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2024.09.07

災害時の「ポータブル電源」購入で失敗しないワザ|長持ちさせる「上手な保存法」についても紹介!


災害時に備えたいポータブル電源。どれを選べばいいかわからない人も多いのではないでしょうか(写真:hellohello/PIXTA)

災害時に備えたいポータブル電源。どれを選べばいいかわからない人も多いのではないでしょうか(写真:hellohello/PIXTA)

台風10号は過去になく停滞し、日本中のあちこちで停電をもたらしました。停電になると照明が使えないだけでなく、スマホは充電できず、パソコンも使えません。なかには水道が止まってしまう場合もあります。そして一番の心配は冷蔵庫です。

そんな心配を払拭してくれるのが「ポータブル電源」です。普段はコンセントにつないで充電し、停電時に使います。オプションでソーラーパネルを用意しているものもあり、太陽光で充電することも可能です。

とはいえ、数多く発売されていて「どれを選んだらいいかわからない」人がほとんどでしょう。そこで家電おじさんが過去の経験と実体験から、ベストなポータブル電源をご紹介します。

災害時「スマホで照明」はダメ

スマホを充電する「モバイルバッテリー」はよく知られています。最近は大容量になって、スマホを10回以上も充電できるものまで登場しました。

では、ポータブル電源はモバイルバッテリーと何が違うのでしょうか?

一番の違いは、ポータブル電源は壁のコンセントに指し込んで使う家電を動かせることです。ほとんどが車のシガーソケット用の電源(12V)からも出力できます。USBでは昔ながらの大きなコネクタ(タイプA)も、新しい機種で使われている小さいコネクタ(タイプC)も備えています。急速充電にも対応しています。

災害時にスマホを常夜灯として使うのはオススメできません。すぐに電池切れを起こしますし、 何よりスマホは災害情報を得るツールとして活用すべきです。

また、懐中電灯は一晩程度であれば常夜灯として使えますが、長期間使うのは難しいです。乾電池はすべて売り切れてしまいます。ですから、懐中電灯は移動中の照明として温存しておきましょう。

ここで過去の災害の事例を見てみましょう。

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どうですか? 電気の復旧は水道やガスに比べると非常に早いのがわかります。東日本大震災や熊本地震では、倒壊した家屋なども多数あり完全復旧まで時間がかかりましたが、それでも2~3日で過半数が復旧しました。

そう考えると、政府が想定する首都直下型地震でも6日間なので、その間の停電をやり過ごせるポータブル電源を用意すればOKです。特に、南海トラフ地震で大きな被害が予測されている地域、地震が多い地域では、政府の6日間は確保しておいたほうがいいと思います。

ポータブル電源は大容量になるほど高額です。生命保険などと同じで、リスクと予算を見比べて、停電に備える基準日数を決めましょう。

使う家電は選ぶのがポイント

よくポータブル電源の記事で見かけるのが、ホットプレートで焼肉をしたり、ケトルでお湯を沸かしたりという写真です。

でもこれらは災害時では絶対にやってはダメです。

停電では、熱に関する家電はできるだけ使わないようにします。電気を使った熱は非常に効率が悪く、ポータブル電源でもあっという間にカラになってしまいます。

ストーブや炊飯器、コーヒーメーカー、トースター、レンジ、冷蔵庫など、熱に関する家電はたくさんありますが、これらには使わないようにしましょう。停電時に調理をしたいなら、携帯用のガスコンロを使います。

気になる冷蔵庫ですが、冷蔵庫自体がクーラーボックスのように保温材でがっちり密封されているので、停電になったからといってすぐにポータブル電源につなぐ必要はありません。

夏場で冷蔵室が温まりだしたら、翌日の食材として使う冷凍肉などを保冷剤として冷蔵庫に入れるなどして対応します。冬場であれば、冷蔵室の中身をごっそり屋外の日陰に移動してしまうなども手です。

冷凍庫の食材も溶け始めてきたら、そこで初めてポータブル電源に接続します。その際、温度設定をできるだけ高めにするとバッテリーが長持ちします。

どれを購入すればいいのか?

9月の防災シーズンや台風シーズンになると、家電量販店にはポータブル電源コーナーができ、さまざまな製品が陳列されます。また昨今では、南海トラフ地震への警戒から、季節を問わず、防災コーナーが設けられています。

まずはメーカーや必要最低限な機能をチェックしてください。

ワザ①メーカー

筆者がお勧めするメーカーは老舗のJackeryか、そのOEMのJVCです。EcoFlowもお勧めです。EcoFlowは複数のバッテリーを接続して、1つの大容量バッテリーとして使うことが可能です。

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左がJackery「1000New」、右がEcoFlow「RIVER2Pro」(写真:筆者提供)

ワザ②USB:タイプAが2~3個、タイプCが2個以上ついている

一般的なUSBコネクタはAコネクタですので、これが2~3個以上あるものがベストです。

家族が多い場合は、スマホでよく見られる楕円形で小さなタイプCコネクタを2個以上搭載している製品がお勧めです。

タイプAコネクタは、2020年以降のスマホに採用されている超急速充電には対応していないので、スマホのフル充電に5~6時間かかる場合があります。タイプCコネクタなら、1~2時間でフル充電できる超急速充電ができます。これならUSBコネクタを独占する時間を減らせます。

ワザ③オプションに太陽電池パネルが用意されているか?

