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2023.09.13

「しんどいのに平気なふり」"笑顔うつ"の怖い実態|笑顔の仮面をかぶって生活…我慢強い人は注意


本当は「しんどい」のに、他人に見せないよう我慢していませんか?(写真:アラヤシキ/PIXTA)

本当は「しんどい」のに、他人に見せないよう我慢していませんか?(写真:アラヤシキ/PIXTA)

働けてはいるけれど、家に帰るとぐったりしてなにもできない。まじめにやっているのに、まわりから「やりすぎ」「考えすぎ」と言われてイラッとする。これが「笑顔うつ(smiling depression)」とよばれる状態だ。笑顔うつは、なんとか社会生活は送れているものの、内面で抑うつ症状や身体の不調を長期間抱え、やがて心と体が一致する感覚がなくなっていく。

「笑顔うつ」は医学的には公式な病名ではないが海外でも研究が進められており、一般的には軽度または中程度のうつ病や適応障害に該当するといわれる。なぜ、心と体の調和が崩れるのか。毎月500人以上の患者さんの診察をしながらSNSでも情報を発信している精神科医しょうさんの書籍『精神科医が教える 笑顔うつから抜け出す方法』から一部抜粋・再構成してお届けします。

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「笑顔うつ」とは?

・落ち込みや不安は感じないけれど、長期間体調がすぐれない

・急に感情が暴走してしまって、後悔することがある

・やりたいことはあるのに、思うようにこなせなくなっている

・体は元気だけれど、長期間落ち込みや不安があってしんどい

このように心身の不調を長期間抱えながらも、他人には見せないように笑顔で明るくふるまえる状態を、わたしは「笑顔うつ」と呼んでいます。

笑顔うつは初期段階では兆候が見えにくいため、まわりからは単なる甘えや性格の問題と考えられ、精神的な病気とは疑われません。しかしながら、「笑顔の仮面」をかぶって社会生活をしているため、サポートを受けることが難しく、状態が悪化しやすいのです。

通常、笑顔はポジティブな感情が湧いたときに自然に表れるものです。しかし、意図的に笑顔を作ることでも、脳内神経伝達物質であるドーパミンやセロトニンが分泌され、ポジティブな感情が生まれます。無理にでも笑顔を作り、元気そうにふるまうことで、神経伝達物質が分泌され、一時的に抑うつ感や不安が軽減されるのでしょう。

しかし、これが「限界に気づかず我慢する」「限界が見えずにがんばりすぎる」ことにつながっているのです。とくに、我慢強い人は笑顔うつになっているのがわかりづらいです。

診察していると、笑顔うつの状態の人がたくさんいます。「もっと早く、診察に来てくれればよかったのに……」と言いたくなるほど、症状が悪化した人も少なくありません。

「笑顔うつ」の状態は、わかりやすくいうと、うつ病や適応障害の軽症か中等症にあたります。

まず、うつ病は脳内でセロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の分泌が乱れる病気です。

神経伝達物質の分泌が乱れる原因は、性格傾向をはじめストレスや環境要因などさまざまです。うつ病を発症する原因を1つに特定するのは難しく、うつ病は「さまざまな要因が複合的に絡み合って発症する」という理解が正しくなります。

一方、適応障害は、外的なストレスや変化、出来事に対してうまく対応する力が一時的に低下していたり、本人のキャパシティー以上の外的ストレスがかかったときに、日常生活や社会機能に支障をきたす病気です。

はっきりと言えるのは、笑顔うつになるのは、本人が甘えているわけでも、怠けているわけでもない、ということです。気合や根性で、神経伝達物質の分泌を促すことはできませんし、環境や状況が変わらなければストレス因がなくなることはないからです。

