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2023.02.28

50代は「カロリーを気にしたらやせない」その理由|カロリーを控えすぎることで出てくる悪い影響


50代は「実はやせなくていい」? カロリーよりも気にすることがあるといいます(写真:nonpii/PIXTA)

50代は「実はやせなくていい」? カロリーよりも気にすることがあるといいます(写真:nonpii/PIXTA)

50代は、ダイエットのラストチャンス。60代に入ってからのダイエットは内臓や筋肉に悪影響を与えるため、控えたほうがいいでしょう。とはいえ、若い頃に行っていたような「食べない」やせ方では、健康寿命を縮めてしまいます。食べても、ちょっとした工夫で無理なくやせることができるのです。50代が行うべきダイエットの考え方と食べ方を、4000人を超える患者に栄養指導してきた著者が伝えます。

管理栄養士で日本抗加齢医学会指導士の森由香子氏が上梓した『50歳からは「食べやせ」をはじめなさい』より、一部抜粋・再構成してお届けします。

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人生100年時代になりました。 50歳は、まだ人生の半分。この先、残りの人生を楽しむために必ずクリアしておかなければならないのが、肥満の解消です。

ただし、50代でダイエットに取り組むなら、若い頃のように、ただ食べる量を減らしてやせればいいわけではありません。健康的な体を維持していくためには、必要な栄養素をしっかりとり、筋肉をつけて脂肪を落としていかなければなりません。

そのためのダイエット法が、バランスのとれた食事を上手にとる健康的な食習慣=「食べやせ」です。具体的な方法やポイントには少しずつふれていきますが、まずは、なぜ50代でダイエットをすべきなのか、その理由から明らかにしておきたいと思います。

50代のダイエットが健康寿命を変える

思い出してみてください。 20代までは、自分も自分のまわりの人も、健康診断でひっかかることは、あまりなかったでしょう。

40代はどうだったでしょうか。健康診断で、「血圧が高め」「血糖値が高め」「コレステロールが高め」「中性脂肪が高め」とか、「メタボリックシンドロームに該当」など、何かしら指摘される人が増えてきたはずです。それでも、特に痛くも痒くもないので放置してしまったという人が多かったのではないでしょうか。

50代は、そうやって問題を放置してきた結果が、浮かび上がってくる年代です。50代になると検査結果はさらに悪くなり、「高血圧症」「糖尿病」「脂質異常症」と、診断がつく人が一気に増えます。そして、病院通いがはじまって、薬を飲み続けるようになる人が出てくるのです。

命取りになりかねない虚血性心疾患と脳卒中の数も、50代で急増します。厚生労働省「平成29年患者調査」によると、50代の虚血性心疾患の患者数は40代の2.5倍以上、50代の脳卒中の患者数は40代の2倍以上です。実際、50代の死因の2位は心疾患、3位は脳卒中です。

健診でほぼ問題がなかったという人も、50代に入ったら油断は禁物です。なぜなら、50歳前後で男女ともに、男性ホルモン、女性ホルモンの分泌が激減して更年期に入るからです。

この時期、ホルモンが減ることによって、男性も女性も内臓脂肪が増えやすくなります。特に男性は顕著で、そこからメタボリックシンドロームになり、生活習慣病になってしまう人が一気に増えるのです。つまり、50代とは、老いと病気に正面から向き合って、きちんと対処することが必要な、とても重要な年代なのです。

では、どうすればよいのか。50代になったら、まず注意していただきたいのが、肥満です。肥満の人は、そうでない人に比べてさまざまな病気を発症する危険度が非常に高いことがわかっています。体脂肪を減らすことによって、糖尿病をはじめとした生活習慣病、心疾患や脳卒中など、さまざまな病気のリスクを確実に減らせるのです。

ですから、もしあなたが太っているなら、50代でダイエットするかしないかは、今後のあなたの健康寿命に計り知れない大きな影響を与えます。この先、健康に生活できる時間が健やかに延びていくのか、それとも短く終わってしまうのか――。50代は、まさに、その分岐点といえるのです。

50代のダイエットは「実はやせなくていい」

多くの方は、若い頃に一度や二度、ダイエットをされた経験をお持ちだと思います。でもそれは、おそらく"見た目"を良くするためのダイエットだったのではないでしょうか。

50代のダイエットは違います。これから行うべきダイエットは、あくまでも“健康”のため。ですから、健康に問題なければ、無理してやせなくてもよいのです!

