2023.02.02
家の片づけ、ものが詰まった収納整理がポイント|見えない場所にしまっているのは必要ないから
(写真:maroke/PIXTA)
ごちゃごちゃとあふれるものを整理して落ち着ける家にしたいけれど、どこから手をつければいいかわからない――。「そんな片づけが苦手な人は、まずリビングから手をつけるべき」と、現代のミニマリズム運動を代表するジョシュア・ベッカー氏は主張します。氏の最新作『より少ない家大全』より一部抜粋・編集してお伝えします。
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リビングルームのミニマル化
家の中にあるすべての部屋でミニマル化を実行すれば、ものが少ない環境で暮らすことの利点をフルに享受できるだけでなく、その状態をずっと維持できる可能性も高くなる。しかし、どんな順番で家の中を片づけていったらいいのだろう?
もちろんあなたの家なので、あなたの好きな順番で片づけるのでかまわない。しかし成功の確率を最大限に高めたいのであれば、ものを減らすのが簡単な場所から始めて、だんだんと難しい場所に移っていくことがおすすめだ。そうすれば簡単な場所でものを減らすスキルを磨き、少しずつ自信を深めることもできる。
簡単な場所から難しい場所へ
(1)リビングなど家族で集まる部屋
(2)各自の寝室
(3)すべての衣類用クローゼット
(4)トイレ、浴室、洗面所
(5)キッチンと食事をする場所
(6)ホームオフィス
(7)すべての収納スペース。おもちゃ部屋や工作などの作業部屋も含
(8)ガレージと庭
自宅にこれらすべての場所はないという人もいれば、リストにない場所もあるという人もいるだろう。しかし、たいていの家にあるものはだいたいカバーできているはずだ。そしてほとんどの人にとって、これが「簡単な場所から難しい場所へ」の順番になる。あなたもこの順番に沿って自宅ミニマル化の計画を立ててみよう。
本稿では、まず簡単に手をつけられる2つの場所から見ていこう。それは(1)のリビングルームと、リビングに似ているがもっと気楽な場所であるファミリールーム(もしあるのなら)だ。いくつもの家のミニマル化を見てきた経験から言えば、これらの場所にかかる時間は家によって大きく異なる。しかしたいていの人にとって、リビングルームとファミリールームのミニマル化は達成可能な目標だ。ここから始めれば、最初の段階で勝利を経験することができる。そしてこの勝利を足がかりに、思考面でも感情面でも「ものを減らす筋肉」が鍛えられる。
リビングやファミリールームがどんな状態でも、やはりミニマル化はここから始めるのがいちばんだと考えている。本当にものが山のようにあるのなら、作業が終わったときの満足感もそれだけ大きくなると考えよう。あなたは家族にとって大切なこの場所で、大きな仕事を成し遂げるのだ。
リビングルームはほぼすべての家にある部屋だ。独立したリビングがある家なら、おそらくそこが家の中でもっともフォーマルな場所になっているだろう。他の場所とは切り離され、家族が集まるだけでなく、ゲストをもてなす場所でもある。リビングは、住む人にとっては自慢の場所だ。
ここで、ミニマリスト的大改造の前提となる、大切なことを伝えておきたい。それは、理想の家の全体像を思い描くのはもちろん、それぞれの部屋ごとに明確な目的を決めておくということだ。リビングとファミリールームも例外ではない。
部屋にあるものを手に取って、いるかいらないか判断するときは、その部屋の目的を念頭に置いて決める必要がある。その部屋の目的に合わないものであれば、それが何であれ、処分対象の候補になる。目的にかなうのであれば、それがすなわち実用的だということだ。
たとえば、現状のリビングルームの問題がフォーマルすぎることだと気づいたとしよう。居心地があまりよくないので、家族がほとんど寄りつかない。この問題を解決するためには、空間を息苦しくしているアイテムを取り除く。
目に入ると落ち着かない気分になるものは?
たとえば10人が座れるソファがあるが、そんなにお客を呼ぶことはないというのなら、それが処分の対象になる。ソファをなくせば、家族がもっと近くで親密な会話ができるようになる。あるいは、ファミリールームに置いたリクライニングチェアがあなたのお気に入りの場所かもしれない。そこに座り、あたりを見まわしてみよう。
そこにあるもののうち、落ち着いた気分にさせてくれるものは何だろう?
反対に目に入ると落ち着かない気分になるものは? もしかしたら、子どもが遊ばなくなったおもちゃは処分したほうがいいのかもしれない。そうすれば、今のお気に入りのおもちゃで遊ぶ場所を増やすことができる。あるいは、自分や家族が電子機器ばかり見ているのが問題だと感じているのかもしれない。もしそうなら、部屋からテレビやゲーム機を取り除くという方法がある。
リビングやファミリールームは家族みんなが使う場所なので、もちろんあなたの独断で決めてはいけない。何を残し、何を手放すかについては、家族の意見も聞く必要がある。それらの部屋をミニマル化する戦略について、家族みんなで話し合うことが大切だ。
一緒にいらないものを処分し、一緒にすっきりした空間を楽しむ。こうすれば自宅のミニマリスト的大改造が、完璧なファミリープロジェクトになるだろう。みんなが賛成し、みんなで成功を祝うプロジェクトだ。
ものを減らすときは、自分に次の質問をしながら作業を進める。
「これは私の人生の目的と合致するか?」
「これは、生活をするうえできわめて便利である、あまりにも美しいので人生に欠かせない、あるいは自分にとって大きな意味があるので手放せないという、3つの条件のいずれかを満たしているか?」
つまり簡単に言うと、「本当にこれは必要か?」ということだ。答えが「ノー」なら、それが何であれ、大きな解放感とともに手放そう。何かを手放すことによってできた空間は、間違いなく手放したものよりも大きな価値を持つ。
1.本来あるべき場所にものを移す
ミニマリスト・ホームでは、すべてのものに「住所」がある。あるものはガレージに住むべきであり、またあるものは地下室や寝室のクローゼット、キッチンの引き出しに住むべきだ。ものがあふれている家だと、それぞれのものの住所を決めるのはかなり大変な作業になる。しかしものが少なくなれば、それほど難しくはないはずだ。
そこで、まずはものをあるべき住所に戻すことから始めよう。たとえば、食器はキッチンに移す。部屋のすみに工具が転がっているなら、ガレージに移す。
もちろん、これはミニマル化とは違う。ただ場所を移しているだけだ。しかし、ミニマル化の下準備にはなる。同じカテゴリーのものが1つの場所にまとまっていると、いるかいらないかの判断が簡単になるからだ。
ただし、リビングやファミリールームにあるべきでないものを手に取り、その瞬間にそもそもいらないものだと判断できれば、わざわざ移動させずにすぐに処分してかまわない。寄付用やゴミ用の袋に入れて家の外に出しておくといい。とにかく始めてしまおう。そうすれば勢いがつくはずだ!