笑顔うつになると迷いこむ「4つの世界」

笑顔うつはあらゆる不調が心と体に現れますが、現れ方も原因も人によってさまざま。たいていは、次の4つの世界のどこかに迷いこんでしまいます。

(1) 体調不良が目立つ「歩くと体調が悪くなる道」

(2) 落ちこみや不安が強い「希望が見えなくなる森」

(3) 感情をコントロールできない「戦わずにはいられない戦地」

(4) 思い通りに動けない「心と体が離れていく街」

次から紹介する状態のなかに、2週間以上続いている状態があれば、チェックを入れてください。当てはまるものが多いのが、いまのあなたの迷いこんでいる世界です(次の図は、それぞれの状態を、わかりやすいように「体調」と「感情・行動」の2つの軸で表しています。

(出所)『精神科医が教える 笑顔うつから抜け出す方法』

(出所)『精神科医が教える 笑顔うつから抜け出す方法』

★体調不良が目立つ「歩くと体調が悪くなる道」

□体調不良が続いて「苦痛」を感じる
□内科にかかっても原因不明な体調不良がある
□仕事や家事に支障がでている

この世界にいる人は、さまざまな身体症状に悩まされるのが特徴です。

身体的症状に悩まされるのが特徴とはいえ、落ちこみや不安などの精神症状がないわけではなく、「自覚していない」というのが正しい言い方になります。

★落ちこみや不安が強い「希望が見えなくなる森」

□1日中気分が落ちこんだり、気持ちが沈んだ状態が続いている
□ひとりになると漠然とした不安におそわれる 
□まわりの人から表情や言動の変化を指摘される

この世界にいる人は、精神症状に悩まされるのが特徴です。このタイプは、身体の不調がないわけではなく、「自覚していない」という場合が多いです。よくよく聞くと、不眠やだるさ、頭痛、便秘などがあります。身体の不調の自覚がまったくない人はごくまれです。

★感情をコントロールできない「戦わずにはいられない戦地」

□これまで気にならなかったことが気になる
□感情をコントロールしにくい状態が続いている
□まわりの人から心配される

この世界にいる人は、感情をコントロールしにくくなるのが特徴です。
人と話していて急に涙がこぼれたり、些細なことでイライラしたり、人にきつくあたり出したりします。その場にそぐわない言動をすることも多く、「なんであんなことをしちゃったんだろう」「あんなことを言わなければよかった」と自己嫌悪に陥りがちです。

このタイプは、自覚の有無にかかわらず、なにかしらの身体症状か精神症状、あるいは両方を抱えています。

★ 思い通りに動けない「心と体が離れていく街」

□原因不明の体調不良があって、不安や落ちこみも続いている
□得意なこと・好きなことができなくなっている
□仕事や家事に手がつかない状態が続いている

この世界にいる人は、思い通りに行動できなくなるのが特徴です。身体症状と精神症状の両方を自覚している人が多く、まわりの人に気づかれないようにしてきたけれど、かくす気力も体力も尽きかけているような、エネルギー切れの状態です。

笑顔うつは「しんどい」と言えなくなる病

笑顔うつは、自分の不調に気づけなくなる病、「しんどい」と言えなくなる病です。知らないあいだに〝笑顔の仮面〞をつけた世界に迷いこみ、身動きがとれなくなっていきます。

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『精神科医が教える 笑顔うつから抜け出す方法』(あさ出版) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

この世界から抜け出すため、そして再び迷いこまないためには、日頃から自分の心や体をよく観察することや、まわりの世界をよく知ることが欠かせません。

病気かもしれない? と思っても、笑顔うつの人は精神科や心療内科には行きづらい、と言う人が多いです。

自分にとっては些細なことでも、医師からすると「それはたいへんだったね」「もっと早く話してくれればよかったのに」というケースもたくさんあります。しんどいときは「もしかして病気かな?」という意識を持ちつつ、早めに悩みを誰かに相談するのが、状態を悪化させないポイントです。

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提供元:「しんどいのに平気なふり」"笑顔うつ"の怖い実態|東洋経済オンライン

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