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2022.10.25

「主治医に遠慮不要」セカンドオピニオンの受け方|どんな時に必要か「ポイント3つ」を医師が解説


治療の効果が上がりやすい患者さんには多くの共通点があるといいます。その共通点とは何か、がん治療医が解説します(写真:elise/PIXTA)

治療の効果が上がりやすい患者さんには多くの共通点があるといいます。その共通点とは何か、がん治療医が解説します(写真:elise/PIXTA)

この病院でいいのか、この治療法でいいのか、受けている治療がうまくいっていない気がするが、誰に相談すればいいのか……。そんな不安が常につきまとうのががんという病気です。

たとえ同じ治療をしていても「効果が上がりやすい患者さんには多くの共通点がある」と、抗がん剤治療の名医である井岡達也氏は分析します。それは一体何でしょうか?

治療法の選択、主治医を味方にする話し方からお金の使い道など……。後悔のない治療をし、効果を最大限にするために患者側でできることを親身かつ具体的にアドバイスする同氏の新刊『がん治療 うまくいく人、いかない人』より、抜粋してお届けします(3回目)。

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1回目:もしもがんに…「治療効果を上げる」告知の受け方 ※外部サイトに遷移します

2回目:がん患者でも仕事を続けたほうがいい絶対的理由 ※外部サイトに遷移します

適した治療は患者によって違う

がんの治療には、外科手術、抗がん剤による薬物療法、放射線療法の三大療法があり、これらを組み合わせて治療を行う集学的治療もあります。どの治療法を選択するか、あるいはどの組み合わせで治療するかは、がんの種類、進行度といった、患者さん一人ひとりの病状によって変わってきます。

医師はその時点で最も適切と考えられる治療法を患者さんに提案するわけですが、ほかにもいくつかある選択肢の中から選ぶのですから、患者さんとしては「別の選択もあり得るのでは? ほかの医師の意見も聞いてみたい」と考えるのは無理もないことだと思います。

そこで、セカンドオピニオンです。セカンドオピニオンとは、言葉通り、現在診てもらっている医師とは別の医師に、第二の意見を求めることです。ほかの医師にも意見を聞きたいなどと言い出したら、主治医の機嫌を損ねることになるのではないか、と心配する患者さんもいるかもしれませんが、セカンドオピニオンは患者さんの権利として認められていますから、躊躇することなく活用すればよいと思います。

ほとんどの医師が、患者さんがセカンドオピニオンを受けたいと申し出ることを想定していると思います。他の医師への紹介状もすぐ書いてくれるでしょう。

といっても、セカンドオピニオンは必ず受けたほうがよいというわけではありません。現在診てもらっている医師と信頼関係ができていて、治療法にも納得しているならば、わざわざ受ける必要はありません。

では、どんなときにセカンドオピニオンを受けたほうがよいのでしょうか?

(1)選択肢を1つしか提示されないとき

医師から治療法を1つしか提示されず、ほかの選択肢を示されない場合は、セカンドオピニオンを受けることを考えたほうがよいでしょう。普通に通院できるほどの体調であれば、治療の選択肢が1つということはないはずです。治療法の選択肢を複数用意して、その中で優先順位があることを伝え、どうして優先順位があるのかについてや、各治療法の良い点、悪い点を説明して、患者に選んでもらうことが、医師のすべきことです。

特に、それが標準治療ではない臨床試験段階の治療ならばなおさら、医師は患者に対して効果と安全性、リスクをていねいに説明して、納得して治療を受けてもらうようにしなければなりません。

研究的な治療法には要注意

もし、「あなたにはこれがいいから、この治療法にしなさい」と、標準治療ではない研究的な治療法を主治医から勧められた場合は要注意です。その医師は自分の開発している研究的治療が、標準治療より優れていると信じて疑わないのかもしれませんが、まだ試験結果が出ていない以上、自信があっても患者に強要することはできません。

