2023.03.28
どうしても「片づかない家」4つのヤバい共通点|「捨てる=片づけ」という発想の大問題
なぜか片付かない家に共通する点とは(写真:hellohello/PIXTA)
著書累計65万部超の、幸せ住空間セラピストの古堅純子さん。5000軒以上のお宅を訪問してはさまざまな家を片づけ、「古堅式」メソッドを確立した同氏によると、そもそも片付けられない人は「捨てる」ことが苦手だとか。同氏の著書『物に囲まれてすっきり暮らす』より、片付かない家に共通する4つの特徴を紹介します。
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片づけは、「捨てる」から始めない
今までの片づけのセオリーは、物を減らすということでした。物を減らす、つまり手放せば、片づいた暮らしが実現できるという理屈です。たしかにそれが一番簡単です。でも、世の中には物が捨てられない人がたくさんいます。捨てられないから困っている。俗にいう“ゴミ屋敷”はその最たるものでしょう。
でも安心してください。捨てなくても、部屋を片づけることはできます。「捨てる」から始めなくても片づけられるし、生活は変わります。まずは、「捨てる=片づけ」という思い込みを解いてほしいのです。
最近、私は「世間で当たり前とされている片づけ」ができない方と向き合いながら仕事をすることが多くなってきました。捨てられなくてどうしようもなくなり、最後に私のところに来る。そういう方に「捨てなさい」「物を減らしなさい」と、私はどうしても強くは言えないのです。
なぜなら、「物を捨てなさい」という言葉は、持ち主の人格を否定してしまうところがあるからです。そこに物があるのは持ち主なりの理由があり、捨てられないのも理由があります。そうした事情も無視して、ただ「減らしなさい」「捨てなさい」と言うのは、その人を否定することにならないでしょうか。今まで頑張って生きてきて、このような形になり、これを何とか変えたいと思っているなら、それもその人なりの生き方の表れです。
それをやみくもに他人が否定していいのでしょうか。唯一、物を捨てられるとしたら、その人自身が「捨てよう」「減らそう」と自らすすんで前向きに思えるようになったときだけです。他人がとやかく指図したり、ましてや「捨てられないからダメな人だ」と評価を下すものではありません。
コロナ禍の自粛期間で、私たちの意識や生活は大きく変わりました。外に出られないぶん、家にいる時間を豊かにしたい。そのためには、物を減らせば片づけは楽かもしれませんが、それだけでは物足りない。 好きな物に囲まれて、好きなことができる空間が大切なのだ、という方向に変わってきたと思うのです。
やりたいことができる環境をつくってから、必要のない物を手放せばいい。そのほうが豊かな生活が送れます。なぜなら、みなが「捨てろ」と言う物の中にも、その人だけが知っている、その人だけの価値ある物もあるからです。
捨てる・減らす=片づける、という時代はもう終わったのです。
「なぜ片づかないのか」を知る
どうすればすっきりと片づくのか。その一歩は、片づかない理由を知ることからです。片づかない理由がわかれば、対策もわかります。家がすっきりしたあと、再びリバウンドせずに済むでしょう。まずはなぜあなたの家が片づかないのかの原因を知りましょう。
(1)リビングに物が出しっぱなしだから
片づかない家は例外なく「物だまり」ができています。物だまりとは、動いていない物がたまって、岩や山のように固まっている様をいいます。
ソファーの上に投げ出してある取り込んだままの洗濯物、ダイニングテーブルの上にある出しっぱなしの調味料やちょい置きのDM類、玄関や廊下に投げ置かれたバッグやダンボールなど、片づかない家には必ずといっていいほど物だまりができています。
これらが景色の一部になってしまうと、もはやその家では当たり前の光景になってしまうので、散らかっているという感覚すらなくなってしまいます。外から来た人がギョッとするような散らかり具合でも、本人たちには自覚がない。こうして片づかない家がどんどんできあがってしまいます。
(2)部屋に収納棚やグッズを置いているから
物が多い → しまう場所がない → 収納ケースやグッズを買う → 部屋に置く → ますます部屋が狭くなって物があふれる。そんな悪循環を私はいやというほど見てきました。
物があふれているのは、空間と物の量が合っていないからです。にもかかわらず、なぜか収納ケースや収納グッズ(カラーボックスやハンガーラック、スチールラックなど含む)を買えば、物が片づくと誤解してしまう人が多いのです。
そして安易に買い足してしまい、そのせいで暮らす空間を狭くし、ますます生活しにくくなります。それに収納グッズを買えば、そのぶん物が入るので気がゆるんで、さらに物が増えてしまいます。
これだけは断言しておきます。“モロ出し収納”が部屋の景色を壊す一番の要因です。
「いらない物」を選べない
(3)「いる」「いらない」から始めているから
片づけの王道ともいえるのが「いる」「いらない」の仕分けです。今までの片づけは、まずこの「いる」「いらない」から始まっていたといっても過言ではありません。でも、片づけられない人に、「いる」「いらない」の作業は苦行でしかありません。
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捨てられないから物がたまる。そういう人に「いらない物を選べ」と言っても、そもそも無理というものです。「いる」「いらない」の仕分けがどんどん“苦しみ”になってしまうと、片づける気力も湧いてきません。
「いる」「いらない」をやるのはもっと先の作業。古堅式では、片づけたい空間にある物を一気に寄せ、まずは更地にすることから始めます。
(4) すべての部屋を一気に片づけようとしているから
片づけようとして挫折してしまい、結局片づかないという人に多いのは、すべてを一気に片づけようとしているからではないでしょうか。片づく=家全体を片づける、という発想でいるとつまずきます。なぜなら、家全体を片づけるのは魔法使いでもなければ、とうてい無理だからです。
家が全然片づいていないのなら、せめてひと部屋くらいは片づいた場所があればいい。それくらいハードルを下げないと、片づけられない人は片づけが始められません。
「この家は家中どこを見まわしてもごちゃごちゃだけど、リビングだけは片づいているわ」「どの部屋もめちゃくちゃだけど、ダイニングまわりはきれいね」。最初はそれでいいのです。1つの部屋の景色が変われば、少しずつ暮らしが変わります。暮らしが変われば、前向きに物事が動き出すのです。
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提供元:どうしても「片づかない家」4つのヤバい共通点|東洋経済オンライン