2022.06.03
iPhoneの「録音機能」をもっと便利に使う裏技|LINEの音声認識AIを活用「文字起こしアプリ」も
初代iPhoneから搭載され続けている「ボイスメモ」。iOSの進化に伴い、機能は徐々にアップデートされています(筆者撮影)
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ボイスレコーダーの専用機が発売され続けていることからもわかるように、録音のニーズは、根強く残っている。もっとも、多くの場合、今はスマホでも代用することが可能だ。iPhoneにも「ボイスメモ」という標準アプリがあり、初代iPhoneの登場から10年以上経った最新モデルにも、引き続き搭載されている。会議を録音して議事録作成に生かしたり、講演を記録しておいたりと、ビジネスシーンでも活躍する機会は少なくない。
徐々に機能がアップデートされている
初代iPhoneから搭載され続けているボイスメモだが、iOSの進化に伴い、機能は徐々にアップデートされてきた。雑音を除去する機能は、その1つだ。設定メニューから録音する際のファイル形式を変えて、音質を上げることもできる。自動で付けられるファイル名をどのようにするかも、設定で変更できる項目の1つだ。
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一方で、iPhoneの競合であるGoogleのPixelを見ると、日本語の文字起こしが可能なボイスレコーダー機能が話題を集めている。AIに力を入れているのはアップルも同じだが、残念ながらiPhoneのボイスメモには同様の機能が存在しない。だが、こうした機能が必要なら、アプリで補うことができる。今回は、このようなiPhoneのボイスメモや録音にまつわる設定テクニックや便利アプリを紹介していきたい。
会議室などで録音した際に気になるのが、反響音などのノイズだ。マイクの精度が高いこともあり、人の動きなど、わずかな音を拾ってしまうのも難点。発言した人の声が聞き取れないというレベルまでいかなくても、聞き直すときに雑音が気になることもあるはずだ。iOSに標準搭載されているボイスメモでは、そんな雑音を除去してクリアな音質にすることができる。
この機能は、録音時にリアルタイムで適用されるわけではなく、録音後に編集でノイズを除去するためのものだ。再生する際にひと手間かかってしまうものの、過去に録音した音声ファイルにも適用できるのが便利だ。1時間程度の音声ファイルであれば、すぐにノイズが除去され、編集で待たされることもない。その方法は、以下の通り。
録音補正をオンにすると、環境音などのノイズが減り、クリアな音質になる(筆者撮影)
録音後に、ノイズを除去したいファイルをタップして、再生や巻き戻しのボタンの左にあるオプションのメニューをタップする。このメニュー内にある「録音補正」をオンにすればいい。ざわざわとした環境ノイズが消えて、クリアな音声になるはずだ。ただし、キーボードの入力音のように、あまりに大きい音は消すことができない。録音時にメモを取っていると、こうした入力音が混じってしまうため、今後、除去できるようになることを期待したい。
再生速度を変更、無音部分をスキップ
このオプションメニューでは、再生速度を変えたり、無音部分をスキップしたりといった変更を加えることもできる。内容の大半が頭に入っていて後から聞き返したいときや、録音された会議なりプレゼンなりの概要だけをつかみたいようなときは、再生速度を上げて聞いてもいいだろう。2段階程度、速度を上げるだけなら、聞き取りも十分できる。
逆に、英語など、母国語ではない人の言葉を聞く際には、再生速度を遅くして聞き逃しを減らすといったこともできる。さらに、オプションメニューでは、無音部分のスキップも可能。この場合、「無音をスキップ」のボタンをタップすればいい。会議の合間の休憩時間にそのままボイスメモを回してしまったようなときに、重宝する機能と言えるだろう。
ボイスメモは、初期設定のままだと位置情報に基づいたファイル名がつけられてしまう。どこで録音したのかを目印に、ファイルを探せるようにする配慮だと思われるが、正直、住所が表示されても、あまり意味がない。会社など、同じ場所で利用することが多いと、何度も同じ住所が表示されてしまうだけだ。他人と共有した際に、どこに行ったのかが丸わかりになってしまうのも難点と言える。
このようなときには、ボイスメモのファイル名のつけ方を変更するようにしたい。この設定は、ボイスメモアプリ内からではなく、「設定」アプリから変更することができる。