患者さんも、主治医の機嫌を損なわないようにと気遣って、希望していない治療法を選択するのはよくありません。

(2)主治医が、どうしたらいいか迷っているようなとき

「あなたのがんは、この病院では治療経験に乏しい」と言われたならば、それは患者さんが少ない希少がんなのかもしれません。情報不足にならず、最適な治療を受けるために、できればあなたの患う希少がんを扱う医療機関、医師を探してセカンドオピニオンを受けてください。

しかし、患者さんにとっても医師にとっても、希少がんは最新の情報を集めることが難しいがんです。わが国で希少がんを最も多く扱っている国立がん研究センターには、希少がんセンターがあり、希少がんの患者さん、家族のための「希少がんホットライン」が設けられていますので、まず、こちらに相談するのもよいかもしれません。

希少がんでなく、肺がんや胃がんのような患者数が非常に多いがんでも、経過が特殊な場合には、その後はどのように治療したらよいか医師が迷うことがあると思います。主治医がどうしたらよいか迷っているときは、セカンドオピニオンを受けることを考えてください。

(3)標準治療以外の治療法に興味があるとき

日本の病院では、通常、がんの患者さんはがんの種類、進行状態に対して決められた標準治療を受けます。標準治療とは、前述しましたが、今までで一番優れていると確認されたチャンピオンである、現時点で最良の治療法です。

標準だから平凡というわけではありません。現在の標準治療よりも効果が高いと実証された治療法が登場すれば、それが新チャンピオンとして新しい標準治療となります。

ところが、日本人の悪いクセでしょうか、「標準」というとイマイチで、もっと上のランクがあると感じてしまうのか、「標準」よりも「特別」とか「最新」と謳われた治療法を選びたがります。「特別な治療法」とか「最新の治療法」と形容されても、それが最も優れた治療法であることを意味しているわけではありません。

標準治療ではない「最新の治療法」が本当にベストなのか、それを確かめるために経験のある医師の意見を聞くことは重要だと思います。そのために、セカンドオピニオンを受けるという選択肢もあるでしょう。

ただし、セカンドオピニオンで説明されたのと同じ治療法を現在通院している病院でしてくれというのは難しいことがありますから、セカンドオピニオンを受け入れる場合は転院が必要になります。通院可能な範囲にある、治療実績が多い病院でセカンドオピニオンを受けてください。

セカンドオピニオンはどこで?

どうせセカンドオピニオンを受けるなら、日本一の病院や医師に受けることをお勧めします。ハイボリュームセンターに勤務する経験豊富な医師から得られる意見は、あなたの今後の治療に必ずプラスになるはずです。

ただし、素晴らしい治療成績に感動して転院したいと思っても、週に1回程度の通院も難しいような遠方の病院への転院は現実的ではありません。あとで落胆しないように、通院が可能な範囲で、セカンドオピニオンを受ける医療機関を探してください。

どこに受けに行ったらいいのかわからないという場合は、先に触れたようにウエブサイト「がん情報サービス」→「がん診療連携拠点病院などを探す」にアクセスし、がん診療連携拠点病院などのがん相談支援センターに相談するのもよいでしょう。

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セカンドオピニオンを受けたい病院が決まったら、申し込みです。その病院の窓口に連絡して、日時の予約、必要な書類などの確認をしてください。近年では、セカンドオピニオン外来を設ける病院が増えてきました。

セカンドオピニオンを受けるためには、現在の担当医に紹介状、血液検査などの記録、CTなどの画像データやフィルムを準備してもらうことが必要です。

有名な医師の場合、セカンドオピニオンの希望も多く、予約がかなり先になることがあります。病状を踏まえて、そこまでしてセカンドオピニオンを受ける意味があるのか、治療開始時期を遅らせても問題はないのか、などを主治医に確認してからセカンドオピニオンの手配をしてください。

セカンドオピニオンは公的保険が利かない自由診療ですから、病院によって費用が異なります。

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提供元:「主治医に遠慮不要」セカンドオピニオンの受け方|東洋経済オンライン

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