見た目を重視したダイエットで多くの方が注目してきたのは、BMI(Body Mass Index)でしょう。[体重㎏÷(身長m)2 ]で導き出される体格を表す指数で、18.5~25未満が普通、 25以上が肥満とされるものです。

しかし、50代からの健康を第一に考えたダイエットを推奨する場合、体重に占める体脂肪の割合に重きを置いています。体脂肪率は、家庭用の体組成計(体重だけでなく、体脂肪の割合や筋肉量なども測れる機器)で測定できます。

健康的とされる体脂肪率の目安は、男性は10~19%、女性は20~29%で、それ以上は肥満です。逆に言えば、健康であればBMIが25以上であっても、体脂肪率が基準範囲内でさえあれば、やせる必要はありません。

何年か前に、「人は20代の頃の体重を維持し続けるのが一番健康的」と言われたことがありましたが、これも特に根拠はありません。本当に健康的かどうかは、体重の重さだけでは判断できないからです。それどころか、中高年になってから、体重にこだわって無謀なダイエットをしてしまうと、栄養不足に陥り、免疫力が下がったり、かえってやせにくい体になったりしてしまいます。

ですから、50代になったら、体重を落とすことだけにこだわったダイエットをする必要はもはやありません。これからは、バランスのとれた食事を上手にとる健康的な「食べやせ」で、筋肉を保ちつつ、体脂肪を落としていきましょう。

「何kgやせる」という目標は立てたらダメ

若い頃のダイエットといえば、「同窓会までに〇㎏やせる!」「結婚式までに〇㎏やせる!」など、“一大イベント”でした。そのときどきの必要に応じて、短期集中型のダイエットを繰り返していたという人も、いらっしゃるのではないでしょうか。

そうしたダイエットはそもそも若い人にもおすすめはできませんが、それでも若いうちであれば、見た目にこだわって短期集中型のダイエットをしたくなる気持ちもわからないではありません。

でも、中高年になったら、短期間で「〇㎏やせる」という目標は決して立ててはいけません。 50代からのダイエットの目的はあくまでも健康。繰り返しになりますが、落とすべきは体重ではなく、体脂肪率にあるからです。実際、「1カ月で〇㎏」という目標を立てたところで、体脂肪はそんなに簡単には減りません。

こういうお話をすると、「そんなことはありません。私はすぐに2㎏落としました」とおっしゃる方がいるのですが、それは水分や筋肉が減った結果にすぎないのです。実は、ダイエットですぐに落ちるのは水分です。

私たちが食事からとった糖質は、肝臓と筋肉にグリコーゲンとして貯蔵されています。グリコーゲンには水分を保持する性質があるので、糖質の摂取量を減らすと、グリコーゲンが減って水分が排出され、すぐに体重が減るのです。

起床時に体重が一番軽いのも、夜中に肝臓のグリコーゲンが代謝で使われ、その分保持されていた水分がなくなることがあるからです。そして、過度な食事制限のみでダイエットをすると、栄養状態が悪くなるため、どうしても筋肉や骨の量も減っていきます。

つまり、短期間で体重を落とすダイエットをしたところで、減ったのは水分と筋肉だけで、体脂肪はまったく減っていない可能性が高いのです。一生懸命運動もしないと、体脂肪は減りません。しかし、極端な食事制限をして激しい運動をすれば、エネルギーと栄養素が不足して、結果的に筋肉が減ってしまう可能性もあります。

