2023.11.30
完璧主義の人が陥る「超危険なサイン」重大な5つ|自分がやらなくていい仕事のはずなのに…
完璧主義の人は自覚がないケースも多く……(写真:buritora/PIXTA)
完璧主義の人は、仕事を増やしすぎて心身ともに疲れがち。しかし、厄介なことに自覚がないケースも多いのです。気づくための、チェックリストとは……?
精神科医Tomyさんの著書『穏やかに生きる術 うつ病を経験した精神科医が教える、人生の悩みを消す練習帳』より抜粋・再構成してお届けします。
『穏やかに生きる術 うつ病を経験した精神科医が教える、人生の悩みを消す練習帳』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします
完璧主義は仕事量を増やしてしまう
完璧主義というものがあります。何でも完璧に物事をこなそうとする。これは本人の性格や性質といった類のものです。やっかいなことに、完璧主義の人はたいてい自覚がありません。それどころか自分のことを「全然完璧じゃない」と思っています。完璧主義のやっかいなところは、仕事量を不必要に増やしてしまうことです。
同じことをやるにしても、「なんとなくやる」のと「完璧にやる」のでは仕事量が何倍も違ってきます。
完璧主義の人は、それをありとあらゆることに当てはめてしまうので、常に動き回ってしまいます。行うだけでなく、物事が完璧に進行しているか確認するので、気が休まることはありません。こうした状況はもちろん喜ばしくありません。
本稿では完璧主義の手放し方について考えていくことにしましょう。
前述したように、完璧主義者は自覚がないことが多いです。どんな対策も、まず自覚ができてからこそ始まるのです。そこで、アナタが完璧主義かどうかチェックしていきましょう。
以下の項目に一つでも心当たりがある人は、完璧主義だと考えてください。
「えー、そうなの?」と思われるかもしれませんが、完璧主義者はちょっとでも該当しないことがあると「〇〇だから私は完璧主義じゃない」と否定しようとするのです。なのでちょっと厳しくいきます。
まず自分が完璧主義かどうかチェックする
・NOと言えない
完璧主義者の人はNOと言うのが苦手です。なぜならば完璧主義ゆえに、「頼まれたことは引き受けなければならない」と感じているからです。そのため「できない」と言えず、引き受けてしまうのです。
・期限は絶対守る
完璧主義の人は期限を絶対守ろうとします。これはもちろん良いことなのですが、自分に対する言い訳を許しません。様々な理由で期限が守れないとき、相手に事前に確認してリスケジュールをすればいいのですが、これもやろうとしません。「期限は絶対」と考えている人は完璧主義と考えていいと思います。
・キリのいいところまでやらないと気が済まない
夜遅くなっても、どんなに疲れていても、キリのいいところまでやろうとすることはありませんか? 気が付いたら深夜になっていたり、フラフラになっていたりする。これも完璧主義者の特徴です。
自分で予定を決め、そこまでは何が何でもやろうとします。
・自分がやらなくていい仕事も、いつの間にか自分がやっている
自分の仕事の中に、本来自分がやらなくてもいい仕事、別に自分が頼まれたわけじゃないのに引き受けている仕事はありませんか?
