2022.08.01
「16時間断食は週1回でも効果がある」3つの理由|体内で脂肪の分解が始まるのは「食後10時間」
我慢も無理も、運動も食事制限もなくやせられるメソッドを、体の代謝のメカニズムとともにお届けします(写真:Jo Panuwat D/PIXTA)
1日のうち16時間は何も食べない、あとは自由に飲み食いしていいという 「16時間断食」が話題です。 我慢も無理もリバウンドもなし、キツい運動も食事制限も、ストレスもいっさいないということで、著名人も続々実践して結果を出しています。
このメソッドを実践し、1年で40キロやせたという小堀智未さんと16時間断食の提唱者である青木厚医師の共著『98キロの私が1年で40キロやせた 16時間断食』より、一部抜粋・再構成してお届けします。
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まずは「週1回」からスタートする
16時間断食の評判を聞いて興味がわいても、
「平日は仕事もあって、生活のリズムを変えるのは難しい」
「仕事中、どうしても空腹が気になってしまいそう」
と、なかなか始められないという人がいるかもしれません。
それなら、まずは仕事のない週末の1日だけ、「ものを食べない時間」を作ってみませんか。仕事のない休日はゆっくり寝ているという人も多いでしょう。いつもより長めの睡眠時間を含めれば、むしろ平日よりもラクに16時間の空腹の時間を作ることができますよ。大事なのは、始めてみること。そして、無理をせずに続けていくことです。
私たちは「健康のために1日3食、食べましょう」と学校で習いましたし、「朝ごはんは、しっかり食べないと」と思い込んできました。ところが、実は「1日3食が理想的」という考えには確固たる裏付けはないらしいのです。
それどころか、1日3回食事をとると、
・「食べすぎ」を招き、肥満になりやすい。
・体内で炎症が起きやすい。
・老化が進みやすい。
・高血糖になりやすい。
・胃腸をはじめ、内臓が十分に休むことができずに疲弊する。
など、健康と美容にダメージを与えることになるのです。
1日3回食事をとっていると、内臓は働き続けなければならないため、疲弊してしまいます。前に食べたものを消化している間に次の食べものが体内に入ってくるからです。
食べものが胃の中に滞在する時間(消化されるまでの時間)は平均2〜3時間、脂肪分の多いものだと4〜5時間程度です。胃から小腸に運ばれてからもさらに5〜8時間、その後、大腸で15〜20時間かけて水分や栄養分などが吸収されていきます。
つまり、1日3回食事をすると、前の食事がまだ胃や腸に残っている間に次の食べものが運ばれてくることになります。内臓はノンストップでフル稼働した状態です。休むヒマがありません。完全にオーバーワークです。1日3食のせいで疲れてしまうのは胃腸だけではありません。肝臓も同じ、いや、肝臓の疲れは胃腸以上ともいえます。
胃腸や肝臓が疲れて働きが鈍くなると、「栄養をしっかり吸収できない」「老廃物がきちんと排出されない」といったことが起こります。せめて週に1回でも、働きすぎの内臓のために、ものを食べない時間を作ってあげてください。
食べものを口に入れたら終わりではない
「食べる」という行為は、「食べものを口に入れたら終わり」ではありません。その後、体の中では、食べものを分解し、栄養を吸収したり不要なものを排出したりするため、さまざまな臓器が一生懸命に働いています。
体にとってはむしろ、食べものがのどを通過してからが「食事」の本番。健康や美容のためには、食事の間隔をあけて内臓にもまとまった休息を与える必要があるのです。
ものを食べない時間に、体の中ではいったい何が起きているのでしょうか。ここでは脂肪の分解メカニズムに注目してみましょう。体内で脂肪の分解が始まるのは、最後にものを食べてから10時間ほど過ぎたころからです。
食べものによって得られた糖質や脂質は、脳や筋肉、内臓などが働く際のエネルギー源や、細胞の材料として、体内で使われます。そこで使い切れずに余った分は、筋肉や肝臓に蓄えられます。
