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2023.07.01

「明日から本気出す」毎日思ってもいいんじゃない|精神科医が贈る心がスーっと軽くなるメッセージ


誰かのためにがんばりすぎて疲れてしんどい心にしみ込む、ゆるっと優しいメッセージを贈ります(写真:Ushico/PIXTA)

誰かのためにがんばりすぎて疲れてしんどい心にしみ込む、ゆるっと優しいメッセージを贈ります(写真:Ushico/PIXTA)

誰かのためにがんばりすぎて、疲れてしまっていませんか?

例えば、子どものため、家族のためにがんばっているお父さん、お母さん。あるいは職場で、部下のため、同僚のため、チームのみんなのために、一生懸命で献身的な人。

一生懸命だったり、周りに気を配れたり、誰かのためにがんばれる人は素敵な人です。でも、がんばりすぎてしまって自分が倒れたり、つぶれてしまったら、あなたがもったいない。

『「誰かのため」に生きすぎない』では、精神科医・藤野智哉さんが、一生懸命だったり、優しいあまりに頑張りすぎてしまう人が、適切に休んだり甘えたりすることができるよう、疲れてしんどい心にしみ込む、ゆるっと優しい言葉たちと精神科医の知見を贈ります。

※本稿では同書より一部を抜粋しお届けします。

『「誰かのため」に生きすぎない』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

休んでOK

「さぼっているんじゃない。エネルギーを溜めているだけ」で休んでOKなんですよ。

うつになると休みがちになるため、「うつの人は休む」というイメージがある人もいるかもしれませんが、逆です。

むしろ「適切なタイミングで休めなかったからうつになってしまった」というパターンも多いのです。

とはいっても、「まわりに迷惑をかけるし」「私だけ休むのは悪いし」「病気でもないのに」などと、「休めない理由」をたくさんもってしまっている人もいます。

そういう人は、逆に「休む理由」をたくさん探してみましょう。

「休めない理由」を考えられる人はいても、あきらかな不調や用事以外で「休む理由」を考えるのってなかなか難しい人も多いものです。

例えば、

・しんどいときにやっても効率は上がらないし

・明日ベストな状態で仕事するために今日は休もう

・子どものことを考えたら、がんばりすぎてつぶれちゃうよりいい

・休んでも、そこまで仕事に穴は空かない

・たいていのことはなんとかなるし、自分の体が一番大事

こんなふうに自分なりに納得のいく「休む理由」を考えてみるのです。

そして、「しんどいな」と思ったときは、こうした「休む理由」を自分で自分に言いきかせてあげてください。

そして、適度に自分に「休み」をとってあげられるようになるといいですね。

この「休む理由」はもっと軽い感じで、

・休みたいと思ったときが休みどき

・さぼっているんじゃない。エネルギーを溜めているだけ

くらいのゆるっとしたフレーズでもいいと思いますよ。

肩の力が抜けて、「もう、休んじゃおう」と思えるならそれでOK。

こうした「気楽に休めるフレーズ」をたくさんもっておくのもいいでしょう。いざというときに役に立つと思います。

しんどくなったら、「気楽に休めるフレーズ」をつぶやいて、えいやっと休むこと。
しっかり覚えていてくださいね。

ポイント:「気楽に休めるフレーズ」を考えてみる

「がんばり続けるためにうまく休める人」を目指す

「明日から本気出す」って思い続けている間に人生が終わる。それもまた、いい人生じゃないですか?

「休まずがんばり続けられる人」ではなく、「がんばり続けるためにうまく休める人」を目指したいですね。

そのためには、何かをがんばろうと思ったときは、同時に「そのぶん、何を手を抜こうか?」って考えてみるのはいかがでしょう?

