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2024.07.19

「ダイエットの成否」を分ける"睡眠時間の壁"|寝不足では「運動」や「栄養管理」も意味がない


睡眠時間が7時間未満の人は、肥満リスクが41%増加するという(写真:kapinon/PIXTA)

睡眠時間が7時間未満の人は、肥満リスクが41%増加するという(写真:kapinon/PIXTA)

夏本番を目前に控えたこの時期、毎年のように頭にチラつくのがダイエットですが、フィットネス先進国であるニュージーランドの公認パーソナルトレーナー資格を持つmikiko氏によれば、ダイエットにまつわる「日本の常識」は、もはや世界では「非常識」になっているといいます。

ダイエットで無理なく効果を出すために、「運動」や「栄養管理」よりも前に「睡眠」に目を向けるべきと説くmikiko氏が、その科学的根拠について解説します。

※本稿は、mikiko氏の著書『ニュージーランド式 24時間やせる身体をつくる ベストセルフダイエット』から、一部を抜粋・編集してお届けします。

『ニュージーランド式 24時間やせる身体をつくる ベストセルフダイエット』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

睡眠7時間未満だと「肥満リスク」は41%増加

睡眠不足はダイエットの大敵。睡眠時間が7時間にも満たない生活を続けていると、身体は脂肪を蓄え始めることが数々の研究で分かっています。

30万人以上を対象にしたメタ分析という手法を使った研究では、睡眠時間が7時間未満の人は、肥満リスクが41%増加することが明らかになりました。

また、別の研究では、睡眠不足の人は「お腹周りの脂肪量と関係がある腹囲」が大きい傾向があることも明らかになっています。

このように、睡眠時間が短いことと肥満傾向の関連を示した報告はさまざまな人種・年齢・性別を対象にした研究でされており、7時間以上寝ることの重要性を示しています。

なぜ睡眠不足が体重増加につながるかについても議論はされていて、これまでに分かっている理由はいくつかあります。

まず、睡眠不足の状態では食欲のコントロールが困難になること。ある研究では、たった4日間の睡眠不足で、いつも以上の量の食事を摂ってしまったり、たった2時間前に食事をしたばかりなのに高脂質なお菓子をたくさん食べてしまったりする傾向が示されました。

数日間の睡眠不足で、空腹感の増加、暴食頻度の増加、食事量の増加、チョコレート摂取の増加、脂質摂取の増加などが起こりますが、これは空腹を感じさせるグレリンというホルモンが増加し、満腹感に関係のあるレプチンが減少することが関係しているとされています。

さらに、睡眠不足の状態が数日続くだけで、糖の代謝能力が落ちてインスリン抵抗性を引き起こしたり、1日を通して代謝が落ちる可能性も示唆されています。

こうした数々の研究から分かっているのは、睡眠時間が少ない生活をしていること自体が、食欲のコントロールを難しくし、身体の代謝機能を低下させているということ。つまり、睡眠不足を解消しない限り、いくら起きている間に頑張っても結果につながりにくいダイエットをしてしまう可能性があるということなのです。

日本人の睡眠時間は「世界最短」クラス

働き者で有名な日本人は、他国と比べても圧倒的に睡眠時間が少ない傾向があります。日本の平均睡眠時間は6時間30分以下です。

これは韓国やサウジアラビアよりも低く、世界で最短クラス。私も日本で生活をしていた時は6時間台の睡眠なんて当たり前のようにしていましたし、周囲には私より寝ていない人がたくさんいました。「寝てない自慢」なんて言葉も生まれるほど、寝る間を惜しんで働くことが賞賛される価値観が今でも根強く残っていますよね。

一方、ニュージーランドに移住してからは生活のリズムが変わり、8〜9時間寝るようになりました。

大企業の管理職などの多忙な現代人を指導していても、皆口を揃えて「8時間は寝てる」と言います。寝てない自慢をすると「寝る時間すら確保できないほど仕事の効率が悪い」とネガティブに捉えられてしまうそうです。

それもそのはず。ニュージーランドは世界で1番寝る時間が長いのです。平均睡眠時間は7時間半を超え、ワークライフバランスで常にランキング上位に入る国となっています。

「世界で最も幸福度の高い国」といわれるフィンランドなどの北欧諸国でも傾向は似ていて、平均睡眠時間は7時間15分以上あります。「よく寝ることで幸せになる」とまではいえないかもしれませんが、たくさん寝ることの恩恵は、幸福度や気持ちの余裕から体感したことがある人も多いはず。

寝る時間が長い国は、運動する習慣もある国々です。ノルウェー、フィンランド、オランダ、スウェーデン、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなど、フィットネス人口の割合の多い国は、多くが7時間15分以上の睡眠を取っています。