台風時には使えませんが、地震災害で便利なのが太陽電池パネルです。太陽電池パネルがあれば、昼間にポータブル電源を充電できます。

ただ、1日でフル充電するには、2枚以上の大きな太陽電池パネルが必要になります。皆さんが思っているより太陽光パネルは非力で、32インチのテレビぐらいの面積があっても、充電に10~20時間かかります。パネル1枚でフル充電にかかる時間と予算を比べながら購入してください。

ワザ④車のシガーソケットから充電できるか?

太陽光パネルでフル充電できなかったり、台風などで太陽光パネルが使えなかったりした場合のため、車のシガーソケットから充電できるものを選びます。

ただし、添付のACアダプタより充電時間が長時間になるものが多く、ACアダプタなら3~4時間で充電できますが、大容量のタイプでは10~20時間かかる場合があります。

どれくらいの容量を選ぶべき?

ワザ⑤容量はどれくらい必要か

ここまででメーカーとシリーズが絞られたでしょう。最後は容量です。

容量は「Wh」で示されます。1000Whで消費電力9Wの60W電球相当のLED電球を使うなら、1000Wh÷9W=111.1hで、111時間使えます。

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具体的に見ていきましょう。仮に3人家族とすれば、1日停電をやり過ごすには1205Wが必要になります。

冒頭で説明した通り、電気の復旧までにかかる平均日数は4日間なので、まったく充電ができないとすれば4820W、およそ5000Whのポータブル電源が必要です。しかし、ここまで大容量の製品は少なく、4000Whの製品でも60万円ほどします。

そこで消費電力の大きな冷蔵庫を使わず、炊飯器も使わずパックご飯をお湯で温めるなどして省エネ化をすると、4日間で4820W→1300Wと大幅な電力削減ができます。3日目から冷蔵庫を使うと、先の4日間の電力1300Wに2日分の冷蔵庫の電力1400Wを加え、合計で2700Wとなります。

冷蔵庫と炊飯器の利用を見直すだけで、これだけ省エネになります!

もう少し省エネを頑張れば、2000Whのポータブル電源で間に合うかもしれません。すると価格は半分程度ですみます。

ここでは4日間充電ができない場合を想定しましたが、太陽電池パネルを購入し、日中に充電するなら、ワンランク下のポータブル電源でもいいでしょう。

また、大半の世帯の電力が復旧するといわれる2日間に備える場合も、ワンランク下のポータブル電源を買ってみて、実際に停電時を想定したシミュレーションをしてみるのもいいかもしれません。

使わないときの保管方法は?

モバイルバッテリーや、スマホ、掃除機などで使われているリチウムイオン電池。ポータブル電源にもリチウムイオン電池が使われていますが、モバイルバッテリーとちょっと違う「オリビン型リン酸リチウム電池」が使われています。

一般的なリチウムイオン電池は、充放電を500回繰り返すと性能が低下(使える時間が短くなる)してきますが、オリビン型リン酸リチウム電池は4000~5000回の繰り返し充電で、ようやく性能が低下し始めます。

ですので、購入後に停電を想定したシミュレーションを何度かしても、ほとんど劣化することはありません。

フル充電になったらコンセントを抜くということは基本的にはしなくて大丈夫。メーカーではコンセントにつなぎっぱなしの状態で、およそ10年程度の停電に備えられるとしています。

さらに、筆者から10年の寿命をより長く使うためのアドバイスをすれば、次の2点になります。

・1日中日が当たらず涼しい場所に設置する

・フル充電(100%)になったらコンセントを抜き、80%まで減ったら再度充電する(何カ月も使わないと自然放電するため)

実はどちらも「熱」を避けています。モバイルバッテリーやスマホの充電でご存じの通り、充電中は電池が少し熱を持ちます。フル充電のままコンセントをつないでおくと、つねにバッテリーが温まった状態になるので、フル充電でいったんコンセントを抜くことをお勧めします。

また一般的に、リチウムイオン電池の劣化防止には、60~80%充電した状態で保管するとよいといわれています。ポータブルバッテリーの使い道を考えると、60%の保存だといざというときに使える電力が少なくなるので、筆者は80%で再充電をお勧めしています。

その際も1回の繰り返し充電にカウントされるのでは? と心配でしょうが、80%→100%に充電した場合の劣化は非常に少ないので、安心してください。

南海トラフ地震が予測されている地域では、いつ災害が発生するかもわからないので、コンセントにつなぎっぱなしにしておくといいでしょう。影響の少ない地域では、気象庁から警報が出てからフル充電にしても数時間で充電完了します。

省エネとライフスタイルで選択

これまで見てきたとおり、熱に関する家電は消費電力が多いので、ポータブル電源はできるだけ使わず、工夫とアイデアで省エネするのがポイントです。

ポータブル電源には残量計がついているので、地域の防災情報を収集して、電力復旧までの予測日数をにらみつつ、省エネをしながら必要な家電を使うようにするのもポイントです。

ポータブル電源選び、そして停電をやり過ごすには、危険予知と同じで「認知(見て)」して「予測」することが大切です。

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提供元:災害時の「ポータブル電源」購入で失敗しないワザ|東洋経済オンライン

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