2022.06.01
「稼ぎに不満がある人」に多い意外な考え方のくせ|収入と自己肯定感の知られざる密接な関係
「思うように稼げない」のは、お金に対する心のクセが原因かもしれません(写真:shimi/PIXTA)
あなたは今、自分の収入に満足していますか?「なぜか思うように稼げない人は、努力や知識や才能が足りないからではなく、マインドセット(心のあり方)に問題がある」――そう話すのは、心理カウンセラーの山根洋士氏。お金に対する心のクセに気づき、お金を稼げるマインドを身につける方法とは。本稿では山根氏の『「自己肯定感低めの人」が、一生お金に困らない方法』より一部を抜粋して紹介します。
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思うように稼げていないと感じているのは
お金をたくさん稼ぐには、新しい技術や知識を身につけてステップアップしたり、副業を始めたり、人脈を広げてチャンスを増やす必要もある、といろいろ考えて、実行に移している方が多いと思います。たしかに、それらも稼ぐ要因になりますが、でも、もし今思うように稼げていないと感じるならば、心のあり方=マインドセットに問題があります。
あなたは、今の自分の収入に対して、どのように受け止めていますか?「自分が稼げるのはこの程度だな」と思っていませんか?あるいは、「満足はしてないけれど、がまんするしかないか」と諦めていませんか?もし少しでもそう思っていたら、それが稼げない原因です。会社員であろうと自営業であろうと、心が「お金の受け取り拒否」をしていて、たくさん受け取れない状態になっているせいです。
「自分の稼ぎはこの程度だ」と思っていると、人は、その程度の仕事しか選びません。「満足してないけれどがまんするしかない」と思っていれば、自分を安売りし続けることになります。少しでも多く稼ぐには仕事の量を増やすしかなく、働き詰めになり、その結果、体を壊したり、夫婦仲や家族関係が悪くなったり……。
なぜ、そうなってしまうのか。それは、自己肯定感が低めだからです。自己肯定感とは、欠点も含めて「自分はありのままでいい」「生きているだけで価値がある」と思える感覚=フィーリングのことです。思考法ではなく感覚=フィーリングというのがポイントで、頭がよくても悪くても、成功しても失敗しても、「自分の価値は何にも左右されない」と思えることです。
たとえうまくいかないことが続いて余裕がない状況に陥っても、「ま、いいことも悪いこともいろいろあるけれど、なんとかなるでしょ」と焦らずに構えられたり、「やるべきことをやっているんだから問題なし!」「私なら大丈夫!」と、いつ何時も自分を受け入れられるのが、自己肯定感が高い状態です。
今は到底そう思えないという人も、幼いころは誰でも自己肯定感がマックスで高い状態でした。幼い子どもが、このままの自分でいいのだろうかと悩んだり、自分の存在価値を疑ったりしないのが、その証拠です。
自己肯定感は上げるのではなく、「取り戻す」
ところが、人は成長するとともにさまざまな経験を重ね、親や学校の教育、メディアやSNSの影響を受けたりすることで、他人と自分を無意識に比較し、自己肯定感が低くなってしまいがちです。こうした経緯を踏まえると、自己肯定感は上げる、というより、もともと高かった状態のものを「取り戻す」といったほうが正しい表現になります。
では、今あなたの自己肯定感はどんな状態なのかを確認するために、次の「自己肯定感チェックシート」を試してみましょう。
自己肯定感チェックシート
次の11個の質問に、「はい」か「いいえ」で答えてください。
□1 基本的に、自分が好き。
□2 自分に対して、好意的な意見を持っている。
□3 これまでの人生経験で、自分の価値を認めて、自分を大切にすることを学べた。
□4 自分を丁寧に扱い、自分にふさわしい気づかいをしている。
□5 自分の弱点や欠点は知っているけれど、あまり気にならない。
□6 自分の短所や欠点より、能力や長所をどう伸ばすかを気にかけてい る。
□7 基本的に、自分と自分の人生に満足している。
□8 自分は他人から、興味や関心を持ってもらって当たり前だと思う。
□9 自分の人生にはいいことが起こって当たり前だと思う。
□10 自分に必要以上に厳しくしない。むしろ甘やかしがちだと思う。
□11 自分に対して批判的でない。むしろやさしく励ましている。
「はい」はいくつありましたか?
・0〜3個⋯⋯自己肯定感がかなり低い状態
・4〜8個⋯⋯自己肯定感が低めの人
・9個以上⋯⋯自己肯定感が高い状態
中には、「はい」と即答はできないけれど、「いいえ」でもない、「どちらかというと、はい」と答えたくなるものもあるでしょう。そう思うものはそのままでOK。「『はい』にしたほうが自己肯定感が上がるんだよな……」などと思って変えないでください。
このチェックの目的は、今現在の自分の「現在地(心のあり方)」を知ることです。本心を無視したら、「現在地」がわからないままになってしまいます。それは、心のあり方を改善するはじめの一歩を踏み出せないことを意味します。決して、無理に自己肯定感が高い人になろうとしないでください。「いつか高くなるといいなぁ」と思うだけで十分です。
自己肯定感は、自分の価値を測る天秤
自己肯定感は、仕事をはじめパートナーや家、服など、何かを選ぶときに、心の中で天秤のように働きます。
仕事の場合、自己肯定感が低めで、「自分が稼げるのはこの程度だな」とか、「今の収入に満足はしてないけれど、がまんするしかないか」と思っている人は、高収入などの条件がいい仕事の話があっても、自分に見合わないと思って、選択肢から外してしまいます。高収入に憧れているのに、無意識のうちに、心の天秤のバランスが取れる低収入の仕事を選んでしまうのです。
念願の昇進の話が来て「ヤッター!」と喜んでも、やっぱり心の天秤のバランスが取れなくて、丁重に断ったりします。パートナーを選ぶ際にも、自分を大事にしてくれる人だと、相手への比重が重くなってしまうため、あえて自分のことを粗末に扱う人を選びます。住む家や車も同様で、新しいものや人気のものは避け、状態があまりよくないものや不人気のものを選びます。
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容姿のコンプレックスが強いとオシャレから縁遠くなるのは、素敵な服や髪型への比重が重くなって自己肯定感とのバランスが取れないと感じるため、自分はオシャレをするに値しない、と結論づけてしまうのです。
自分自身に、オシャレをして楽しむ許可を出せていない、と言うこともできます。頭では、「たくさん稼ぎたい」「いい人と出会いたい」「いい家に住んで、いい車に乗りたい」「いい服を着たい」と願っていても、それらが自分の自己肯定感に見合っていないと居心地が悪くなるため、選択の基準を下げてしまうのです。
逆に、自己肯定感が高ければ、頭で願うことと心の天秤にギャップが生じないため、選択の基準を下げる必要がなく、いいと思う人、家、車、服を素直に手に入れることができます。
仕事を選ぶときも、「自分はたくさんお金を手にしていい人間だ」と思えているため、高収入の仕事を選べます。仮に安い給料やギャラを提示されたとしても、「自分がする仕事にはとても価値がある」と思えているため、交渉する、または断る、という選択を取ることができます。
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提供元:「稼ぎに不満がある人」に多い意外な考え方のくせ|東洋経済オンライン