寝る時間の優先順位が高い生活をする人たちは、運動する時間もエネルギーもあるのです。事実、運動と睡眠は切っても切れない関係にあり、睡眠不足の生活をしていると運動の量は減り、運動不足の生活をしていると睡眠の質が悪くなったり疲労感を増加させたりすることが分かっています。

一方、定期的な運動習慣がある人は入眠時間が短く、睡眠の質も上がります。

まず必要なのは「運動」より「寝る時間」の確保

朝起きた時から疲れていて、朝ごはんを食べる時間すら省いて寝る時間を確保し、電車に乗っては空いてる席を必死に探して寝て、1日の終わりにはやっとの思いで帰宅、自炊する元気もないまま寝る。

こうしたエネルギー枯渇状態の生活では、「運動をしよう」「自分の身体を大切にしよう」という意欲も生まれません。この負のサイクルを断ち切るために、寝る時間の確保が大切なのです。

ダイエットを始めるとなると、最初に考えるのは運動や栄養のことでしょう。しかし、睡眠不足のまま運動するのは、すでに無理して動いている身体にとっては泣きっ面に蜂。ムチ打って運動を頑張ったとしても、身体は反対に脂肪を蓄えようとしてしまいます。

さらに、身体は寝ている間に回復・改善するので、運動後の回復が追いつかないと免疫力が下がって風邪も引きやすくなるでしょう。よかれと思って始めたことで、逆に生活の質が悪くなってしまうのです。

睡眠不足が日中の疲労感を増加させ、運動するモチベーションを下げてしまうことを考えると、運動をする気すら起きないのはだらしない性格が原因ではなくて、ただの睡眠不足かもしれません。これ以上自分の不出来を責めるのはやめて、よく寝た後のスッキリした頭で理想の生活について考えてみてください。

栄養を管理するのも同様。睡眠不足では食欲のコントロールが難しくなるので、その状態で食事改善を始めるのは必要以上に困難になるでしょう。自分の意志の弱さを責めるよりも、1時間早く布団に入るほうがより具体的で効果的な解決策かもしれません。

そもそも、歯を食いしばって自制を続けなければ保てない食生活では、続けるのなんて不可能です。根性論で押さえつけるような食事ルールに頼るのではなく、心や身体のサインを読み取って本当に身体が必要としていることを取り入れ、身体が自然と脂肪を蓄えなくなる仕組みづくりをしていきましょう。7時間未満の睡眠をしている人にとっては、「寝ること自体がダイエット」なのですから。

睡眠を「絶対に譲れない」ことに位置付ける

睡眠時間が6時間台、もしくはそれ以下のことが当たり前になっている人は、まず「寝る時間を作る」「睡眠の質を上げる」の2つを最優先にライフスタイルを見直しましょう。

「忙しくて寝る時間がない」というのは「寝ることの優先順位が低い」と言い換えることができます。

自分の身体に対する優先順位が下がっていて、詰め込んだスケジュールの最後の余った時間に「睡眠」を入れてはいないでしょうか。そのままでは、いくら気をつけていたって睡眠時間を確保することはできません。

やるべきことの上位に睡眠を入れる必要があります。英語にはnon-negotiable「交渉の余地がないこと」という言葉があります。

絶対に譲れないもの、何があっても犠牲にできないもの、という意味で使われることが多いのですが、睡眠をnon-negotiableとして扱い、スケジュールの最初に入れるようにするのです。

他の予定が入ってきたら、睡眠を削るのではなくてその予定を次の日に繰り越す、などの工夫も必要です。

睡眠は「もったいない時間」ではない

「そんなこと言われたって、仕事や家庭があるから無理!」という人は、すぐには実行できないとしても、8時間睡眠をする生活を想像するだけでもやってみましょう。

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8時間の睡眠を最初にスケジュールに入れて、その他の予定をどう入れていったら、どんな24時間が出来上がるか書き出してみるのです。

理想のライフスタイルを見える化することで、全てとはいわずとも何か今の生活で変えられることが見つかるかもしれません。

世の中には、自分と似た境遇でも自分よりも寝ている人は必ずいます。その違いは時間の使い方における優先順位の違いであり、non-negotiable の置き方の違いです。

まずは、理想の生活を描いてみること。そこから変化は生まれていくのです。

「寝る時間がもったいない」なんて言わないでください。睡眠時間を削って必要のない努力をしなければいけない状態のほうがもったいないのだから。あなたの悩みの多くは、寝れば解決するのです。

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提供元:「ダイエットの成否」を分ける"睡眠時間の壁"|東洋経済オンライン

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