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2022.10.21

「買い物依存」「SNS」「お酒」うつが悪化するNG行為|しがみついてしまうことで良くない状態になる


うつが悪化するNG行為に気を付けましょう(写真: saki /PIXTA)

うつが悪化するNG行為に気を付けましょう(写真: saki /PIXTA)

コロナ禍、長く続く変化や我慢による消耗が進むなか、不安や心配事が増え、「自分にはできない」「自分はダメだ」……と多くの人が“うつっぽく”なっています。いったん、うつ状態になると、自信の低下や焦りなどから思い込みが強くなるため、周囲は本人のつらさを理解(共感)することがますます難しくなります。もしも、大切な人が “うつ”になったら、あなたはどうしますか? メンタルレスキュー協会理事長の下園壮太氏、公認心理師の前田理香氏による共著『家族が「うつ」になって、不安なときに読む本』から、“うつ”状態の人の行動パターンと対処法についてお話しします。

『家族が「うつ」になって、不安なときに読む本』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

“疲れ”は現代人のうつの一番の原因ですが、マラソンなど運動をした人が疲れてうつになるわけではありません。疲労が溜まるときに、たまたま不安や心配事が重なると、うつ状態のほうに流れやすくなるのです。

周囲はつらさをなかなか理解できない

たとえば、コロナ禍、長く続く変化や我慢による消耗が進むなか、「感染するんじゃないか」「感染したら対処できそうにない」「誰かにうつしたらどうしよう…」といった感情を抱きやすいため、多くの人がうつっぽくなっています。

うつ状態になると思い込みに拍車がかかり、自責感(罪の意識)、無力感(自信の低下)、不安感(焦り・後悔)、疲労(負担)感が苦しさを増してゆきます。その苦しさを紛らわすために、本人なりに対処しようとしますが、周囲はそのつらさを理解(共感)することがなかなかできません。

対処法の多くは、本人がこれまで行なってきたストレス解消法であったり、気分転換の方法であったりします。元気なときにはうまくいっていたことなのですが、今のうつ状態の本人を観察している周囲には、「それをやるから、うつが悪化する、それにしがみついている」と見えるため、私たちは「しがみつき」と呼んでいます。

たとえば、次のようなものがあります。

しがみつきになりやすいもの(本書より引用)

しがみつきになりやすいもの(本書より引用)

「しがみつき」は、溺れかけている人が必死に掴んでいるイバラの蔓(つる)のようなものです。イバラの棘(とげ)で手が血まみれでも、放すと溺れてしまうのですから、そう簡単に手放せません。

一方、周囲は、大切な人が「イバラの蔓」を掴んでいるのを見て「早くやめさせなければ」と思ってしまいます。ところが、周囲が無理やり引き剝がそうとすればするほど、本人はより必死に掴んでしまうのです。

さらに、「自分の苦しさをわかってもらえないんだ」という無力感(誰も守ってくれない)を感じてしまいます。イバラの蔓は、安全に掴める浮き輪を先に渡してあげて、本人が「これでもう溺れないですむ」と安心できて初めて手放すことができるのです。

いくつかの例を見ていきましょう。

お酒へのしがみつき

うつ状態では、常に不安や自責の念、無力感がつきまといます。元気なときにお酒で憂さを晴らしていた人は、うつ状態になっても同じ方法で、嫌な気持ちを一瞬でも忘れようとしてしまいます。

また、不眠の苦しさから、眠るために飲酒をしようとする人もいます。ところが、じつはアルコールは、脱水をもたらすうえに、数時間後には覚醒させる作用もあり、一番重要な睡眠の質と量を阻害してしまいます。

また、おいしいから飲むのではなく、酔うために飲むので二日酔いにもなりがちです。これが、うつ特有の波(気分の日中変動、明け方に気分が悪くなることが多い)と相まって、遅刻したり、お酒の匂いをさせながらの出勤となると社会的な信用も失墜します。すると、余計にストレスが溜まり、また飲酒をしてしまうという悪循環に陥るのです。