2.平らな表面にはものを置かない
次の標的は、棚や本棚、テーブルなどの平らな表面がある空間だ。おもしろいことに、どんな家も平らな表面にはたいてい同じようなものが集まっている。花瓶やロウソク、お土産、オーナメント、写真立て、画集、小さな人形のコレクション。個別に見れば、どれも特に目の敵にするようなものではない。しかしそれらが集まると、とたんにゴチャゴチャした印象を与えるようになる。そしてあっという間にたまり、目障りな存在になるのだ!
もうこんなことを続けていてはいけない。今となってはガラクタでしかないあれやこれやはさっさと処分してしまおう。何か数値目標があったほうがやる気が出るというのなら、半分に減らすのはどうだろう? 自分にとって意味のあるものだけを残し、あとは処分する。そうすれば、残したものを前よりも大切にすることができる。
3.テレビボードを片づける
次はテレビボードだ(もし持っているなら)。テレビボードは大きな家具なので、いらなくなったこまごまとしたものがたまりやすい場所でもある。あまりにもゴチャゴチャしているので、探しものがあるときは見つからなくてイライラする。だから今すぐに、なんとかしよう。
最初に処分するのは、必要ない電子機器やコード、誰も使っていないDVDやゲームだ。電子機器は自治体が定めるリサイクル方法を確認して正しく処分すること。そして使っているデバイスをきれいに並べ、コードはできるだけ目につかないように隠す。
DVDやCD、ゲーム機器などは、すぐに使えるようにとそのへんに放置している人も多いだろう。しかし、その習慣は改めなければならない。何でも見えるところに置くのではなく、引き出しなどに収納する。引き出しがものでいっぱいだというなら、すっきりさせる方法を次のステップで見ていこう。見えるところにものを置くほど、気が散ってストレスがたまる原因が増えることになる。
4.収納エリアを深掘りする
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リビングとファミリールームを抜本的にミニマル化するうえで、もっとも影響力が大きい場所の1つが、外からは見えない場所、つまりキャビネットや引き出しなどだ。一見するとすっきり片づいているようだが、見えない場所にはものがパンパンに詰まっていて、あなたもそれを自覚している。実際のところ、そのパンパンの収納エリアから必要なものを取り出すときに、時間がかかって大変な思いをしているのもあなた自身だ。だからここは、心を鬼にして不要なものを一掃しよう。
トランプやマッチ、古い雑誌、季節外れの装飾品、読み終わった本、ソファにかけるブランケット。どれも「いつか使うかも」という理由で、リビングやファミリールームの収納にため込まれているものだ。他にもまだまだたくさんある。しかし、本当に「いつか使う」のだろうか?
多くの人にとって、見えない場所にしまってあるものは、何年も必要なかったものだ。そもそも、なぜそこにしまうことにしたのか思い出せない人も多いだろう。いらないものはすべて処分して、収納スペースに空きをつくる。そうすれば、本当にとっておく価値があるものをそこにしまうことができる。
5.家具などの「大物」を処分する
こまごまとしたものの処分が終われば、家具などの大きなものについても、本当に必要かどうか判断できるようになる。あなたのリビングやファミリールームでは、どんな「大物」が場所を取っているだろう? 巨大な人工観葉植物? しょっちゅうつまずくオットマン? お祖母さんの形見だけど、実はあまり気に入っていない飾り棚? 座り心地があまりにも悪いので誰も座らないハイバックチェア? みんな座るときには別の場所によけているカウチに置かれたクッション? それらの大きさによって、処分計画を立てる必要がある。
大きな家具を寄付するなら、トラックをレンタルして運ぶ必要があるだろう。処分方法が決まったら、できるだけ早く実行すること! 大物を処分して、解放感を味わおう。
<ミニマル化のチェックリスト>
リビングルームやファミリールーム、グレートルームのミニマル化が完了したことは、どうやって判断したらいいのだろうか? そう思ったら次のチェックリストを参考にしよう。
□この場所にいると落ち着くか? ストレスが減るか?
□この場所は会話をしやすい雰囲気か?
□家族や友人が集まりやすい場所か?
□掃除や整理整頓が簡単にできるか?
□この場所は家族にとって大切なものをわかりやすく伝えているか?
□この場所は家族が充実した人生を生きる助けになっているか?
□家族の価値を促すような場所になっているか?
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提供元:家の片づけ、ものが詰まった収納整理がポイント|東洋経済オンライン