2023.11.04
目の名医が考案「読むだけで目がよくなる文章」|4つのポイントを押さえて「目のコリ」をほぐす
近くを見続けると目の筋肉に大きな負荷がかかります(写真:プラナ/PIXTA)
スマートフォンの普及にともない、日本人の視力は危機的な状況を迎えています。幅広い世代に広がる「スマホ老眼」はもちろん、子供の近視も大幅に増加中です。
しかし、生活に根付いたスマートフォンを排除することはほぼ不可能。であれば、別の方法で視力を守るほかありません。京都大学医学部出身で、30年で16万人の目を診察してきた目の名医、松岡俊行さんは、「文章を読む」という意外な方法が効果的だと語ります。松岡さんの著書『眼科医が考案 1日1分読むだけで目がよくなるマジカルフレーズ』より、その具体策について、一部抜粋・再編集してお届けします。
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スマホの画面を見続けると目の筋肉を酷使してしまう
最近、「子供の視力が急に悪くなった」「近ごろ文字が読みにくく感じる」「スマホ老眼かもしれない」という相談が増えています。特に子供は深刻で、2022年に文部科学省が発表したデータによると、小学校6年生の約半分が視力1.0以下というから驚きです。
しかし、眼科医の立場から見れば、決して不思議ではありません。現代社会は、パソコンやスマホ、タブレット端末を使わなければ生活できなくなっているからです。仕事や勉強、学校に提出する宿題だけでなく、買い物をしたり、レストランで注文する際にもタブレットを使います。人類の歴史のなかで、こんなに近くばかり見て暮らすライフスタイルはかつてありませんでした。
実は、近くを見続けると目の筋肉に大きな負荷がかかるのです。想像してみてください。朝から晩まで、腰を曲げて重労働していたら、腰を痛めてしまうでしょう。休む暇なく働かされていたら、過労で体調を崩してしまうでしょう。
それと同じことが目に起こっているのです。朝目が覚めてから夜寝るまで、近くの小さな画面を見続けているということは、目にとっては一日中、肉体労働をしているのと同じです。
長時間、近くを見続けると具体的にどんな負荷がかかるのでしょうか。ものを「見る」ためには、ピントを調節する「内眼筋」と、眼球を見るものの方向に向ける「外眼筋」という筋肉を使っています。
スマホやパソコンなど、近くのものばかりを見ていると内眼筋の緊張が続き、血流が悪化。筋肉は固くなり近くを見た状態で固定され、遠くを見るときにピント調節ができなくなります。また、ずっと同じ画面を見続けるので外眼筋も固定されます。
その結果、「眼の筋肉」に起きるのが眼精疲労、すなわち「目のコリ」です。放置していると、近視や老眼を招いてしまいます。
内眼筋、外眼筋の「コリ」をほぐすことが重要
人はものを見るときに水晶体(目のレンズ)だけでなく眼球を動かして焦点を合わせています。そのため、外眼筋の動きが悪ければ、ピントは合いづらくなります。また、外眼筋のコリが続くと、眼球への血流も滞るため、目の働きが衰えます。外眼筋のコリや疲れを解消しなければ、「目がよく」ならないのです。
「低下した視力は戻らない」と思い込んでいる人もいるかもしれません。しかし回復が可能なケースも多いのです。目が過労状態でヘロヘロになり、ピント調節がうまくできなくなっているだけだからです。「目が悪くなった」原因である「目のコリ」をほぐせばいいのです。
肩がこったり、腕の筋肉が疲れたら、どうしますか? ストレッチやマッサージでコリやこわばりをほぐしますよね。同じことを目の筋肉に行うのがこの記事でご紹介する「マジカルフレーズ」です。
マジカルフレーズとは、読むだけで目がよくなるように設計された特別な文章です(詳細後述)。リラックスして意識的にゆっくりと目を動かしながら読むことで、眼筋をほぐし、血流をよくして、酸素の循環を改善し、目のコンディションを整えます。
世の中に数ある「目のトレーニング」のほとんどは、眼筋を鍛える方法をうたっています。対して、マジカルフレーズでは「目のコリをほぐす」「疲れを癒す」方法をご提案しています。前者が「目の筋トレ」であれば、後者は「目のヨガ」にあたるイメージです。
4つのポイントが揃った特別な文章で目がよくなる
「読むだけで目がよくなる文章があるんですよ」
こんな話をすると、大抵の方は不思議そうな顔をします。
「そんなこと、あるわけないですよ」
「どうして、読むだけで目がよくなるんですか?」
そうした疑問を持つのも無理はありません。しかし、30年以上、眼科専門医をしている私の経験から言わせていただくなら、「文章を読む」方法が目のコリをほぐすのに最も適しているのです。
なぜなら、「目のコリ」をほぐすのに、最も効果的だからです。
マジカルフレーズは、目がよくなる4つのポイントが押さえられています。
(1) 通常とは逆の方向に読む
ふつうは上から下に読む文章を、(主に)下から上に読むことで、普段は使わない目の筋肉が動き、ストレッチ効果が得られます。外眼筋がほぐれ、眼球の動きがよくなります。
(2) 眼球をゆっくり動かす
1文字ずつゆっくり読んでいくのがポイント。目の筋肉の血流や酸素の循環が回復し、「目のコリ」がほぐれます。
(3) 心が動く名文を選ぶ
心にじんわり響く文章を読めば副交感神経が優位になります。筋肉がリラックスし、涙の量も増えます。
(4) 脳の「視覚野」を刺激する文章を読む
少し読みづらい文章のほうが、脳の視力を司る部分が刺激され機能がアップします。
次の画像で例を示します。矢印に沿って読んでください。
(画像:『眼科医が考案 1日1分読むだけで目がよくなるマジカルフレーズ』より)
(画像:『眼科医が考案 1日1分読むだけで目がよくなるマジカルフレーズ』より)
(画像:『眼科医が考案 1日1分読むだけで目がよくなるマジカルフレーズ』より)
逆さ読みで脳の認知機能がアップする
ヨガが普段やらない特殊な姿勢を取るように、「マジカルフレーズ」でもあえて読みにくい「逆さ読み」を中心とした特別な文章を読むことで、目の筋肉が程よく刺激されストレッチ効果が増します。
「マジカルフレーズ」は、内眼筋と外眼筋、両方のコリ解消に効果が期待できます。特に外眼筋は、眼球を様々な方向に動かすため、ストレッチになります。
人は文字や記号を目で眺めるだけでは、何も受け取ることができません。目からの情報を脳が受け取り、その情報を処理することで「見る」ことができるようになります。
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目から入ってくる大量の情報は、視神経を伝わって、脳の「視覚野」という視覚を司る部分に送られます。そこで情報が整理されることで、形がはっきりとするのです。
眼筋の状態がよくても、脳の認知機能が衰えていては、目から入った雑多な情報が処理できず、視力低下の一因となります。「マジカルフレーズ」は、この点にも注目して開発しました。文章を逆さから読んだり、斜めから読んだりすることで、脳の認知機能をトレーニングし、目からの情報を脳の視覚野に伝える「シナプス」のネットワークを強くすることを狙っています。
20~50代のモニター参加者に、実際に1カ月試してもらったところ、早い人だと開始2週間で視力が0.5から1.0に改善しました。
1日1分でOK。長時間行う必要はありませんので、ぜひお試しください
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提供元:目の名医が考案「読むだけで目がよくなる文章」|東洋経済オンライン