人それぞれ、がんばれる量には限界がありますから、「ダイエットのためにジムに通おうと思ったら、そうじは手を抜く」みたいな工夫が必要です。

何か新しいものを手に入れたら、いらないものを断捨離するみたいに、タスクもうまく減らせるといいですね。

用事を詰め込んだほうがえらいと思い込んでいるストイックな人もけっこう多いです。「ダラダラして1日が終わってしまった」なんて落ち込む人もいますが、貴重な時間をムダに使うなんて最高のぜいたくです。たまにはぜいたくな日があってもいいじゃないですか。

よく「何もしないをやりにいく」と言って旅行に行く人もいますが、その「何もしない」を家でできたのだから最高です。

明日にまわせることは明日にまわしましょう。

明日やれることも今日やってしまう、という人も少なくないのが世の中だと思いますが、明日もし死んだら、明日に残しておいた嫌なタスクをやらずにすむかもしれません。

今日無理やり嫌なタスクをやったのに、明日死んだら悔しいじゃないですか。

「明日から本気出す」でいいんです。

「明日から本気出す」って思い続けている間に人生が終わる。

それもまた、いい人生じゃないですか?

通常営業はゆるめて、本気は非常時にとっておきましょう。

結局、非常事態なんて起こらず、本気を出さずに人生を終えられたらラッキーです。よく「本気出せ」とか言われますけど、本気を出さなくてもやれているのであれば、そんないいことってないですよね。

今は省エネの時代ですが、別に私たちの人生も省エネでいいわけですし。

こんなに「省エネ、省エネ」と言われているのに、人生だけフルパワーを求められるのも、ちょっとどうかなと思います。

あと、本気をとっておくよさは「余裕」が生まれることです。余裕があれば何かあったときにあせらないですからね。

普段からフルパワーだと、何か不測の事態が起きたときに、もういっぱいいっぱいになって対応しきれません。

余裕があることによって客観的に自分を見ることもできるし、それこそ「まだまだ自分で処理できるな」とゆったりかまえられるし、本気はとっておいたほうがいいと思います。

ポイント:明日にまわせることは明日にまわす

足は「逃げる」ために使っていい。逃げ出す道が「前」でもいい。

「疲れたら休もう」と言うと、「休むとさぼってるみたいで罪悪感が湧く」という人もいるでしょう。

休んだって、ゆっくりしたっていいんですよ。

良き日のために、エネルギーを溜めておかないといけないんだから。

スヌーピーもこう言ってます。

I need plenty of rest in case tomorrow is a great day……

(明日がすばらしい日だといけないから、うんと休息するのさ……)

休息って前向きなことなんです。

まあ、後ろ向きでもいいんですけどね。

「人は前向きじゃないといけない」って思い込みすぎている人が多い気がします。前に進みたくないときは、いったん止まっても、寄り道してもいいんです。

何が前向きかは自分で決めるもの

「そもそも、前向きっていうけど、その方向が『前』だなんて、誰が決めたんだ?」ってパターンもありますよね。

例えば、同僚に「上司に少しくらい暴言を吐かれても、前向きにお仕事がんばろうよ」と言われたとして、「それって本当に前向きなのかな?」と疑問に思いませんか?

上司の暴言を我慢し続けることは、単に同僚や上司にとって「前向き」なだけで、自分にとっては「後ろ向き」、「自分いじめ」を放置し続けることにもなりかねません。

何が前向きかは自分で決めるものだと思います。

今向いているほうが前でいいし、逃げ出す道が前でもいい。

記事画像

『「誰かのため」に生きすぎない』(ディスカヴァー・トゥエンティワン) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

「逃げる」だってそうです。

「攻撃してくる人から逃げる」「不愉快なSNSの書き込みから逃げる」「ブラックな職場から逃げる」「婚活のプレッシャーから逃げる」「毒親から逃げる」……これってそんなに後ろ向きでしょうか?

足は前に進むためにある、なんて言う人がいるけれど、私は逃げるために使ってもいいと思います。

だって逃げる方向が本人にとっての前なんですから。

無理して前向きにならなくていいし、嫌な場所から逃げてもいい。嫌なことをされたときに我慢して笑うのが愛想というなら、愛想なんて捨ててもいい。

本当に自分の大切なものにエネルギーを使うときのために、休んだっていいんです。

嫌な人のために自分が我慢しなくてもいいんですよ。

ポイント:何が前向きかは自分で決める

記事画像

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なぜか機嫌がいい人がしている「なるほど」な工夫

豊かな日本社会で「心を病む人」が増えている理由

「倒れるまで無理をする人」が仕事を断れない理由

提供元:「明日から本気出す」毎日思ってもいいんじゃない|東洋経済オンライン

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