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2023.12.05

キシリトールガムは歯にいいと思う人が陥る誤解|思わぬ落とし穴で虫歯になっている可能性も


歯にいいとされるキシリトールガム。本当なのでしょうか?(写真:Camera三吉 / PIXTA)

歯にいいとされるキシリトールガム。本当なのでしょうか?(写真:Camera三吉 / PIXTA)

自分自身のオーラルケアに自信がある人は予防歯科先進国のアメリカやスウェーデンでは約80%なのに対して、日本では約60%の人は自信がないそうです(ライオンによる調査)。

また予防歯科を実践している人はアメリカ、スウェーデンの約70%に対し、日本ではわずか26%。日本人の歯への関心の低さがデータでも浮き彫りになっています。

しかし「キシリトール入りのガムを噛むことを習慣にしているので、自分は歯への意識が高い」と考えている人も少なくないのではないでしょうか。

「キシリトール入り」と表示されていればそれだけで安心なわけではなく、思わぬ落とし穴によって虫歯の原因になっている可能性もあるのです。キシリトール入りガムの効果に迫っていきましょう。

なぜ、キシリトールが注目される?

キシリトールは1976年にフィンランドで虫歯予防効果が発見されて以来、砂糖に比べカロリーが低く生体に安全なことから、虫歯予防の面で注目されてきました。

厚生労働省は「キシリトールは虫歯予防効果が実証されている天然甘味料」とし、「食後にキシリトール配合のガムなどを摂取するのが有効」としています。

このコメントを鵜呑みにすると、キシリトールは「天然甘味料だから安心だ」とか「虫歯を予防してくれるんだ」「キシリトール入りガムを食後に噛むと虫歯にならない」などと思う人もいるのではないでしょうか。

確かにキシリトールは白樺やトウモロコシの芯などを原材料にしているので、天然素材が元になっています。

しかし、それからの行程は、加水分解によりキシロースという糖類を抽出し、さらにニッケルを触媒として、高温・高圧状態で水素化するという人工的な方法です。

つまり正確にいうと「キシリトールは天然素材を原材料とし、人工的な方法で作られる甘味料」です。ほかの甘味料でも人工的に(化学合成で)作られる甘味料には、アスパルテームやサッカリン、スクラロースなどがあります。

個人差はあるのですが、キシリトールの摂りすぎ(30〜40g)で、お腹がゆるくなる人がたまにいます。キシリトールは腸で吸収されにくく、腸内のキシリトール濃度を薄めようとして、身体が腸に水分を集めるのでお腹がゴロゴロなったり、ゆるくなったりします。

またキシリトールそのものに虫歯予防能力、虫歯修復能力があるわけではありません。キシリトールを摂取すると、口の中で虫歯の原因となる「酸」が出ないということなのです。

ガムを5分程度噛むと唾液の量が噛む前の10倍近くまで増え、唾液の重炭酸塩などの成分が歯から溶け出たカルシウム(脱灰)を再び取り入れて(再石灰化)、虫歯になるのを防いでくれます。

キシリトールは虫歯の原因を作らないうえに、ガムには唾液作用により歯の修復効果があるので、適切な量でキシリトール入りのガムを噛めば虫歯予防になるというわけです。

糖類が入っていると意味がない

ただしキシリトール配合であっても、そのほかに砂糖や水飴などの酸を作り出す原因となる糖類がガムに含まれていると、虫歯予防にならないので要注意です。

キシリトール配合ガムを食べた後も、歯磨きを忘れずに(写真: shu /PIXTA)

キシリトール配合ガムを食べた後も、歯磨きを忘れずに(写真: shu /PIXTA)

そもそもキシリトールに、砂糖などが虫歯を起こす作用を打ち消す効果があるわけではありません。仮にキシリトールが95%配合されていても砂糖が5%含まれていれば、キシリトールは砂糖が及ぼす悪影響を一切止めることができません。そのため、食後の歯磨きは必須です。

キシリトールは虫歯対策にはよい甘味料ですが、それに頼りすぎず、食習慣の管理が大切です。

例えば甘いものを食べてもキシリトール入りガムを噛めば虫歯にならないわけではありません。

キシリトールに頼らない虫歯対策を

ジュースのような一瞬で口の中を通り過ぎるものであれば、キシリトール入りガムを5分ほど噛めば、口の中は虫歯になりにくい状態に回復します。

しかし飴のように糖質が高く、長時間にわたり口の中に滞在するものを食べた後は、キシリトール入りガムを20分以上噛んでも状態は回復しません。食べたら歯を磨く習慣も忘れずに。

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提供元:キシリトールガムは歯にいいと思う人が陥る誤解|東洋経済オンライン

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