2022.07.12
身も心も不健康な人は、食事に「白と茶色」が多い|健康的な食生活を送るには、食事の「色」を判断
白や茶色の食事だけだとカロリーオーバーになりやすい(写真:NOBU/PIXTA)
健康的な食生活を実践しようと思うと、栄養バランスやカロリー・糖質の計算など面倒なことが多く、結局、疲れて断念してしまうことも。『続食べ ~結果が出る食べ方がカンタンに続く方法』などの著書がある管理栄養士の岸村康代さんは、一生を通して“続ける“ためには、完璧を求めずむしろ「ざっくり」考えたほうがいいと提言する。豊富な栄養学の知識をもとに編み出した、ざっくりでもしっかり結果の出るチェックの方法を教えてもらった。
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完璧を求めすぎるとかえって挫折する
医者の不養生といいますが、かつての私は栄養学を勉強して国家資格である管理栄養士になったにもかかわらず、太っていて、体調も悪く、肌もボロボロ。救急搬送までされたこともあるほどです。
食べるという行為自体が「太る」と思ったり、食べた結果の状態を見ては罪悪感でいっぱいになったりして、いずれにしてもストレスに振り回されていました。
もちろん栄養学を学んで健康的な人もたくさんいますが、私だけではなく、太ってしまったり体調を崩したりする栄養士さんも多く見てきました。
栄養のプロフェッショナルのはずなのに、なぜ私のように体調を壊す不健康な人がいるのか? その原因は、単なる知識だけでは栄養の数値に振り回される可能性が高いことだと思います。
私の場合は、栄養の知識が優先されるがために、カロリーや糖質を抑え、たんぱく質、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどを不足しないように摂ろうと思いつつ、その想いが強いばかりに偏り過ぎた食事を続け、ストレスから逃れられなくなったのです。
職業病に取りつかれてしまい、スーパーやコンビニの棚に並ぶ食品の栄養成分表示を毎日のように見ては「これはダメ」「あれもダメ」「こっちはOK(食べたくないけど)」など、いつも栄養の数値ばかりに想いをめぐらせて、ため息をつく毎日でした。
もちろん、栄養成分はとても大切です。ただ私が気づいたのは、それだけでは不十分だということ。
美味しさを感じることや誰かと食べる幸せ、大好きなものを味わえるという喜び……、これらはいずれも栄養学的な数値では表せないものだということです。
「1:2」でざっくりと栄養バランスをチェックする
ストレスは思っている以上に体に悪影響を与えます。健康になるための食事で大きなストレスを抱えてしまっては本末転倒です。
そこで私が辿り着いた答えは、ストレスを消すことを最優先に考えること、でした。
その考えをもとに編み出したのが、「お手軽ワンツーバランス法」。「1:2」でざっくりとだけチェックする、栄養バランスチェック法です。
まず、1食の食事全体を見渡して、「糖質」と「たんぱく質」と「リセット食品」を分類します。
「糖質」とは、ごはん・パン・麺類、甘いものなどの「糖質食品」。
「たんぱく質」とは、肉・魚・卵・納豆や豆腐などの大豆製品。
「リセット食品」とは、野菜や海藻、きのこなど広い意味でいう大豆以外の「植物性食品」です。
それらを大体でいいので、「糖:それ以外=1:2」になっているか見極めます。
まずは、たんぱく質やリセット食品など、いわゆる「糖質オフ」と呼ばれるものあたりから食べ始めていきます。1:2よりも少ない(糖質オフが糖質の2倍に満たない)場合は、次の食事で気をつけて挽回する、糖質を少し残すなどでも大丈夫です。
ワンツーバランスは、制限することも大切ですが、むしろ“足す”イメージ。例えば手軽なものなら、サンドイッチに豆乳ラテやトマトジュースを足す、おにぎりに味噌汁とゆで卵、またはメカブを足す。こんなふうに無理のない範囲でつけ足して、約1:2のバランスだけ心がけるのです。
できれば「たんぱく質」は、「肉や卵の動物系・魚系・大豆製品系」が「1:1:1」になるように1日の中で調整すると、なおいいでしょう。