お酒へのしがみつき(本書より引用)

お酒へのしがみつき(本書より引用)

もちろん、受診をして薬を処方されている場合、服薬中に飲酒をすると薬が効きづらかったり、逆に効きすぎたりすることがあるため注意が必要です。そもそも、副作用を強める可能性があるため、お酒と薬は併用しないことが基本です。

手軽なコミュニケーションツールとして仕事でもプライベートでも活用されているSNSは、私たちの日常生活になくてはならないものになっています。うつになったときに、孤独を癒したり、情報を入手したりするうえでも有用です。

しかし一方で、SNSは、うつとは相性があまり良くない部分があるのです。知っておくべきポイントは、感情を過剰に揺さぶられることと、結果として睡眠不足を深めてしまうことです。

ツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどのSNSでは、友人・知人だけでなく名前も知らない人と交流することができます。多くの人と交流でき、多くの人の情報が入ってくるだけであれば良いのですが、私たち人間は無意識に自分と他人を比べてしまう傾向があります。

そのため、元気なときに、SNSで他の人が充実した生活を送っていたり、楽しそうにしていたりするのを見ると、「いいなぁ」「素敵だな」と感じるだけなのに、うつ状態で自分に自信がないときに見ると、自分だけが取り残されているような不安に駆られ、憂鬱な気持ちになってしまいます。

また、自分の書き込みに「いいね」がつかないと、自分は嫌われているとか、必要とされていないなどと感じてしまいます。その無力感や不安を減らそうと、必死に書き込みを続けたり、他の人の書き込みにコメントをつけたり、気がつくと睡眠時間を削るほどSNSに囚(とら)われてしまい、うつの症状を悪化させてしまいます。

特に若い人は、SNSによるしがみつきに陥っている場合が多いので、ご家族の方は留意なさってください。

買い物へのしがみつき

欲しいものを手に入れるのは楽しいですよね。予算を考え、計画的に買い物をしているうちは問題ありませんが、憂うつな気持ちやストレスを紛らわそうとする買い物は、注意が必要です。買い物の頻度が高いと、うつに影響が出てくるからです。

買い物をすると気分が高揚し、達成感や幸福感が得られます。それによって一時的に気分が晴れたような気もするのですが、このような買い物は、買った「物」ではなく、買う「行為(プロセス)」に囚われているため、次から次へと買い物を続けてしまいます。

すると、買い物を我慢できなかった無力感や後悔(罪悪感)が大きくなり、また支払いへの不安も大きくなります。実際に、カードローンが増えていくと、収入を得なければならないという負担感も大きくなり、自責感、無力感、不安感、疲労感が刺激されてしまいます。買い物へのしがみつきで、うつを悪化させてしまう人は少なくありません。

買い物の頻度が高い場合は、買い物をするときは現金払いにしたり、通販番組や通販カタログを遠ざけたりするよう心がけてみましょう。

しがみつきへの対処法は?

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『家族が「うつ」になって、不安なときに読む本』(日本実業出版社) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

しがみつきは、本人にとっては生きるための必死の努力ですから、まずはその行為に頼るしかない本人のつらさを理解し、苦しさに耐えてきたその努力を認めてあげましょう。

そのなかで、しがみつきのマイナス面については共有しますが、無理矢理やめさせようとしてはいけません。まずは、うつ状態への対処(疲労への対処)を優先します。うつ状態が回復してくると、自然としがみつきをしなくなることも多いからです。

それでも、しがみつきのマイナスが大きい場合は、本人とよく話し合い、苦しさを緩めるための他の方法を一緒に探していきましょう。このとき、うつの支援に慣れているカウンセラーにアドバイスを求めるのもいいでしょう。

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自粛生活に「幸福を感じた人」が口々に語る理由

寝ても疲れがとれない人がすべき「3つのこと」

50代で「うつになる人」「ならない人」決定的な差

提供元:「買い物依存」「SNS」「お酒」うつが悪化するNG行為|東洋経済オンライン

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