結局のところ、体脂肪を減らすには、栄養のバランスがとれた食事をとり続けながら、適度に運動をし、ゆっくり時間をかけるほか、近道などないのです。

では、体脂肪率を減らすには、どれくらいの期間がかかるものなのでしょうか。

体重が60㎏で体脂肪率30%の女性を例に考えてみましょう。仮に運動だけで体脂肪を減らすには、消費カロリーの計算式に当てはめてみると、毎日32分、30日間歩き続けることで、ようやく1%減る計算になります。

この場合、体脂肪率1%は600g。体重減は1㎏にも満たないのです。これはあくまでも計算上の話ですが、体脂肪はそう簡単には減らないということは、おわかりいただけたのではないでしょうか。

ですから、もう、短期間で〇㎏やせようなどと考える、イベントのようなダイエットはやめましょう。健康的な食事を続けながら、適度な運動もする習慣をつけること。これこそが、50代で行うべき、正しいダイエットのあり方なのです。

カロリーよりも気にすべきこと

ダイエットといえば、できるだけカロリーを控えることが成功への近道だと考えている人は少なくありません。しかし、これは根本的に間違っています。カロリーが少ないということは、熱を作る力が弱いということ。ですから、摂取するカロリーが少ないと、体を冷やしやすくなります。

体が冷えると血行が悪くなり、内臓の働きが鈍り、代謝が悪くなります。そうすると、体は自然と、体温を保ち、内臓を守るために、体脂肪を蓄えようとします。つまり、太りやすい体になってしまうのです。

摂取するカロリーにこだわる人は、肉や揚げ物、ごはんやいも類はカロリーが高いからと食べるのを一切やめていたり、野菜はカロリーが低いからと肉も魚も食べずに野菜だけ大量に食べていたりして、栄養のバランスが悪くなりがちです。

こういう食事を続けていても、良いことはありません。思うようにやせないばかりか、エネルギー不足に陥りやすく、疲れやすくなったり、頭がぼーっとしやすくなったりするでしょう。

また、カロリー制限をしている人の中には、カロリーが低いからと人工甘味料入りの飲み物ばかり飲んだり、砂糖代わりに人工甘味料をたくさん使ったりしている人も多いと思いますが、これも問題です。人工甘味料は腸内環境を乱し、甘さに対する味覚も乱してしまいます。

このように、カロリー制限は、辛い割に成果が出づらいばかりか、健康を損なうきっかけになりかねません。ですから50歳からは、カロリーそのものではなく、何をどう食べるか意識することで栄養バランスをはかり、健康を維持していきましょう。

こういうお話をすると、「栄養バランスを考えるなんて、とても面倒で無理です」とおっしゃる方は少なくありません。確かに、栄養素別に必要な摂取量を算出することは、一般の人にはほぼ不可能です。

1日10品目の食品を食べる

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でも、安心してください。誰でも簡単に栄養バランスがとれる、ちょっとしたコツがあります。

私の一番のおすすめは、主食、主菜、副菜の組み合わせで、1日10品目の食材を食べるように考えることです。これなら、朝、昼、晩、どんな食品を食べるかざっとメモするだけで、続けられるはずです。

また、調味料は少なめを心がけること。そして、調理法もできるだけ重ならないように、生・蒸す・ゆでる・煮る・焼く・炒める・揚げるが、ばらばらになるようにしましょう。細かいことまで気にしなくても、これだけ注意すれば、かなり栄養のバランスがとれます。ぜひ、今日からでもトライしてみてください。

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【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します

「糖質制限ダイエット」を勧めないこれだけの理由

「体にいい食品ばかり」食べたがる人の深刻盲点

「代謝が悪い人」がやっている残念すぎる習慣

提供元:50代は「カロリーを気にしたらやせない」その理由|東洋経済オンライン

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