2017.04.12

【不眠症チェック(WHO公式)】寝つきの悪さを改善する10の対策


目次
ー寝つきが悪い原因とは?
ー寝つきの悪さが身体に及ぼす影響
ー寝つきの悪さを改善するには?
ー寝つきをよくするために、就寝前やめるべきこと

寝つきが悪い原因とは?

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寝つきが悪い原因は、おもに以下の3つが挙げられます。

自律神経の乱れ

仕事などでストレスを受け続けていると、交感神経と副交感神経からなる自律神経が乱れやすくなります。特に、覚醒をつかさどる交感神経が活性化しすぎると、身体をリラックスモードにする副交感神経への切り替えがスムーズにいかなくなります。

心地良い眠りは副交感神経が優位な状態のときに訪れるため、交感神経が活発な状態が続くと、スムーズに眠りに入れなくなってしまいます。

体内時計が狂っている

体内にセットされている体内時計=約24時間を周期とした「概日リズム(サーカディアン・リズム)」が狂ってしまい、睡眠周期が乱れると眠りに入りづらくなります。この周期が乱れると、入眠時間が狂い、眠りに入れなくなってしまいます。

体内時計のリズムには、朝起きて太陽の光を浴びることによって生成される、「セロトニン」という神経伝達物質が大きく関わっています。「セロトニン」は、日が暮れると「メラトニン」という睡眠を誘発するホルモンになり、眠気がやってきます。そのため「セロトニン」が分泌される時間が日によって違うと、眠くなる時間帯が変わり、体内時計のリズムが乱れてしまうのです。

病気

脚に違和感や不快感があり、じっとしていられなくなってしまう「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)」や、「うつ病」などの病気が原因の場合があります。

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)

脚に「熱い」「ちりちりする」などの不快感が生じる病気です。身体を安静にしている時に症状が出やすく、夜ベッドに入って眠ろうとするころにピークを迎えるという特徴があります。原因は、脳の神経伝達物質「ドーパミン」の分泌異常だと考えられています。むずむず脚症候群を発症すると、あまりの不快感でじっとしていられず、眠りに入れなくなってしまいます。

うつ病

うつ病になると「セロトニン」の分泌が減るため、眠りに必要なホルモンの「メラトニン」が生成されにくくなります。そのため、なかなか寝つけない「入眠困難」の状態になるといわれています。

不眠チェックリスト

「最近、ちゃんと眠れていないかも…」と心配している人は、一度、不眠症ではないかをチェックしてみましょう。以下は、「アテネ不眠尺度(AIS)」と呼ばれ、世界保健機関(WHO)が作成した世界共通の不眠症判定方法です。当てはまる項目(1カ月以内に週3回以上経験)にチェックしてください。

Q1 寝つきは?(床についてから眠るまでに要する時間)
□①いつも寝つきはいい
□②いつもより少し時間がかかった
□③いつもよりかなり時間がかかった
□④いつもより非常に時間がかかった、あるいはまったく眠れなかった

Q2 夜間、睡眠途中で目が覚める
□①問題になるほどのことはなかった
□②少し困ることがある
□③かなり困っている
□④深刻な状態、あるいはまったく眠れなかった

Q3 希望する起床時間より早く目覚め、それ以上眠れない
□①そのようなことはなかった
□②少し早かった
□③かなり早かった
□④非常に早かった、あるいはまったく眠れなかった

Q4 総睡眠時間は?
□①十分だ
□②少し足りない
□③かなり足りない
□④まったく足りない、あるいはまったく眠れなかった

Q5 全体的な睡眠の質は?(睡眠時間の長さにかかわらない)
□①満足している
□②少し不満である
□③かなり不満である
□④非常に不満である、あるいはまったく眠れなかった

Q6 日中の気分は?
□①いつも通り
□②少し滅入った
□③かなり滅入った
□④非常に滅入った

Q7 日中の活動について(身体的および精神的)
□①いつも通り
□②少し低下した
□③非常に低下した
□④かなり低下した

Q8 日中の眠気は?
□①まったくない
□②少しある
□③かなりある
□④激しい

判定方法

①0点 ②1点 ③2点、④3点 で計算する

判定

0~3点 問題ありません
4~5点 やや睡眠障害に疑いがあります。できれば医師に相談しましょう。
6点以上 睡眠障害の疑いがあります。医師に相談することをおすすめします。

出典:「ぐっすり眠れる本」(青空出版)

寝つきの悪さが身体に及ぼす影響

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寝つきが悪くなると、睡眠時間が不足したり、眠りの質が低下したりすることで、身体にさまざまな不調が現れます。

ー倦怠(けんたい)感
ー意欲低下
ー集中力低下
ー食欲低下

また、「入眠困難」の状態が長期化すると、心身が適切な休息をとることができず、生活習慣病などのリスクが上がる危険性もあります。「ただ寝つきが悪いだけだ」と放っておかず、適切に対処することが重要です。

寝つきをよくするために、就寝前やめるべきこと

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ここでは、心身ともにリラックスして眠るために、就寝前にやめるべきことをご紹介します。

