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2022.11.17

【口内炎】ヒリヒリする痛みに効く"最強の方法"|日常生活で意識したい3つのポイントも伝授


食べ物が染みる口内炎。どうやったら早く治るのでしょうか(写真:YIG /PIXTA)

食べ物が染みる口内炎。どうやったら早く治るのでしょうか(写真:YIG /PIXTA)

多くの人が経験したことがある口の中のあの痛み、そう口内炎のことだ。大半は放置しても自然に治ってしまうが、食べ物が染みたり、痛みが強かったりする場合もあって、なかなかつらいもの。そこで、口内炎をできるだけ早く治すための方法や、放置してはいけない危険な口内炎とはどんなものか、口腔粘膜疾患を専門とする慶應義塾大学歯科・口腔外科の角田和之歯科医師に聞いた。

口内炎とは、口の中の粘膜に起こる炎症すべてのことで、いくつかの種類がある。圧倒的に多いのが「アフタ性口内炎」で、そのほかにヘルペスウイルスやカンジダなどの感染症や、全身の病気、アレルギー、薬剤によって引き起こされる口内炎がある。

アフタ性口内炎は、直径数ミリの丸っこい形で、中心が白く、周囲が赤く潰瘍(粘膜に穴ができた状態)になっているのが特徴だ。舌や、唇や頬の裏側など、粘膜が薄くやわらかい部分にできやすく、粘膜が厚くて硬い上あごの裏側などにはできにくい。

喫煙者は、口内炎ができにくいという研究報告があるが、それは“たばこの熱やニコチンによって、口の中の粘膜が角化(厚く硬くなった状態)しているため”だという説もある。

原因不明または口の中の傷が引き金に

アフタ性口内炎の多くは、原因となる病気がない、あるいは原因不明の「原発性」だ。かんだり、固いものを食べたりして口の中に傷ができたことが引き金となることもある。

原発性の場合、そのまま放置しても2週間以内に治り、あとは残らない。口の中の粘膜は、通常2週間程度で入れ替わるためだ。しかし、食べ物が染みたり、痛みが強かったりする状態が続くのはつらい。できるだけ早く治したいが、どうすればいいのか。

角田さんはこう話す。「最も即効性があるのは、炎症を鎮める効果が高いステロイド性抗炎症薬です。病院や歯科医院で処方される薬も市販薬も内容はほぼ一緒で、市販薬には塗るタイプと貼るタイプがあります。よく動く舌は塗るタイプ、動きが少ない頬や唇は貼るタイプなど、できた場所によって選ぶといいでしょう」。

そのほか、アフタ性口内炎の市販薬として抗炎症作用がある『アズレン』(アズレンスルホン酸ナトリウム水和物のことで、植物由来の物質)を使用したうがい薬もある。「粘膜の表面を整えたり、汚れを洗い流したりする作用があります」と角田さん。アズレンのうがい薬はさまざまなメーカーから出しているので、薬局やドラッグストアで薬剤師や登録販売者に聞いてみるといいだろう。

一方で、注意したいうがい薬もある。

「殺菌作用がある『ポビドンヨード』(ヨウ素とポリビニルピロリドンからなる物質)を使用したうがい薬は、炎症部分を刺激して治りが悪くなることがあるので避けましょう」(角田さん)

テレビコマーシャルなどでおなじみの、ビタミンの市販薬はどうか。

「実は、ビタミン不足がアフタ性口内炎の直接的な原因になるというデータはありません。ただ、ビタミンが不足している人は、補給することで二次的な効果を得られる可能性はあります」(角田さん)

とくにビタミンBは粘膜の健康を維持する作用があるため、不足するとアフタ性口内炎が治りにくくなることが考えられる。ビタミンBは体内では十分な量をつくることができないので、食事から摂取できないと不足する。食事から摂取しにくい人は、ビタミンの市販薬を使用するのも1つの方法だ。

