2022.12.22
「猫に学びたい"ストレス解消"の極意」簡単3秘訣|「猫と暮らして40年の犬猫写真家」が教えるコツ
気分を変えたいときは、ひっくり返って、バンザーイ!(写真:新美敬子)
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みなさま、こんにちは。フォトグラファーの新美敬子です。世界を旅して街角で出会った犬や猫と人との暮らしを撮り続けて30年あまりが経ちます。
自宅でも40年以上、猫と暮らし続けていて、今は2匹の猫とともに暮らしています。
旅で出会った猫も自宅の猫も、猫たちはいつもお気楽で自由です。
時間に追われず、の~んびり過ごして、誰にこびることなく、自分の生きたいように生きて、どうしたら自分が健康に、ストレスフリーに過ごせるかを知っています。
そう、猫たちは「自分が快適に生きる術」を熟知しているのです。
でも、こういうことって、私たち現代人にそっくり不足しがちなことではないでしょうか。毎日時間に追われ、仕事や目先の業務でいっぱいいっぱい、ストレスはたまる一方……。
たまには猫に学んで、のんびり、自分らしく、ストレスフリーに生きてみませんか? この記事では、『世界のまどねこ』の発売を記念し、私が世界の猫から教わった「快適に、お気楽に生きるコツ=超猫ワザ」をシリーズで紹介します。
第1回は「猫に学ぶストレス解消法」です。
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猫の独自の「ストレスフリー」に学ぶ
現代社会はストレス社会。誰もが多かれ少なかれ、さまざまなストレスに悩まされていると思います。
私にも、もちろんストレスはあります。特にコロナ禍で旅に出かけられなかったのは、本当に苦しい体験でした。
「旅するフォトグラファー」が「ずっと家にいるフォトグラファー」になってしまったのですから、死活問題でした。今もまだ続いていますが……。
でも、そんなときでも、私を救ってくれたのは「猫たちの存在」でした。猫は、いつでもストレスフリー。長年観察していると感じるのは、嫌なことがあっても、およそ13秒くらいで忘れてケロリとしています。
「猫なんだから、嫌なことなんかないだろう」と思われるかもしれませんが、猫にだって嫌なことはあるのです。
お気に入りのお昼寝の場所を取られたとか、いたずら(飼い主さんが大事にしているクッションで爪を研いだ)がバレて怒られたとか……。
ほかにも、ボス猫にケンカをふっかけて負けたとか、「好きじゃない人にしつこくなでられても我慢したんだ!」なんてときもあります。
では、なぜ、猫は「ストレスフリー」でいられるのか――。それは独自の「ストレス解消法」をしっかり備えているからなのです。
そこで私は猫をガッチリ観察して、「人間にも応用できるストレス解消法」の会得に成功しました。以下に紹介しましょう。
猫に学ぶストレス解消法(1)「セルフヒーリング」
ケンカの後や飼い主さんに叱られたとき、猫が何事もなかったかのように毛づくろい(グルーミング)をしている姿を見たことがありませんか?
あれ、実は気持ちを落ち着かせるための儀式なのです。身体をなめることによって、「セルフヒーリング」をしているのです。
5歳のオス猫。飼い主に甘えていたら、13歳の兄貴猫が突然、喧嘩を吹っかけてきた。大きさも重さもかなわないので、おとなしく引き下がり毛づくろいをはじめた。いつの間にか没頭して、嫌な気分になったことなど忘れてしまう(写真:新美敬子)
このグルーミング行為を人間にたとえると「ボディタッチ(体を触ること)」です。
自分で「セルフマッサージ」をしてみるとか、簡単に手と手をこすり合わせるとか。自分のボディをやさしく「さする」というのは、それだけで気持ちが落ち着いてくるものです。
簡単に実践できる「セルフヒーリング」は?
私は最近、お風呂に入ったときに足の指をもむようにしています。
足の指の間にはツボがあるといいますが、足の指をもむことで血行がよくなるし、気分もよくなる気がしています。
それと「体を触るクセ」も有効だと思います。
アゴを撫でるとか、貧乏ゆすりとか、髪の毛をいじるとか、誰にもクセってありませんか?