「設定」アプリの「ボイスメモ」では、ファイル名のつけ方や音質を変更できる(筆者撮影)
「設定」アプリを開いたら、「ボイスメモ」をタップ。この中にある、「位置情報を録音名に使用」というボタンをオフにすればいい。オフにした際には、住所や建物名などの代わりに、「新規録音 #0」(0には連番が入る)というファイル名が記録される。
ボイスメモアプリ内では時系列に並ぶとはいえ、連番で新旧がわかったほうが、ファイルアプリに保存した際などに扱いやすい。とはいえ、「新規録音」のままだと、結局は住所と同じで、ファイルの中身がわからない。ひと手間かかってしまうが、録音後には適切な名前のファイル名に書き換えるようにしておきたい。変更したいファイルをタップしたあと再びファイル名をタップするとキーボードが表れ、ファイル名の編集ができる。
録音時の音質を上げることも可能
「設定」アプリの「ボイスメモ」では、ほかにも録音のファイル形式を変えることが可能だ。標準では、「非可逆圧縮」にチェックがついており、ファイルはAAC-LCの形式で保存される。Windowsなどのパソコンに取り出すとわかるが、拡張子は「m4a」で、ビットレートは64Kbpsに設定されている。これを「ロスレス圧縮」に変更すると、録音時の音質を上げることが可能だ。
ロスレス圧縮にしてもファイルの保存形式は「m4a」で変わらないが、コーデックがALACに変わり、ビットレートも240Kbpsに上がって音質がグッと上がる。ただし、会議の議事録作成のためなどに使うには、少々スペックとして過剰だ。ロスレス圧縮はファイルサイズも大きくなるだけに、基本的には「非可逆圧縮」にしておき、歌声を録音するなど、音質を重視したいときだけ変更するといいだろう。
ワンタップですぐに録音を始められてシンプルな操作が魅力のボイスメモだが、ボイスレコーダーのトレンドとも言える文字起こしには対応していない。iPhoneの競合とも言えるグーグルのPixelが搭載し、注目を集めているだけに、同様の機能がないのは少々残念だ。そんなときには、アプリで必要な機能を補うようにしたい。日本語に対応しているアプリとして話題になっているのが、LINEが開発した「CLOVA Note」だ。
音声認識AIを活用した文字起こしアプリ
同アプリは、LINEの音声認識AIを活用した文字起こしアプリ。複数名の話者がいた際に、それらを分離して表示できたり、会話のジャンルを特定することで精度を上げたりと、Pixelに標準搭載されているボイスレコーダーよりも多機能だ。現状では「β版」という位置づけで、料金は無料。1カ月に計300分(5時間)まで利用できるが、AI学習のための音声データ活用を許可した場合は、倍の600分(10時間)に伸びる。
時間制限があるため、週何度かある会議に活用するのは少々厳しいが、ここぞというときには活躍しそうだ。実際に試してみたところ、単語レベルではそれなりに聞き取り間違いがあり、そのまま文章として利用するのは厳しい。とはいえ、文章を読むだけで、ある程度何が話されていたかは理解できそうなレベルだ。よく使う単語を登録しておけば、精度はさらに上がる。
単語レベルでは間違いもあるが、話されていたことの概要はつかめる(筆者撮影)
CLOVA Noteは、それ自体をボイスレコーダーアプリとして利用できるだけでなく、標準アプリのボイスメモなどで録音したアプリのデータを使って文字起こしをすることも可能だ。音声ファイルをアップロードする際には、ボイスメモアプリで利用したいファイルを選び、共有メニューを開いて「ファイルに保存」を選択。CLOVA Noteで「+」をタップし、「ファイルアップロード」を選んで保存した音声データを指定すると、データがアップロードされる。
英語の文字起こしをしたいときには、「Otter」というアプリが便利。こちらは、無料で使えるのが1回30分、1カ月計600分までに制限されているが、キーワードを抽出してくれる機能などがあり、文字起こしの精度も非常に高い。遅延することもあるが、リアルタイムに近い形で文字を表示してくれるため、英語の聞き取りを補うこともできる。利用頻度が高いときには、1回4時間、計6000分の「Pro」プラン(8.33ドル)にアップグレードしてもいいだろう。
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提供元:iPhoneの「録音機能」をもっと便利に使う裏技|東洋経済オンライン