辛い食べ物やお酒は注意、口の中も清潔に

アフタ性口内炎を早く治す対策で、日常生活で意識したいポイントは3つある。

「1つは、香辛料などを使った辛い食べ物や、アルコールなどは避けたほうがいいでしょう。刺激物は、口内炎の治りを遅くする要因になります。2つめは口の中を清潔にすること。潰瘍がある部分は、菌が侵入しやすいため、感染を起こすと治りが悪くなります。歯みがきをしっかりするのはもちろん、うがい薬を使用するのもいいでしょう。3つめは疲れやストレスをためないこと。免疫力が落ちている状態だと、治りにくくなることがあります」(角田さん)

「再発性アフタ」といって、口内炎が繰り返しできる場合もある。全身性の病気が隠れていることもあるが、多くは原因不明で、生まれつきの体質的なものだと考えられる。

「医療機関によっては、再発性で体質的なものが考えられる場合、体質に合わせた漢方薬を使用した治療を実施している場合もあります。即効性は期待しにくいですが、2~3カ月を目安に効果を判定し、症状に合わせて処方を調整していくと、再発の頻度が減ったり、治りやすくなったりする効果が出る人もいます」(角田さん)

効果が期待できる漢方薬には、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)や黄連解毒湯(おうれんげどくとう)などがあり、これらは市販薬も販売されている。

全身の病気が隠れている場合も

ステロイド性の抗炎症薬を10日程度使用しても治らない場合、注意が必要かもしれない。思わぬ全身の病気や、感染症が原因となっている可能性がある。

口内炎ができる代表的な全身の病気には、慢性の炎症性疾患の1つであるベーチェット病がある。目や皮膚に炎症が起きたり、外陰部に潰瘍ができたり、全身に炎症症状が出るが、繰り返し口内炎ができるのも特徴だ。

また、腸に慢性的な炎症が起きるクローン病や潰瘍性大腸炎でも口内炎ができることがある。潰瘍性大腸炎は主に大腸の粘膜に炎症が起き、クローン病は消化管のどの部位にも炎症が起こりえる。腸管に起きる炎症が、口の中にも起きて、口内炎ができるのだ。

まれではあるが、舌がんなどの口腔がんの初期症状に、アフタ性口内炎のような症状が出ることもある。

アフタ性口内炎と、こうした危険な病気の裏側にある口内炎の違いについて、「大きくなっていく場合や舌などで触れたときに固いしこりのようなものに触れた場合は注意が必要です。口腔がんの中で最も頻度が高い舌がんは、舌の側面にできやすい傾向があります」と角田さんは説明する。

アフタ性口内炎と似ている症状が出る感染症には、手足口病や単純ヘルペスウイルスの感染がある。

口の中や手足に水ぶくれのような発疹が出る手足口病は、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスが原因で起こる感染症で、子どもに起こりやすい感染症だが、大人が発症することもある。

単純ヘルペスウイルスは、子どものころに食器の使いまわしや感染者の飛沫などから感染していることが多いが、大人になって初めて感染した場合は発熱する。

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「ヘルペスウイルスによる症状を一般的なアフタ性口内炎だと判断して、ステロイド性の抗炎症薬を使用すると、口内炎が悪化しやすいので、発熱を伴っていたり、口の中全体に口内炎ができていたりする場合は、自己判断せずに医療機関を受診してください」(角田さん)

かかりつけの歯科医院などに早めの受診を

角田さんによると、いずれにせよ、ステロイド性の抗炎症薬を使用しても症状が改善しない場合や、2週間以上経っても治らない場合は、かかりつけの歯科医院や病院の口腔外科を受診したほうがいいという。

(取材・文/中寺暁子)

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慶應義塾大学歯科・口腔外科准教授
角田和之歯科医師

1992年東京歯科大学歯学部卒業。国立病院機構栃木病院歯科口腔外科、慶應義塾大学医学部助手などを経て2021年から現職。慶應義塾大学病院歯科・口腔外科の口腔粘膜疾患専門 外来を担当する。日本口腔内科学会専門医・指導医、日本口腔外科学会専門医。

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提供元:【口内炎】ヒリヒリする痛みに効く"最強の方法"|東洋経済オンライン

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