食事バランスというのは、言葉で言うのはカンタンですが、実践するのが案外難しいもの。でもこのワンツーバランスなら、「完璧な100点満点」ではなかったとしても、大枠のバランスが整いやすいのです。
まずはこんなざっくりで十分。それで栄養バランスがいつもより整うなら、やらない手はありません。ちょっと気をつけられるもので制限しつつ、手軽で効果的な食品を足す、そんな気楽な感覚でぜひ試してみましょう。
食事の“色”も判断材料にできる
もうひとつ有効なのは、食事の”色“を判断材料にすること。
食べる前に、まずは全体の色を見渡してみましょう。パンや麺、ごはんの「白」や、揚げ物や肉など「茶色」だけの人がいますが、それではちょっと惜しい。一概にはいえませんが、白や茶色だけだと多くの場合、糖質や脂質が中心となってカロリーオーバーになりやすく、その糖質や脂質を燃やすものが少ないことがあるのです。
そこでまずは白と茶色を減らして、緑や赤を増やす。それだけで、大幅にバランスが改善します。「カラダも心も不健康な人ほど、白と茶色の割合が多い」というのが、1万人以上の食べ方を見てきた私の結論です。手軽なものなら、赤はトマトジュースやスイカ。緑なら、枝豆や冷凍ほうれん草や豆苗、青汁など。他のカラフルな野菜でも構いません。
1点だけ注意が必要なのは、減らさなくていい白と茶色が2つあるということ。
1つ目は、全粒穀物。いわゆる、玄米や全粒粉パン、小麦ふすまのシリアルやオートミール、大麦などの全粒穀物は発酵性の高い食物繊維が豊富で、肥満抑制、免疫、血糖コントロールにも働く短鎖脂肪酸というものを腸で生み出すのに重要だからです。
2つ目は、大豆製品。豆腐、納豆、おからなどです。
そして、野菜もただやみくもに食べるのではもったいない。
野菜には色みの野菜とそれ以外の野菜があります。いわゆる緑黄色野菜と淡色野菜。それぞれ多く含まれる栄養成分が異なります。
だからこそ、野菜も「濃い色:淡い色」が「1:2」になっているかをチェックします。ビタミン・ミネラル・ポリフェノールなど、細かく覚えられなくても心配無用。面倒な栄養計算をしない代わりに、視覚チェックをするのが一番の基本です。
できれば1週間単位でいいので、たんぱく質食品も色で見極めます。
同じ魚でも、含まれる栄養成分が大きく異なるからです。青魚は健康食品として広く知られていますが、青魚ばかりでもダメ。赤身魚、白身魚も含め、いろいろなものを摂ることが大切です。
「食べる前の色チェック」と「ワンツーバランス」だけは、ぜひ一度抜かりなく行ってください。
「ジリジバ」で帳尻を合わせる
人間として生きている以上、食べたいという欲求、食べたくないという抵抗に逆らい過ぎると、反動が起こります。それなら、食べたいものを食べる時、食べたいものを軸に、どうしたら帳尻が合わせられるのかを考えるのが得策です。
その1つの方法としてお伝えしているのが「ジリジバ」です。
これは「順番」「量」「時間」「バランス」のことで、4つの切り口で、無理なくできることを考えます。
例えば「順番」なら、コンビニで買ったメカブから食べる、これなら順番やバランス的にもよし。
「量」であれば、ごほうびの甘いものだって、ちょっと奮発していつもより高いものにすれば、少量でも満足できるうえにカロリーや糖質の摂り過ぎにもなりません。
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「時間」は、仕事や家事の都合がついて自分でコントロールできる時だけでも、夜ごはんを1時間早めてみる。
「バランス」であれば、糖質やカロリーが多いかな?と思ったら野菜をいつもより増やしてみる。
できることをこの4つの切り口で考えること。そうすることで意外とダメージが減るのです。「これならできる」ということを自分なりに見つけることが、成功への第一歩。
「あの人はあんなに好きなものを食べているのに、なんで結果が出ているんだろう」と思う人は、必ずといっていいほどこの4つのどれかを意識しているもの。
どうしてもやめられないもの、どうしても食べたい時は、「ジリジバ」を思い出して、ぜひ活用してみてください。
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提供元:身も心も不健康な人は、食事に「白と茶色」が多い|東洋経済オンライン