2022.11.15
「牛乳=身体にいい」と思い込む人に教えたい真実|「乳製品とハム・ソーセージ」は食べていい?
「乳製品」と「ハム・ソーセージ」は食べていいの?という疑問にお答えします(写真:Nishihama/PIXTA)
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体にいい食べ物があることは知っている。あまりおすすめされていない食べ物があることも知っている。自分の健康のためには、何を食べるかが大事だってことも理解している。でも、情報があまりにも多すぎて整理が追いつかないし、そればっかり食べているわけにもいかない。3食手作りできるほどヒマじゃない……。
「結局、何を食べたらいいの?」というあなたへ、世界中の栄養などに関する論文を読みあさり、さらに伝統的な生活を続けている世界の先住民族のところまで行って調査をし、栄養と食べ物の知識を身につけた”栄養オタク”の吉冨信長さんが、ヒントを教えてくれました。『マンガでわかる 誰でも健康になれる ノブナガ式 食べ方大全』を一部抜粋し再構成のうえ、本稿では「乳製品」と「ハム・ソーセージ」は食べていいのか?という疑問にお答えします。
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これ食べていいの?悪いの?
©吉冨信長・カツヤマケイコ/主婦の友社
©吉冨信長・カツヤマケイコ/主婦の友社
乳製品の是非は賛否両論! 嗜好品としてとりましょう
乳製品がよいか悪いかは、現段階で議論が分かれています。今言われている牛乳や乳製品のメリットとデメリットを簡単に整理すると、こんな感じです。
【乳製品のメリット】
体に必要なすべてのアミノ酸が含まれている。カルシウム、ビタミンAも豊富。価格も安く、保存性も高い。
【乳製品のデメリット】
アレルギーの原因になりやすい。カゼインによる慢性炎症、乳糖による消化不良、前立腺がんや乳がんとの相関が報告されている。
メリットのほうは、多くの人が理解していると思います。実際ボクも子どものころに牛乳をたくさん飲みました。身長も伸びた気がします。しかし、デメリットについての研究報告を読むと「牛乳大賛成」とは言いがたいのです。
1つは牛乳に含まれるカゼインというタンパク質の問題です。これは人間の母乳に含まれるカゼインとは種類が異なり、腸管の炎症を引き起こしやすく、慢性的なアレルギーの原因になりやすいです。牛乳に含まれる乳糖も気になります。消化不良を引き起こし、下痢などの症状の出る人が少なくありません。
発がん性についても問題視されています。2021年の日本の研究では、2万6千人の日本人男性を20年近く追跡調査した結果、牛乳などの乳製品の摂取量が多いと前立腺がんの発症リスクが増加するとされました。
また、アメリカで5万人以上を対象とした2020年の大規模研究では、牛乳の摂取量が多い人ほど乳がんのリスクが高くなりました。ただし、2019年の別の研究では、牛乳や乳製品を継続的に摂取しても、乳がんとは無関係という結果も出ています。
牛乳を飲むなら、低温殺菌でノンホモジナイズ牛乳を
このように、研究の内容や研究者の違いによって結論はさまざまです。もうしばらく最新の研究を待つしかないのですが、問題があるとされている食品をあえて積極的にとる必要はないと、ボクは考えています。
「絶対にやめましょう」とは言いませんが、嗜好品程度に飲むのがいいでしょう。特におなかを壊しやすい人や、アレルギーのある人は、いったんやめてみると体調がよくなるケースもあります。
牛乳にはタンパク質もカルシウムもビタミンも含まれていますが、ほかの食品からとることだってできるのです。ヨーグルトに含まれる乳酸菌は味噌やぬか漬けからとれます。ビフィズス菌は動物性の発酵食品からしかとれないのですが、プロバイオティクス・サプリや食物繊維などをとることで腸内環境を改善することは可能です。
「牛乳は好きなので飲みたい」という人は、低温殺菌のノンホモジナイズ牛乳をおすすめします。市販の牛乳の多くは高温殺菌し、乳脂肪分を均質化(ホモジナイズ)されています。そうではなく、搾った牛乳をなるべく本来の形に近い状態で摂取したほうが消化にはよいです。
私はモンゴルの遊牧民やタンザニアのマサイ族、ダドガ族など、牛乳を主食にしている民族の生活を現地で調査し、身近で見てきました。彼らにはアレルギーもなく、消化不良を起こすこともなく、強靭な肉体をもっています(ただ、突然死が多いんです)。
実は、彼らは日本人と同じく乳糖不耐症が多いため、その背景には、牛乳そのものの質もあるのではないか、とも考えています。
©吉冨信長・カツヤマケイコ/主婦の友社
ハムやベーコンは食べないほうがいい?
©吉冨信長・カツヤマケイコ/主婦の友社
この世界はあらゆる食品添加物に満ちています。厚生労働省はその使用基準を決めて「安全である」と言っていますが、そうとも言い切れないのが現実です。
2010年のハーバード公衆衛生大学院による大規模な研究では、1日50gの加工肉の摂取は、冠状動脈性心疾患のリスクを42%も上昇させたとしています。冠状動脈性心疾患とは、心臓に血液を供給する血管の血流が悪くなり、心臓に障害が起こる病気です。
また、国際がん研究機関は2015年に「毎日50g以上のハム・ソーセージをとることで、大腸がんになる可能性が18%ふえる」と発表しています。世界がん研究基金も、加工肉の摂取は大腸がんの原因になると発表しています。
そのほかにも、添加物は活性酸素を発生させる原因になること、腸内細菌のバランスをくずすこと、ミネラルの吸収を阻害することなどが問題点としてあげられています。
では、なぜ添加物がこんなにもたくさん使われているのでしょう。まず食中毒を防止するためです。加工食品は製造されてから食べるまでに時間がかかります。その間に安全に食べられるように使われているのです。
食品添加物が使われることで製造期間が短縮されたり、製造工程が少なくなったりするメリットもあります。見た目のよさや、味つけにも一役買っています。
少しでも加工度の低いものを選ぶことが大切
ハムやソーセージには「リン酸塩」が使われています。これは原料の肉の水分を保ち、やわらかい食感に仕上げ、色みを鮮やかにする効果があるからです。しかし、人や動物の研究で、過剰なリンが摂取されるとマグネシウムの吸収がしにくくなるという報告がされています。
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リンの安全摂取量はだいたい1日1000㎎程度とされていますが、実際の摂取量は、男性で1338㎎、女性は1190㎎。基準を超えているんです。食品添加物由来のリンによって増加していると考えられています。
食品添加物を普段の食事から完全に排除することは難しいですよね。でも、少しでも加工度の低い食品を選んだり、できるだけ食べる回数を減らしていくことが大切ではないでしょうか。
ハムやソーセージには亜硝酸塩という発色剤も使われており、発がん性が疑われています。けれども、こうした発色剤やリン酸塩を使わないで作られているものもあります。
自然食品のお店などには無添加のものもありますから、そういうものを選んで食べるようにしませんか? 添加物の少ないものを買う人がふえれば、食品メーカーの添加物に対する姿勢も変わっていくかもしれません。
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提供元:「牛乳=身体にいい」と思い込む人に教えたい真実|東洋経済オンライン