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2023.02.17

通信障害に備えiPhoneで「サブ回線」契約する技|保険として契約したい、維持費0円のKDDI回線


iPhone XS以降のiPhoneは、eSIMを使ったデュアルSIMに対応している。バックアップ回線を用意しておくにはぴったりの機能だ(筆者撮影)

iPhone XS以降のiPhoneは、eSIMを使ったデュアルSIMに対応している。バックアップ回線を用意しておくにはぴったりの機能だ(筆者撮影)

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2022年7月に発生したKDDIの大規模通信障害を契機に、バックアップ回線を用意しておくことの重要性が認知され始めている。日本のモバイルネットワークは、諸外国と比べエリアが広く、速度も安定しているものの、システムに万全はないからだ。実際、KDDIの通信障害の翌月には、楽天モバイルも総務省への報告が必要な規模の通信障害を起こしている。ドコモやソフトバンクも、例外ではない。

KDDIとソフトバンクは新サービス開始

総務省では非常時にキャリア間でローミングをするための議論が進んでいるが、ネットワークの改修が必要なことから実現には時間がかかる見通しだ。また、ローミングは、地震や津波など、基地局単体で被害があった際には有効だが、先に発生した通信障害の場合、そもそもローミング自体ができなくなってしまう。これだけで万事解決するというわけではないのが実情だ。

このような中、KDDIとソフトバンクは、双方の回線を提供する形でデュアルSIMのサービスを3月下旬にスタートする。料金等は決まっていないが、毎月数百円程度はかかる見通しだ。スマホのオプションサービスに近い形で、KDDIのユーザーはソフトバンクの、ソフトバンクのユーザーはKDDIの回線を契約しておけるようになる。ただ、必ずしもこのサービスを待つ必要はない。既存の通信サービスの中にも、バックアップに適したものがあるからだ。

iPhoneはiPhone XSから、eSIMを採用。iPhone 13以降は、2回線ともeSIMで利用できる「デュアルeSIM」に対応しており、バックアップ回線を導入しやすい端末の1つだ。せっかくある機能を、生かさないのはもったいない。ここでは、比較的すぐに契約できるバックアップに向いたサービスを紹介していこう。

維持費0円の「povo2.0」

通信障害などが起こったときだけ活躍する回線は、保険のようなもの。何も起きなければ出番はない。そのために毎月何千円もかけるのは、もったいない。日々のコストを抑えるという観点で、現状、最安と言えるのがKDDIのオンライン専用ブランドであるpovo2.0だ。同サービスは、基本料が0円。ただし、そのままだと通信速度は128Kbpsに制限される。まったく通信できないわけではないが、テキストの読み込みにも時間がかかってしまう。

高速通信が必要な場合は、都度トッピングを購入する。トッピングには30日間有効な3GB(990円)や7日間有効な1GB(390円)などがあるが、バックアップ回線としていざというときに使うなら、24時間のデータ使い放題(330円)がお勧め。先のKDDIが起こした通信障害ほど長引くのはレアケースで、大抵の場合は1日以内に収まっているからだ。

povo2.0は月額基本料が0円。使うときだけトッピングを購入すればいいため、緊急時の備えとして持っておくにもいいサービスだ(筆者撮影)

povo2.0は月額基本料が0円。使うときだけトッピングを購入すればいいため、緊急時の備えとして持っておくにもいいサービスだ(筆者撮影)

なお、24時間と表記されているが、実際にはトッピング購入日の翌日いっぱいまで適用される。日付が変わってすぐに購入すれば、ほぼ2日間、データ通信が使い放題になる。回線品質はauやUQ mobileと変わらず、5GやeSIMにも対応しており、使い勝手がいい。iPhoneで使う場合、MVNOとは異なり、ネットワークに接続するための「APN」を設定する必要がないのも手軽と言えるだろう。通常は利用料がかからず、使いたいときだけ料金が発生するのはまさにバックアップ向きだ。

ただし、トッピングを180日間購入していないと、利用停止の対象になる。そのまま放置していると、自動で解約になってしまう。バックアップ用としてpovo2.0を使っている場合、半年に1回程度、忘れずにトッピングを購入するようにしたい。と言っても、利用停止措置を行うメールが来たら、トッピングを購入するだけ。「smash.」という動画サービスを1日見るためのトッピングなら、料金はわずか220円で済む。

また、バックアップとして利用する観点だと、auやUQ mobileのユーザーにはあまり役に立たない。KDDIのネットワークが落ちてしまえば、povo2.0も使えなくなってしまうからだ。実際、昨年の大規模通信障害では、povo2.0もサービスが利用できなくなっていた。バックアップ回線を選ぶときには、共倒れにならないよう、普段使っているキャリアと違う会社を選ぶことを忘れないでおきたい。

ドコモ回線なら日本通信が安い

では、KDDIのユーザーはどのサービスを選ぶべきなのか。3月下旬以降に提供されるソフトバンク回線を待ちきれないときには、別のサービスを検討してもいい。ただし、ドコモやソフトバンクには、現状、数百円で維持できるような格安のサービスはない。このようなときにチェックしたいのが、これらの大手キャリアから回線を借りるMVNO(格安スマホ事業者)だ。

