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2023.12.30

「認知症?」家族が心配な人に知ってほしいこと|相手の気持ちをないがしろにしていないか


認知症の疑いがあるとき、一番不安なのは本人です。気持ちに寄り添った対応が求められます(写真:shu / PIXTA)

認知症の疑いがあるとき、一番不安なのは本人です。気持ちに寄り添った対応が求められます(写真:shu / PIXTA)

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実家へ帰省する人も多い年末年始。高齢の親に会ったら、なんとなく言動が気になり「もしかして認知症?」と思う人もいるかもしれません。

また親とのコミュニケーションが難しくなったり、理解しがたい行動を目にするようになったりしたとき、実は認知症が原因だった、ということもあります。

まずは認知症を正しく理解すること。そして認知症の人に接するときは、伝わりやすい言葉かけが大切です。

認知症研究の第一人者である佐藤眞一・大阪大学名誉教授の著書『認知症心理学の専門家が教える 認知症の人にラクに伝わる言いかえフレーズ』から一部を抜粋、編集し、「なぜ言い方が大切なのか」と認知症でよく見られる症状をご紹介します。

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怒らない・否定しない・共感する

家族が認知症だと診断されたら、大きな不安に駆られることでしょう。

しかし、周囲以上に不安なのは本人です。認知症になったからといって、いきなり何もわからなくなるわけではなく、むしろ初期の頃は本人にも「これまでできていたことができなくなった」という自覚があります。

「自分はいったいどうなってしまうのか」「どこか悪いのではないか」という、得体のしれない不安にとらわれることがほとんどです。

認知症が進行すると、時間や場所、人の認識が難しくなるため、さらに不安は強まります。

「自分が今、どこにいるのかわからない」「目の前の人が誰なのかわからない」という、少し想像しただけでも、足がすくむような不安に囲まれた日常を過ごすことになるのです。

こうした不安を少しでも解消できるよう、気持ちに寄り添った対応が求められます。

必要な心構えとしては「怒らない」「否定しない」「話に耳を傾け、共感する」を意識するとよいでしょう。

認知症初期の介護ではまず、これまで通りの日常生活を過ごせるよう、それとなくサポートするのが理想です。

例えば、認知症の母親が買い物に行くたび、同じ食材ばかりをいくつも買い込んでくるとします。そこで「また同じものばかり買って!」と叱っても、本人は忘れてしまっているのですから困惑するばかり。

いやな気持ちだけが印象に残り、コミュニケーションがうまくいかなくなる可能性が高くなります。

認知症の症状は人によってさまざまです。まずは本人にどのような症状があるのかを観察し、背景にある理由に想像をめぐらせてみましょう。

例えば、先ほどの食材のケースでは、買い物に行くと、育ち盛りの子どもたちに食事をつくってあげていた頃の習慣がよみがえり、「おなかいっぱい食べさせてあげなくては」と考えたのかもしれません。

このようなケースでは、買い物をやめさせようとするより、定期的に冷蔵庫の中をチェックし、賞味期限切れのものを処分するなど、本人が気づかない程度、気にしない程度に、困りごとをフォローしていくことが大切です。

「コントロール」しない言い方で「ケア」

もっとも、そうはいってもときには理解しがたい行動に声を荒らげてしまうことがあるかもしれません。

そんなとき、意識したいのが「ケア」と「コントロール」の違いです。

「〇〇はやめて」「××にして」など、禁止や制限、強制はどんなに言い方がやわらかく穏やかだったとしても、相手をしたがわせようとしている「コントロール」に該当します。

介護が始まると、「あなたのため」「心配だから」と言いながら、相手に服従を求める行為になっていることが少なからずあります。一見、相手は受け入れてくれているかのように見えても、実はあきらめの気持ちがあるだけかもしれません。

介護には対応の難しいことがたくさんあるため、思いやりの気持ちから始まった「ケア」がいつの間にか「コントロール」に変わってしまいがちです。

良かれと思って、相手の気持ちをないがしろにしていないか、十分に気をつけたいところです。

認知症に限らず、老いとのかかわりは、プライドとの闘いでもあります。誰しも、否定的な感情をぶつけられれば、反発します。それが家族であれば、なおさらです。

理解できないと思ってもまずは「なぜ、この行動をとるのか」を考え、理解した上で対応すると、本人も家族もストレスが減ります。

認知症について気になることや困りごとが出てきたら、まずは地域包括支援センターに相談してみましょう。

地域包括支援センターは、専門知識を持つ職員が地域の介護・福祉関連機関と連携し、地域で暮らす高齢者の生活を支える「高齢者のよろず相談窓口」です。

認知症や介護はもちろん、健康や生活環境、家計のことなど幅広く対応してくれます。本人だけではなく、家族の困りごとも聞いてくれるのが特徴です。認知症と診断された後はもちろん、診断されていなくても、無料で相談に乗ってくれるのでぜひ活用してください。

あの言動の「なぜ? 」がわかる認知症の症状

認知症の症状は「中核症状」と「周辺症状(行動・心理症状=BPSD)」の2つに分類されます。

中核症状は脳細胞の一部が死滅し、高次脳機能が低下することで現れます。なお、高次脳機能には言語や認知・判断、想像、意欲、複雑な感情などが含まれます。

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これらの中核症状は互いに関連し合い、影響し合っています。例えば、見当識障害は記憶障害によって、これまでの記憶との照合が難しくなることで起こります。記憶や見当識が阻害されることによって、判断力の低下が引き起こされるといった具合です。

中核症状の発症時期や程度には個人差があります。ただ、同じタイプの認知症であれば、基本的に同じ中核症状が現れます。

さまざまな周辺症状

一方、心身のストレスや周囲の環境など、さまざまな要因が影響し合って現れるものに「周辺症状(行動・心理症状=BPSD)」があります。

周辺症状は同じタイプの認知症であっても、人によって現れる症状が異なります。代表的な周辺症状は次のとおりです。

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複雑に影響して症状は現れる

周辺症状には行動症状と心理症状がありますが、必ずしもどちらかに分類できるものではなく、複雑に影響しあいながら症状が現れます。

また、ここで挙げたのはあくまでも代表的な症状にすぎず、これ以外にもさまざまな症状があります。

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提供元:「認知症?」家族が心配な人に知ってほしいこと|東洋経済オンライン

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