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2024.07.27

「コロナと夏かぜ流行中」何が起きているのか|


発熱で受診する方が増えている(写真:SoutaBank/PIXTA)

発熱で受診する方が増えている(写真:SoutaBank/PIXTA)

発熱で受診する方が増えている。体温38℃を超えて受診した方に迅速抗原検査をしてみると、コロナウイルス感染症であることが多い。一方、夏なのにA型インフルエンザの人もたまにおり、症状だけでコロナとは断定できない。もちろん、38℃未満の体温の方でも倦怠感が強い場合などでは、検査をするとコロナの反応が出る場合もある。

コロナワクチンを打っている、もしくは過去にコロナに罹患した方では症状はだんだんと軽くなるため、自覚症状がない人もいるだろう。医療機関で検査を受けているのはコロナウイルス感染者の一部と思われるため、大流行していると考えるのが適当だろう。

初期症状では見分けがつかない

今年はコロナだけでなく手足口病も流行している。どちらも発熱と咽頭痛で発病するため、初期症状では見分けがつかない。コロナウイルス感染症では迅速抗原検査が便利だが、現実的には100人のコロナウイルス感染者を検査しても、20人から30人以上は陽性反応が出ない=偽陰性となり、100%正しく診断できるわけではない。

検査は陰性だが、職場や家族にコロナウイルス感染者がいるなど状況からコロナウイルス感染症と判断した場合も、2〜3日したら手足にブツブツが出てきて実は手足口病だったというようなケースも少なくない。

手足口病は、エコーウイルス、コクサッキーウイルスなどのエンテロウイルス(口を経て腸管から感染するウイルスの総称)が原因の代表的な夏かぜであり、今年大流行している。コロナ禍の最中は人々が他者への接触を避けたこと、国内外への人の流れが止まったためウイルスの流通が妨げられ、流行しなかった。

赤みを伴った水泡ができる「手足口病」

今は人々の行動がコロナ禍以前に戻り、海外との往来が回復した。数年間流行しなかったことで、ウイルスに感染したことのない子どもが増え、また過去に感染したことのある人でも免疫力が低下し、発病する人が増えている。また、手足口病の揺り戻しは全世界的に起きており、毒性の強いウイルスが入ってきている可能性がある。

手足口病の典型的な症状は38〜39℃の高熱とのどの痛みだ。この時点では風邪と見分けがつかない。2〜3日すると唇やのどの口蓋垂(のどちんこ)の周り、指先〜肘のあたり、足の裏などに赤みを伴った水泡ができる。

口の中やのどにできた水泡は容易に破れて潰瘍となり、強い痛みを生じる。水を飲んでも沁みるし、ご飯など固形物を食べると物理的な刺激によって強い痛みを生じる。酸っぱいものや辛いものなどもってのほかだ。口から水分や栄養を摂れなくなれば、点滴をする必要があり、場合によっては入院が必要となる。

指先や足の裏の水泡は皮が厚いため、容易には破れない。しかし足の裏の水泡は歩くと強い痛みを生じるため、苦痛が大きい。水泡は数日のうちに赤みがなくなり、だんだん茶色くなり、やがて皮が剥けて治る。痛みには鎮痛剤の内服で対処するが、効果は薄い。

同じウイルスが起こす感染症でヘルパンギーナも夏に流行する。これは手や足の水疱を欠く手足口病と考えていい。口の中、のどの痛みは同様につらい。

ごく稀だが、エコーウイルスやコクサッキーウイルスは心臓の筋肉にも感染し、急性心筋炎を起こすことがある。心臓の機能が急激に低下し、致命的となることがある。胸部の不快感や気分不良、立ちくらみなどの症状が表れた場合は救急病院への受診が必要となる。これらのウイルスに対するワクチンはなく、ウイルスの増殖を妨げる特効薬もないため、嵐が過ぎるのをおとなしく待つしかない。

東京都保健医療局の情報によると、2024年7月時点で主に流行している新型コロナウイルスの変異型はKP.3であり、冬に流行した JN.1から派生している。症状としては特に変わらず、発熱とのどの痛みで発症し、最後は鼻づまり、痰がらみの咳が長びく経過が典型的だ。下痢や吐き気など胃腸の症状を伴う人も多い。最初の頃のコロナで特徴的だった、匂いや味がわからなくなる障害は稀で、鼻づまりによる一過性の嗅覚や味の障害が生じる場合があるという。

重症化する率は低い。救急車で受診したり、入院が必要となる場合のほとんどは、高熱と倦怠感で排尿や排便、食事を摂るなど日常生活動作ができなくなった高齢者であり、コロナによる肺炎が重症化して集中治療室に入室が必要となったり、人工呼吸器での治療を要する人は少ない。

コロナ特効薬の自己負担額は?

ゾコーバ、パキロビットパック、ラゲブリオなどの抗ウイルス薬は、現在のKP.3にも引き続き有効とされており、重症化リスクの高い方では治療に用いることは可能だ。薬剤費は年齢や収入に応じて、通常の保険診療と同様、1〜3割の自己負担が必要となる。ゾコーバでは1治療(5日間の処方)で5万1851円(全額自費の場合)、3割負担なら1万5556円になる。パキロビットパックやラゲブリオでは、より高額である。

約9カ月で承認された新型コロナウイルスの治療薬「ゾコーバ」(画像:塩野義製薬ウェブサイトより)

約9カ月で承認された新型コロナウイルスの治療薬「ゾコーバ」(画像:塩野義製薬ウェブサイトより)

過去にワクチンを接種していたり罹患歴のある人はコロナに罹っても重症化することがほとんどないため、現場ではこれら抗ウイルス薬を処方することはほとんどない。通常の風邪と同様、解熱鎮痛剤や去痰剤、鼻水、鼻づまりの薬を処方している。

現在、コロナウイルス感染症を発病した場合、発病日を0日目として、5日目まで自宅で療養することが推奨されている。一方、病院や福祉施設、高齢者施設など免疫の低下した人が集団生活する場では蔓延を防ぐために、それ以上の期間の利用や立ち入りを制限される場合がある。

感染症法の位置付けがインフルエンザ同様の5類に移行して1年以上が経ったこの夏、改めてコロナが流行している。自分や家族がコロナに罹ったら、周囲の状況にあわせて、療養するかどうか判断して行動しよう。

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提供元:「コロナと夏かぜ流行中」何が起きているのか|東洋経済オンライン

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