要、と気づきました。
そして生まれたレンジを使ったレシピを本記事でもご紹介します。お使いの電子レンジによって加熱時間の調整が必要かもしれませんが、ぜひ、お試しを。
レンチンでおいしく食べられる食材を選ぶ
牛肉も豚肉も熱が通りやすい薄切り肉がおすすめです。豚肉はうまみのある豚バラを。ひき肉は鶏でも豚でも合いびきでも。鮭やさば、白身魚などの切り身も熱が通りやすい。
野菜は水分が多いなすやじゃがいも、きのこなどを。葉野菜は下ごしらえのいらない小松菜や水菜、キャベツなどで。水分の多いとうふも使いやすい食材です。
下味をしっかりつけると味がぼやけない
電子レンジ調理では、じか火調理のように調理の途中や最後に調味料を加えて味をつける方法ではなく、最初に下味を食材にしっかりつけるのがおいしく仕上げるポイントです。
チンジャオロースーもさばのみそ煮も、下味をしっかりつけ、少し時間をおいてから調理することで、味がぼやけません。
魚に下味をつける(写真:『人生これから!ひとり暮らしの元気が出るごはん』)
追加加熱は10秒ずつ。時間をおくとおいしくなるレシピも
お使いの電子レンジによって加熱状態が異なるので、まだ熱が通っていないかな、と思ったら、10秒ずつ再加熱をして様子を見てください。
また、さばのみそ煮はできたてを食べてもいいのですが、冷ましてもう一度加熱すると味がしみてさらにおいしくなります。午前中に作っておいて、夕飯に食べるのもおすすめです。
食材によって加熱しやすい切り方を工夫する
チンジャオロースーのピーマンは縦に切ることが多いのですが、電子レンジ調理では繊維を断つように横に細く切ると熱が通りやすく、口当たりのよい仕上がりになります。にんじんや大根などは、ピーラーを使って薄くリボン状にすると熱が通りやすく、食べやすいです。
"レンチン"でかぶら蒸し
白身魚のかぶら蒸し風
かぶら蒸しもレンチンで簡単にできます。すりおろしたかぶにかたくり粉と塩をまぜてからかけるのがポイントです。
白身魚のかぶら蒸し風(写真:『人生これから!ひとり暮らしの元気が出るごはん』)
【材料(1人分)】
白身魚の切り身(たい、たらなど)…1切れ
かぶ…大1個(80g)
しめじ…60g
かぶの葉…30g
にんじん…20g
酒…小さじ1
塩…少々
A かたくり粉…小さじ1
塩…小さじ1/6~1/5
おろしわさび…少々
【1】白身魚は骨を除き、3~4等分のそぎ切りにする。ボウルに入れて酒、塩を振ってまぜ、下味をつける。
【2】しめじは根元を切り落としてほぐす。かぶの葉は3~4cm長さに切る。にんじんはピーラーでリボン状にする。
【3】かぶは皮をむいてすりおろし、ボウルに入れてAを加えてまぜる。
【4】汁けをきった白身魚、しめじ、かぶの葉、にんじんを耐熱の器に盛り、全体に「3」をかける。ラップをふんわりとかけ、電子レンジ(600W)で3分ほど加熱する。わさびをのせる。
簡単に作れる"巻き蒸し"料理
豚肉の野菜巻き蒸し
やわらかいしゃぶしゃぶ用の豚ロース肉で野菜を巻きます。野菜は火の通りやすい3種類。あっという間に完成。
豚肉の野菜巻き蒸し(写真:『人生これから!ひとり暮らしの元気が出るごはん』)
【材料(1人分)】
豚ロース肉(しゃぶしゃぶ用)…6枚(80g)
えのきだけ…40g
長いも…40g
豆苗…20g
みそ…大さじ1
酒…大さじ1
【1】豆苗は根元を切り落とし、7~8㎝長さに切る。えのきだけは根元を切る。長いもは6~7㎝長さの棒状に切る。
【2】まないたに豚肉を2枚1組にして広げ、酒でといたみそを塗り、それぞれ手前に1の野菜をのせてくるりと巻く。
豚肉は、まないたに2枚1組で広げて、みそを塗る(写真:『人生これから!ひとり暮らしの元気が出るごはん』)
【3】耐熱の皿に2を間隔をあけて並べ、ラップをふんわりとかけ、電子レンジ(600W)で1分30秒~2分加熱する。とり出して半分に切る。
『人生これから!ひとり暮らしの元気が出るごはん』(主婦の友社)
※クリックするとAmazonのサイト(外部サイト)にジャンプします
【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します
提供元:70代の食事づくり「冷凍庫・電子レンジ」活用術 |東洋経済オンライン