2025.02.18
パックご飯で「喫茶店のピラフ」を再現する裏ワザ|ポイントは"デンプンの性質"を活用すること
本場のピラフとは意外と異なる「喫茶店のピラフ」。バターの香りが食欲をそそります(以下、写真はすべて筆者撮影)
料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作れる方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。今回はバターの香りが食欲をそそる喫茶店のピラフを簡単に作る方法です。
喫茶店のピラフは"洋風チャーハン"
前回ご紹介した「喫茶店のミートソース」に続いて、今回の料理は「喫茶店のピラフ」です。ピラフは中近東発祥の料理で、フランスに輸入されると付け合わせの定番になります。どちらも、生米と野菜を炒めてから水かスープで炊き込む、洋風の炊き込みご飯といった雰囲気の料理です。
一方、喫茶店のピラフは作り方がまったく異なります。喫茶店の限られた設備ではピラフのために一から準備するのは難しいため、バターやマーガリンで野菜とご飯を炒める方式をとるのが普通。言ってみれば、喫茶店のピラフは洋風チャーハンなのです。
パラリと仕上げるためのコツはチャーハンと同じですが、強力な乳化剤である卵が入らないので難易度が少しだけ上がります。上手に作るコツは、ご飯のデンプンが老化すると粘り気を失うメカニズムを利用することです。
喫茶店のピラフ
【材料】
パックご飯 2パック
ソーセージ 5〜6本 100g程度
にんじん 25g(5mm角)
玉ねぎ 75g (大1/4個 5mm角)
塩 1.5g
バター 20g
しょう油 小さじ1/2
砂糖 1g ひとつまみ
テーブルコショー 少々
ソーセージは2〜3mm厚の薄切り、玉ねぎとにんじんは5mm角に切ります。にんじんを切るのは手間ですが、甘みが加わることでピラフらしい洋風の味わいが出ます。
今回のレシピのコツはパックご飯の使い方。レンジで温めずに封を開けたら手でほぐすのです。
パックご飯を使わない場合は硬めに炊いて冷ましたご飯をほぐしてから使います
現在、主流のパックご飯は無菌化包装米飯といい、パックに生米と水を入れて、クリーンルームで炊飯し、封をしたもの。常温で長期間保存できるというメリットがあり、キッチンに備蓄しておくべき食材の1つです。
パラパラに手でほぐしてから炒める
パックご飯はそのままでは食べられません。炊き上げた米のデンプンは冷まして時間を置くと老化(β化)して、元のデンプンの状態に戻ってしまいます。そのため、パックご飯は電子レンジで温めてから食べるのです。
ここではデンプンが老化すると粘り気を失う性質を生かし、パラパラに手でほぐしてから炒めます。こうすることでご飯がダマにならず、簡単に理想的な状態に仕上がります。
26cmのフライパンで2人前を作れます
フライパンにバターを入れ、中火にかけます。バターが溶けたら、玉ねぎ、にんじん、ソーセージを入れて炒めます。
玉ねぎがしんなりし、ところどころ焼き色がついたらご飯を入れる合図です
手でほぐしたパックご飯を加えます。
テーブルコショーを多めに入れます
全体を混ぜながら、さらに炒めていきます。熱くなるにつれてご飯に粘り気が出てきますが、その前に油でコーティングすることでしっとりしつつもパラリとした仕上がりになります。
塩、しょう油、テーブルコショーで味をつけます。テーブルコショーはS&Bの商品でレトロな香りがつきますが、なければお手持ちの黒こしょう、または白こしょうで問題ありません。
ランチにぴったりです
ソーセージの入れすぎには注意
分量外のドライパセリで彩りを添えます。喫茶店では味付けにピラフベースという合わせ調味料を使っているところもありますが、それに近づけるためには味の素に代表されるうま味調味料を少々加える手もあります。
ただ、ソーセージにはアミノ酸系の調味料がすでに入っているので、このレシピでは加えすぎるとバランスが崩れます。そのため、加える場合は量に注意しましょう。
パックご飯を手でほぐすテクニックはチャーハンにも応用できるので、ぜひ試してみてください。
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提供元:パックご飯で「喫茶店のピラフ」を再現する裏ワザ│東洋経済オンライン