頭を使う本を読まない

眠る前は、脳を鎮静させ、リラックスした状態にしましょう。眠る前に小説やビジネス本、雑誌などを読むと、覚醒系の神経伝達物質であるドーパミンが分泌され、脳が活性化し、眠れなくなります。

眠る前に本を読む場合は、あまり刺激的な内容の本ではなく、一度読んだことがある本やゆっくり眺められる写真集など、心が静まるものにしましょう。また、難解な学術書などのまったく興味のない内容の本も有効です。エンドルフィンという神経物質が分泌され、脳の興奮を静めようとすることで、自然と眠くなります。

眠る直前の入浴、長風呂は避ける

入浴は就寝したい時刻の1~2時間前までにすませておきましょう。入浴直後はあたたまった血液が全身をめぐるため、寝つきにくくなります。また、長時間の入浴も避けましょう。長時間入浴をすると、交感神経が活発になりすぎ、身体の機能が覚醒してしまいます。眠った後に目が覚めてしまう、「中途覚醒」も起きやすくなるため、避けましょう。

身体を冷やさない

冷えが原因で寝つきが悪くなることがあります。夏場にエアコンで冷えた部屋に長時間いたり、冬場の入浴が面倒で、シャワーでさっと済ませたりしてしまいがちな人は要注意。

スムーズな眠りに入るためには、身体の内部の温度(深部体温)をいったん上げることが必要です。そのあと、深部体温が下がるときに自然な眠気がやってくるためです。眠る前にはいったん身体を温めることを意識しましょう。

忙しくて入浴の時間がとれないときには、手浴や足浴、ホットドリンクでも身体を温める効果が期待できます。

寝つきの悪さを改善するには?

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寝つきの悪さを解消し、眠りたい時刻に眠れるようにするためには、日光を浴びたり適度に運動したりするなど、日中の過ごし方を変え、生活リズムを整えることも大切です。

以下に、眠りたい時刻に眠れるようにするための方法をまとめました。

起床後4時間以内に光を浴びる

人間の体内時計は、24時間よりも少し長い周期で動いているため、毎日リズムが少しずつずれてしまいます。このリズムは、朝、起床後に太陽の光を浴びることによってリセットされ、24時間周期に調整されます。

朝起きたときに「まだ眠い」と感じる場合は、眠気を誘う睡眠ホルモン「メラトニン」が残っているからです。朝日を浴びることで、脳内の「松果体(しょうかたい)」という部分が反応し、メラトニンの分泌が減り、目が覚めます。

また、午前中に太陽の光をしっかり浴びておくと、夜、松果体からメラトニンが分泌され、眠気が増してきます。この機能が正常に作用することで、体内時計が整い、寝つきの悪さを改善できます。

起床6時間後に仮眠をとる

午後に眠気を感じることが多いのは、人間に備わっている睡眠と覚醒のリズムが関係しています。

知覚や随意運動、思考などをつかさどる大脳は多くのエネルギーを消費するため、起床後6時間後に自動的に休むシステムが働きます。このときに眠気を感じたら「休息をとってほしい」という身体からのサイン。仮眠は大脳の大切なメンテナンス時間なので、眠気を無視して活動し続けると、仕事中に予期せぬミスなどが増えます。

眠気を感じたら、5分ほど目を閉じて仮眠しましょう。脳を少し休ませてあげることで、その後の仕事の効率が上がります。

運動する

身体をたくさん動かすと、脳の活動が活発になり、睡眠物質が生成されます。日中によく運動した人と安静にしていた人の睡眠中の脳を比べると、運動した人は深く眠り、安静にしていた人は眠りが浅くなります。

湯船につかりゆっくりお風呂に入る

人の身体には「深部体温」という内臓の体温があります。自然な入眠タイミングは、深部体温が下がった時に訪れます。ぬるめのお湯をはった湯船につかり、ゆっくりお風呂に入った後、体温が下がったタイミングで自然な眠気が訪れます。

ストレスをためない

ストレスを受けると、心拍数が増える、呼吸が速くなる、血圧が上がるなどの反応が生じ、心身に大きな負荷がかかります。また、これらに合わせて脳が覚醒状態になるので、寝つきが悪くなります。

また、ストレスを受け続けると、ストレスの処理レベルが低下してストレスを感じやすくなります。この状態だと、眠った後でも疲労感が抜けきらず、不眠のサイクルにつながりやすくなってしまいます。

監修:坪田聡(雨晴クリニック副院長)

<参照>
『お酒や薬に頼らない「必ず眠れる」技術』 森下克也(角川SSC新書)
『ぐっすり眠れる本』 監修 村田朗(青空出版)
『安眠健康術』 堀忠夫(海竜社)
『8時間睡眠のウソ。』川端裕人 三島和夫(日経BP社)
『ぐっすり眠れてすっきり起きる50のコツ』菅原洋平(宝島社)

photo:Getty Images
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提供元:【不眠症チェック(WHO公式)】寝つきの悪さを改善する10の対策|Fuminners

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