2025.03.16

医師が解説「健康診断」までに肝臓を改善するコツ|「あと1週間しかない」検査前に気をつけること


「健康診断前に肝機能の数値を改善するコツ」について解説します(写真:アオサン/PIXTA)

「健康診断前に肝機能の数値を改善するコツ」について解説します(写真:アオサン/PIXTA)

近年、肝臓の健康に注目が集まっています。医学が進歩して、肝臓こそ健康長寿を実現するカギになる臓器だということが分かってきたのです。
たとえば、「脂肪肝」は、これまで「誰でもかかるたいしたことない病気」のように扱われてきましたが、じつは「動脈硬化や糖尿病などを招く重大な病気」であることが判明しています。脂肪肝を甘く見て放っていたら、老化や病気が加速して、先々の人生を大きく狂わせることにもなりかねません。
ただ、肝臓は、ポイントを押さえたケアを行えば復活する臓器です。肥満やアルコールなどの問題で長年健診の肝機能の数値が悪かった人も、やるべきことをやりさえすれば短期間で回復させることができます。
では、どんなケアを行えばいいのか。肝臓専門医として46年間、患者を診察し続けてきた栗原毅医師は、新著『肝臓大復活』の中で、すぐに役立つ肝臓ケアのノウハウを惜しみなく紹介しています。
以下では、その栗原医師が「健康診断前に肝機能の数値を改善するコツ」について解説します。

軽い脂肪肝は1週間で回復することも可能

「健康診断までもうあと1週間しかない」「肝機能の数値、去年より悪くなってたらどうしよう」――新年度も近づいて、そんな心配を抱えている人はいないでしょうか。

ただ、肝臓は驚異的な回復力を備えている臓器。とりわけ、脂肪肝は「とてもなりやすい」一方で、「とても治りやすい」という特徴があります。すなわち、改善法のコツさえつかめば、かなり短期間で肝臓の数値を回復させることも十分に可能なのです。

具体的に言うと、軽い脂肪肝なら1週間で肝機能の数値を改善させることもできます。また、だいぶ脂肪蓄積が進んでしまった人も、3週間から数カ月もあれば、肝臓を健康な状態に復活させることができるでしょう。

まず、健康診断の肝機能検査項目の代表的な3つの数値について説明しておきましょう。

・ALT(GPT) 基準値10~30U/L 理想値5~16U/L

肝障害があると血液中にあふれ出る肝細胞の酵素。血液検査のALTが高い場合は、肝臓の細胞が現在進行形で壊れている証拠です。とくに、「糖質の摂りすぎが原因の脂肪肝」で高値になる傾向があります。

・AST(GOT) 基準値10~30U/L 理想値5~16U/L

肝臓や筋肉に多い酵素で、ALTとの比較で肝機能の状態を見るのに用いられます。通常、脂肪肝の場合は、ASTよりもALTのほうが高値になります。また、ASTがALTより高い場合はアルコール性肝障害が疑われます。

・γ‐GTP 基準値男性10~50U/L 女性10~30U/L

肝臓でつくられ、胆汁に排出される酵素。アルコール性肝障害の目安とされ、お酒をよく飲む人が気にしている検査項目です。ただ、アルコールだけでなく、糖質の摂りすぎやストレスでも高値になる場合があります。

「隠れ脂肪肝」にも注意したほうがいい

これら3つの検査項目のうち、とくに注意してほしいのがALT。

2023年、日本肝臓学会は奈良市で開かれた学会で、「ALTが30を超えたら、かかりつけ医を受診してほしい」という提言を行い、これは「奈良宣言」と呼ばれています。この目安通り、ALTが30を超えていたら、脂肪肝になっているのはほぼ確定と言っていいでしょう。

ただ、私は学会よりも基準ラインを低く設定し、ALTもASTも5~16U/Lを「理想値」としています。なぜなら、長年肝臓の医療に携わってきて、ALTが10台の後半でもわずかに脂肪蓄積が見られ、ALTが20を超えるともう「軽度の脂肪肝」と言っていい状況であることが分かっているからです。

そのため、私はALT20~30の場合は「隠れ脂肪肝」の疑いアリとしています。みなさんも、過去の健康診断の数値を見直してALTが20を超えていたら、もう脂肪肝に片足を突っ込んでいると思っておいたほうがいいかもしれません。