中でも安いのは、日本通信が提供する「合理的シンプル290プラン」。その名のとおり、料金は月額290円しかかからない。しかも、この価格の中に、1GBのデータ通信料が含まれている。バックアップ回線として保持しつつ、メインのキャリアの通信環境があまりよくないような場合に切り替えて使うこともできる。合理的シンプル290は、その後1GBごとに220円ずつ料金が上がっていく。初期値は上限が10GBに設定されているが、実際に使ったぶんしか料金はかからず、上限を自ら変更することもできる。

日本通信の合理的シンプル290は、290円で1GB利用できる。eSIMにも対応しているため、バックアップ向き(筆者撮影)

日本通信の合理的シンプル290は、290円で1GB利用できる。eSIMにも対応しているため、バックアップ向き(筆者撮影)

普段は上限を1GBに設定しておき、バックアップ回線として使用したいときだけ、必要な容量まで上限を上げておくことが可能だ。日本通信もeSIMに対応しているため、とりあえずiPhoneに入れておくだけで済む。SIMカードを持ち歩く必要がないのは便利だ。1月からは、契約時の本人確認にマイナンバーカードを利用できるようになった。パスワードを入力し、カードをiPhoneでタップするだけでよく、契約も簡単にできる。

その日本通信から回線を借りるHISモバイルも、290円の料金プランを用意している。こちらは、やや料金プランの仕組みが異なり、データ通信量が100MB未満の場合のみ、290円になる。それを超えると1GBまで550円の料金がかかる。バックアップ回線として維持するだけなら日本通信と同額の290円だが、毎月少し使う場合は、やや高くなる点が違いと言えるだろう。また、日本通信と同様、HISモバイルもeSIMに対応する。

いずれもドコモ回線を借りるMVNOのため、KDDIやソフトバンクのユーザーがバックアップとして持つにはいいサービスだ。ただし、MVNOは大手キャリアから回線を借りているため、お昼休みなどの混雑時にはキャリアとMVNOをつなぐ接続点の容量がひっ迫して、速度が低下することがある。完全にドコモ回線と同じというわけではない点には注意が必要だ。

また、iPhoneの場合、通信するためには「構成プロファイル」というファイルをインストールしなければならない。iOSの仕様上、この構成プロファイルは1つしかインストールできない。大手キャリアとMVNOは併存できるが、MVNOとMVNOという組み合わせだと、通信ができなくなってしまう。主回線がMVNOの場合、バックアップとしての使い勝手が落ちることは覚えておきたい。

mineoからも250円の新サービスが登場

日本通信やHISモバイルはドコモ回線のみだが、3キャリアから回線を借り、ユーザー自身が選べるMVNOもある。オプテージの運営するmineoだ。同社は、2月22日から月額料金がわずか250円の「マイそく スーパーライト」というサービスの提供を開始する。mineoは、KDDI回線のeSIMに対応していたが、同日からドコモ回線でのeSIMサービスも始める。ソフトバンク回線を選んだ場合は、SIMカードのみになり、eSIMは選択できない。

マイそくは、通信量別ではなく、速度別に料金を設定したサービス。2月22日に始まる250円のスーパーライトのほかにも、600円のライト、990円のスタンダード、2200円のプレミアムがラインナップされている。それぞれの通信速度は、32Kbps、300Kbps、1.5Mbps、3Mbpsとなる。ただし、正午から午後1時までは、いずれのプランでも速度が32Kbpsに制限される。通信が混雑する時間に使わせないことが、格安料金を実現できている理由だ。

新サービスのスーパーライトは、月額料金の安さから、バックアップ向きと言えるだろう。3キャリアから選択可能なため、自分がメイン回線として使っていない会社を選びやすいのもメリットだ。データ容量は無制限だが、32Kbpsだと、さすがにテキストだけのサイトを読み込むにもかなり時間がかかり、タイムアウトで通信が切断されてしまうケースもある。あくまでバックアップ用で普段は使わない回線と割り切っておいたほうがいいだろう。

いざ使うときには、通信速度の制限をオプションで解除することが可能だ。制限の解除は、1回24時間で330円。これを申し込むと、通常の容量別料金プランと同じ速度が出るようになる。金額は、先に挙げたpovo2.0のデータ使い放題トッピングと同じ。メインの回線が使えなくなった非常時に購入すればいいだろう。

金額的には、基本料が無料のpovo2.0と比べるとどうしても見劣りしてしまう部分はあるが、ドコモ回線やソフトバンク回線を選択できるため、普段、auやUQ mobile、povoを使っている人にはバックアップ回線としていい選択肢になる。また、データ通信のみでよければ、IIJmioのeSIM専用プランである「データプラン ゼロ」も、料金は月額165円と安い。こちらは1GBあたり330円の追加データ量を買う必要があるが、使うときだけで済む。一般的なMVNOと違い、構成プロファイルも不要なため、使い勝手がいいサービスと言えるだろう。

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