このようなクセは子どもの頃、親に注意されたものです。「貧乏ゆすりはやめなさい」「髪の毛を触るなんてみっともない」などなど……。
でも、こういうクセって、気持ちを落ち着かせるためのグルーミングの一種だと思うのです。
大人だって、まわりに人がいなくて迷惑がかからないところなら、貧乏ゆすりしたり、髪の毛を触ってもいいじゃないですか。大いに活用しましょう!
「セルフヒーリング」でも気持ちが落ち着かないときは、猫の「こんなユニークな行動」を参考にしてみるのもいいかもしれません。
猫に学ぶストレス解消法(2)「瞬発」気分転換
ポルトガルであるとき、鳩を狙っている猫に出会いました。
壁に隠れていたのですが、本能で「ステルス(隠密)体勢」になっています。
ポルトガル・ポルトで撮影。全力で飛び出したものの、鳩の捕獲に失敗。鳩が飛び立った場所で小さくジャンプした後、空を見上げていた。その様子をじっと見ていた人間がいることに気がつくと近寄り「僕はお利口さんだよね、失敗したけど」と、同意を求めるように話しかけた(写真:新美敬子)
本人としては「この体勢から飛びかかって、いっきに捕獲!」……という作戦なのですが、実はこの行動、鳩にはすっかりお見通し。
「ははーん、自分を狙ってるな」とわかっているのに気づかないふりをして、猫が飛びかかろうとする瞬間に余裕でサッと飛んで逃げる。これをゲームみたいに楽しんでいるのです。
猫にしてみれば「イケる!」と思っていただけに、すんでのところで逃げられて、その徒労感はハンパじゃありません。まわりに対しても恥ずかしい(猫にだって恥ずかしいという感情はあります)し、居心地も悪いものです。
こんなとき、猫は突拍子もない行動に出ます。いきなりダッシュしてみたり(斜めに走る猫もいます)、突如高いところに上ってみたり。
こうした「突拍子もない行動」をとって、嫌なことを忘れている(なかったことにする)のではないかと思うのです。
「意味のない行動」で、気分転換をしてみる
これは人間にも、もちろん応用可能です。嫌なことがあったとき、モヤモヤするとき、「それとは全然関係のない行動、意味のない行動」をしてみるのです。
空手の型をやってみる、四股を踏む、ダンスしながら歌を歌う、などなど。どんな歌でも、「歌詞を思い出しながら歌う」ことは意外な気分転換になります。小学校の校歌なんて覚えていますか?
あとは突拍子もない行動ではないですが、ピアノやギターを弾く、カラオケを歌う、というのもいいと思います。私の場合は「簡化24式太極拳」という太極拳の簡単バージョンがあるのですが、それをやってみたりします。
あとは散歩に出て、まわりをキョロキョロ見ながら歩きます。誰もいないときには、スキップやジャンプをしてみます。
うちの猫もスキップをするので(気分転換したいときではなく、気分が高揚したとき、ですが)、そのマネです。これが意外とスッキリ気分がよくなるので、オススメです。
つまり、なんでもいいのです。今までやったことがないこと、「自分でも思ってもみないこと」を思い切ってやってみましょう。驚くほど気分転換ができますよ。
台湾・猴硐の駅前広場で、好意を寄せている三毛猫を遠くから見ていると、三毛が通りすがりの若いオス猫と話しはじめた。やきもきして思わず爪とぎ。爪とぎをしながらも三毛のことが気になってしょうがない(写真:新美敬子)
そして、猫は自分の感情に、とても素直です。「うれしい」「悲しい」「気分がいい」など、自分の喜怒哀楽を隠すことなく堂々と表現します。
猫に学ぶストレス解消法(3)感情を素直に出す
猫はやきもちも、思いっきり表に出します。
猫には「やきもちの感情はない」といわれているのですが、私の経験では猫にもやきもちの感情はあると思います。
うちには2匹の猫がいますが、私がパソコンで仕事をしていると、1匹がデスクに乗ってきてご満悦です。
ところが、もう1匹もデスクに乗ってこようものなら、先に乗っていた猫があからさまに机から落とそうとするのです。