ところが、筋肉や肝臓の貯蔵スペースには限りがあります。筋肉や肝臓に入りきらなかったエネルギーは中性脂肪に変わり、脂肪細胞に蓄えられます。脂肪細胞は柔軟性が高く、中性脂肪を取り込んで、もとの数倍の大きさにまで膨れ上がることができます。これが「脂肪がつく」「脂肪が増える」といわれる状態です。ちなみに、このように無限に容量を増やすことができるのは、人体の中では脂肪細胞だけです。
長時間ものを食べずにいると、外部から糖質を補給することができなくなります。すると、体はまず肝臓に蓄えられたグリコーゲンを利用して、エネルギーを作ります。肝臓に蓄えられたグリコーゲンもなくなると、次に、脂肪を分解してエネルギー源に変えようとします。
朝ごはんを6時に食べ、昼ごはんを12時に食べ、夜ごはんを21時に食べるという人は、食事の間隔が短すぎて脂肪が分解される暇がありません。同じものを食べても「食べるタイミング」を意識して、食事の時間を10時間以上あけるだけで、脂肪が燃焼し始めるのです。
食後12時間で「ケトン体」代謝にスイッチ
最後にものを食べてから12時間ほどたつと、血液中の糖や肝臓に蓄えられた糖が完全に消費され、代わりに「ケトン体」がエネルギー源として使われるようになります。「ケトン体」とは、脂肪を分解したときに発生する物質です。
空腹の時間をつくらず、1日3食、つねに食べている状態では、全身の細胞は「ブドウ糖代謝」をしています。ところが、空腹になるとブドウ糖の供給が減少し、それにともなって「ケトン体代謝」に変化します。この変化を「メタボリックスイッチ」といいます。
細胞がケトン体代謝になると、
・抗酸化作用が発揮される(活性酸素が減る)
・傷ついたDNAが修復される
といった体にすばらしい変化が起こります。抗酸化作用、DNAの修復……美容やアンチエイジグに関心のある人にはおなじみですね。これによって、きれいになりながらやせることができるのです。
空腹の状態が16時間を過ぎると、いよいよ「オートファジー」が機能し始めます。実は、このオートファジーこそ16時間断食の最大のメリットといえるものです。
「オートファジー」とは、「Auto(オート)=自分自身」と「Phagy(ファジー)=食べる」という単語が組み合わさった言葉で、細胞が自分自身を食べて新しく生まれ変わる仕組みのこと。
オートファジーはもともと体に備わっている仕組みですが、16時間の断食によってその働きが数倍にも活性化します。オートファジーが機能すると、食べすぎや加齢による体へのダメージがリセットされ、体が内側から若々しくよみがえります。古くなった細胞が新しく生まれ変わるのです。
好きなものを食べられるから挫折しにくい
空腹の時間を作ることで、
・働きすぎて疲れた内臓を休ませてあげる
・脂肪を燃焼させる、ケトン体代謝にスイッチする
・オートファジーの働きを活性化する
と、体にとってすばらしいことが起こります。
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もちろん、毎日、空腹の時間を作ることができれば、より早く、より大きな効果が期待できますが、無理をして挑戦する必要はありません。まずは、週に1回でも、まとまった空腹の時間を作りましょう。
ものを食べない時間を作るだけ。とてもシンプルです。これを守るだけで、体に入る糖質もカロリーも無理なく減っていき、結果として食事を改善することができます。ものを食べない時間以外は、好きなものを自由に食べられます。だからストレスがたまらず、挫折しにくいんです。
1週間でたまった老廃物や、食べすぎで体が受けたダメージを週末にリセットする。そんな気持ちで、気軽に取り組んでみてください。体が確実にリフレッシュするのを実感できますよ。
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提供元:「16時間断食は週1回でも効果がある」3つの理由|東洋経済オンライン