たとえば、飲み会の幹事。みんなで飲み会をやろうという話が持ち上がったときに、いつの間にか自分が幹事をやる流れになっていませんか? こういう人は完璧主義者です。みんなで決めたことがなあなあになるのが嫌で、「他にやりそうな人もいないし」と考え、自分がいつの間にかやってしまうのです。
・相手が期待した以上のことをやる
アナタが仕事をやり終えて相手に報告したときに、「そんなにやってくれたの?」と驚かれたり、喜ばれたりしていませんか? たいてい仕事を頼むときは、相手が期待通りできなかったときのことも見越して、想定以上の内容で依頼するものです。
つまり、依頼された通りのレベルまでできていなくても、たいてい折り込み済みなのです。それなのに頼まれた以上のことまでやってしまうのは、アナタが相当完璧主義者である証拠です。
ではここからは本題、「自分が完璧主義者だったらどうするか」についてお話ししたいと思います。結論から言うと、完璧主義者であることをいきなり全部変える必要はありません。最終的に完璧主義者を手放す必要もありません。
完璧主義に限らず何でもそうですが、性質や性格といった本来の自分に備わっているものを、いきなり変えようとするのは至難の業です。変えられないわけではないのですが、かなりの時間と労力を必要とします。
なので私は、この方法を提案します。一つのステップは自分の性格、性質を認識すること。そしてその次のステップは行動や考え方を変えてみること。この二つの組み合わせで、結果として自分の性格や性質をより望ましい方に「リフォーム」することが可能なのです。
考え方や行動を変えてみる
一つ目のステップは既に先ほどのチェックリストで完了しました。では二つ目のステップ「考え方や行動を変えてみる」について提案していきたいと思います。
まず完璧主義者の方の場合は、「自分の領域を狭めてみる」という方法が一番いいのではないかと思います。先程述べた完璧主義者の特徴について思い出してみてください。
完璧主義の人は、どんどん自分の仕事や責任を増やしてしまっていたのではないでしょうか? 誰もやりそうになければ自分でやってしまう。他人から頼まれた仕事を期待以上に仕上げてしまう。どれも「自分の領域を広げている」行為なのです。
掃除にたとえてみるとよりわかりやすいかもしれません。完璧主義の人が掃除に取り掛かると、あれもこれも気になりだして、結局大掃除になってしまう。家具を動かしてその裏の掃除をしたり、フローリングの隙間のゴミも掻きだして掃除をしてしまう。結果クタクタになってしまう。
これを避けるために「大雑把な人間になりましょう」なんて言われても、そんなことはいきなりできません。そこで「自分の領域を狭める」という技が生きてくるのです。
たとえば、「今日は掃除する」ではなく「今日はトイレ掃除をする」などというように決めてみるのはいかがでしょう? トイレ掃除ならどれだけ完璧にやってもたかが知れていますから、やることがどんどん増えてクタクタになる、なんて事態は避けられるでしょう。
こんな感じで一度にやる領域を狭めて、その中で完璧にやればいいわけです。
領域の狭め方には次の3つの方法があります。
(1)時間を決める
キリのいいところまで「もうちょっと、もうちょっと」と作業を進めてしまい、いつの間にか疲れてしまう人にはこの方法がおすすめです。「今日は1時間作業する」「今日は夕食前まで勉強する」などと時間で区切る方法です。
私はかつて原稿を書くとき、「空いた時間があれば書く」というスタイルをとっていました。しかしその方法だとどんなに疲れていても無理やり原稿を書くことになってしまいます。
また、空いた時間があると「もうちょっと、もうちょっと」と書き進めてしまい、慢性的な疲労感が出てくるようになりました。
そのため今は「朝1時間、多くても2時間だけ原稿を書く」というスタイルに決めています。
この方法だと、午後に時間が空いても原稿は書かないと決めているので、だらだらと原稿を書いて疲れることはありません。
また最初に一日に費やす時間を決めているので、その範囲で原稿が仕上がるよう、早めに取り組むようになりました。そうすると締め切りに追われないので、体がラクになります。
完璧主義も緩和させるには少しずつ
(2)量を決める
この方法は一日に作業する量を決める方法です。この場合、内容で作業量を決めるのではなく、数字的な量で決めることが大切です。
たとえば、また原稿を書くたとえで恐縮ですが、文字数などを決めずに「一章を完成させる」と決めておくと、内容が上手く思いつかなかったときに、際限なく作業をすることになります。なので私は「一日1000文字」などと数字で作業量を決めています。
『穏やかに生きる術 うつ病を経験した精神科医が教える、人生の悩みを消す練習帳』(KADOKAWA) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします
(3)場所を決める
先程の掃除の例ですね。掃除をなんとなくするのではなく、「トイレ掃除をする」と決めてしまう。
どれだけ完璧にやろうとしてもトイレまでなので、掃除が止まらなくなるという可能性はありません。
これら、時間、量、場所で作業内容を制限し、その中で完璧にすれば完璧主義者のまま生きやすくなると思います。その方法に慣れた頃、少しずつ完璧主義も緩和してくると思います。
【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します
提供元:完璧主義の人が陥る「超危険なサイン」重大な5つ|東洋経済オンライン