ギリシャ・ロドス島の海岸でキュートな白黒猫と出会ったので、撮影をしていた。猫の鳴き声が背後から聞こえ、慌てて後ろを向き座り直した。「きみだけ注目されているの?」と言われたのかもしれない。まだ若い白黒猫は緊張してしまったようだ。ゆっくりとこの場を去っていった(写真:新美敬子)
また、1匹の猫(A)にカメラを向けていると、もう1匹(B)が寝ていたのにわざわざ起きてきて、Aと私の間をシッポをあげて何度も通過し、カメラに頭突きしたりします。
「注目すべきは僕(B)のほうだろ」と言いたいのでしょう。とてもわかりやすいですよね。
うちの猫でなくても、海外でも同じようなことが何度もありました。
私たちは大人になると「やきもちは恥ずかしい感情である」「人に嫉妬するなんていい大人のすることではない」と思うようになります。
でも、そういう感情も認めていいんじゃないでしょうか。
「自分の感情に素直になること」は、ストレスをためないためにとても大事なことだと思うのです。
「自分の感情を抑え込まない」ことが大切
私たちは「感情を抑え込むのは、立派な大人のすること」と思ってしまっていますが、それによって「自分の感情を無視してしまう」のは違うと思います。
「今、自分は怒っている」「やきもちを焼いている」「気分がよくないんだな」というのをちゃんと認めることは、自分を大切にすることにもつながると私は思います。
「素直な感情」といえば、猫はほめられるのが大好きです。
「かわいいね~」「よくこんな高いところまでジャンプできたね」というと、すごく得意そうな顔をして、何度もやってみたりします。
だから私たちも、人にほめられたときは素直に喜び、落ち込んだときは、遠慮なく人に優しい言葉をかけてもらいましょう。
時には家族や友達に「今、自分はとてもつらい状況だから、気分が上がる言葉をかけてほしい」と頼んでみてはいかがでしょうか。
「そんなこと恥ずかしくて人に頼めない……」という場合は、いい方法があります。
「鏡に向かって自分にニコッと笑いかける」、ただこれだけ!です。これはどこでもできるし、すこぶる簡単で即効性のある方法です。
私も落ち込んだときによくやっています。
メガネをかけると「いやだ、こんなところにシミが……」とか余計なことが気になりますから、あえてメガネをかけずに鏡の中の自分に向かってニッコリします。
自分が自分に励まされる感じがして、元気を取り戻すことができます。
これも、実は猫から学んだことです。
猫は、ああ見えて「笑顔」が大好きなのです。人間が笑顔を見せると猫は喜びます。そしてよく観察しているうちに、猫も笑うことに気づきました。
猫と見つめ合って、大げさにニコッと笑顔を見せると、小さく瞬きをしたり、小首を傾げたりしてくれます。
そんな反応を見ると、私はうれしくなって、心からの笑顔になります。すると、猫はいつの間にかゴロゴロと喉を鳴らし始めています。喉を鳴らすことも、猫の笑顔の一種だと思います。
猫も、笑うことで嫌なことを忘れていると思うのです。
鏡を覗いてみたら、猫が写っていた。近づくと大きくなって、離れれば小さくなる。首をかしげると鏡の中の猫も同じように動く。びっくり! おもしろーい。笑っちゃうね(写真:新美敬子)
「猫そのもの」が癒しの存在
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以上、猫に学ぶストレス解消法を紹介してきました。
でも、長年猫と暮らしていてつくづく思うのですが、猫って存在そのものが癒しだし、見ているだけでストレス解消になるんですよね。
嫌なこと、心配なことがあっても、ゴロンとお腹を出して伸びをしている猫や、のんびり居眠りをしている猫を見ると、「まっ、いっか。ありがとうね」という気持ちになります。
もちろん猫の写真を見るだけでも効果大です。
私の猫の写真がみなさんのストレス解消に役立ってくれたらとてもうれしく思います。
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提供元:「猫に学びたい"ストレス解消"の極意」簡単3秘訣|東洋経済オンライン