健康診断が近づいてきたときに、こうした肝機能の数値を回復させるには、いったい何をすればいいのか。

おそらく、多くの人がまず考えるのは「アルコールを控える」ということでしょう。たとえ「悪あがき」と言われようとも、健康診断1週間くらい前から禁酒する人もいるかもしれませんね。

もちろん、検査前日や当日に飲酒をするのはいけません。ただ、1週間前から酒を断ったりしたとしても、検査値には思ったほどの影響はありません。飲みすぎはNGですが、私は、適量さえちゃんと守っていれば、検査2日前までは飲んでも問題ないと思います。

フルーツを食べ続けたら1週間で脂肪肝に

では、アルコールを控える以外に、いったい何をすればいいというのか。

じつは、健康診断の数値に反映しやすいのは、「アルコール」よりもむしろ「糖質の摂取量」なのです。

とりわけ、脂肪肝には糖質摂取量が大きく影響します。実際、私の患者さんには「1週間シャインマスカットばかりを食べ続けていたら、それだけで肝機能の数値が悪化して脂肪肝になってしまった」という方がいらっしゃいます。果糖は肝臓にとくにダメージを与えやすいのですが、こういった野放図な糖質の摂り方をしていると、たった1週間程度でもてきめんに脂肪肝が進んでしまうというわけですね。

ただ、これは「逆」についても言えることなのです。

つまり、これまでたくさん摂ってきた糖質の量を少なめの量にコントロールすれば、それだけで肝臓にたまった脂肪をかなり減らすことができるということ。脂肪肝の程度にもよりますが、「軽い脂肪肝」や「隠れ脂肪肝」の段階であれば、1週間程度で肝機能の数値を正常化させ、脂肪肝を治してしまうことも十分に可能でしょう。

少なくとも、そのほうが、アルコールを我慢して控えるよりも、ずっとよい結果へとつながるはずです。

それでは、具体的にどのように糖質量をコントロールしていけばいいのでしょうか。

あらかじめ言っておくと、糖質をゼロにしたり糖質を極端に少なくしたりするのはいけません。糖質摂取を厳しく制限すると、体がエネルギー不足に陥って逆に脂肪をため込もうとするモードに入ってしまう可能性もあります。とくに、ごはん、パン、麺類などの主食は、1日3食(控えめの量を)ちゃんと食べるようにしてください。

じゃあ、何を減らすのかというと、「甘い飲み物」「フルーツ」「おせんべいやケーキ、スナック菓子」などが中心になります。

とくに注意すべきは、甘い飲み物。たとえば、毎日、ジュースやコーラ、スポーツドリンク、野菜ジュース、果物ジュース、乳酸菌飲料などの甘い飲み物を飲んでいた人は、それらをやめるだけでかなり糖質による肝臓への負担を減らせるはずです。また、毎日デザートにフルーツを食べていた人や、毎日間食におせんべいやケーキ、スナック菓子を食べていた人に関しても同じことが言えます。

また、ごはんやパンなどの主食は、「ごはんのお代わりをやめる」「大盛りを普通盛りに変える」といった対処で食べすぎを防ぐようにしてください。そのうえで、「ちょっとだけ減らす」という意識づけで摂取量を控えめにコントロールしていくのがベスト。これまで食べていたごはんやパンの量を1~2割減らすだけでも構いません。

健診前だけでなく、ずっと続けるべき習慣

このように、体に入ってくる糖質量をうまくコントロールしていけば、短期間で脂肪肝を改善させていくことができるはずです。

ですから、健康診断が近づいてきて肝機能の数値をなるべく前より改善させたいと願うなら、ぜひみなさんもこうしたコントロールにチャレンジしてみてください。きっと、後日、診断結果表を受け取った際に、自分でもちょっとびっくりするくらいの「よい結果」が出ていることでしょう。

そして、この先も長く肝臓を健やかにキープしていきたいのであれば、この糖質コントロールの習慣を(健診前だけでなく)ずっと続けていくことをおすすめします。

『肝臓大復活』

『肝臓大復活』

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提供元:医師が解説「健康診断」までに肝臓を改善するコツ|東洋経済オンライン

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