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2022.04.19

老後の年金が心配な40~50代に知ってほしい見識|「何歳から受け取るのか」現状把握から始めよう


年金は老後マネープランにおける最重要事項です(写真:nonpii/PIXTA)

年金は老後マネープランにおける最重要事項です(写真:nonpii/PIXTA)

「人生100年時代」と言われる中、老後のマネープランを考える際に何が最も重要なポイントになるのかを考えてみましょう。

拙著『定年ひとり起業マネー編 定年後のお金の不安を解消するならこの1冊!』でも詳しく解説していますが、マネープランは収入、資産、年金額、相続見込みやライフスタイル(消費スタイル)などによってさまざまで、100人いれば100通りのプランになります。

ただ、そこに共通する重要なポイントとして、以下の3点を挙げることができます。「65歳以降のお金が超心配な人に知ってほしい心得」(4月5日配信)でもご紹介しましたが、ここで振り返ってみましょう。

『定年ひとり起業マネー編 定年後のお金の不安を解消するならこの1冊!』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

「65歳以降のお金が超心配な人に知ってほしい心得」(4月5日配信) ※外部サイトに遷移します

1.何歳まで働くのか

2.何歳から年金を受け取るのか

3.どんなライフスタイルを送るのか

でした。前回の記事では1について触れました。今回は、2について詳しく解説します。そうすることで、さらに老後のお金の不安にどう対応していけばいいのか、わかりやすくなると考えるからです。

年金については、重要事項があります。

それは、「現状を知ること」です。

マネープランを考えるうえでも、年金の収入がどのくらいなのかを考えておくことで、行動が変わってくるはずです。実際、老後の不安を相談してくる方に「ご自分の年金がどのくらい給付されるか知っていますか?」と質問するとほとんどの方が答えられません。

どのくらいの収入があって、不足分がどのくらいあって、どうカバーしていくのかがわからないと不安はなかなかなくならないと思います。

ですからまずは年金の現状の知り方について解説いたします。

まずは「ねんきん定期便」をチェック!

50代になった現役会社員には、毎年誕生日の月に「ねんきん定期便」が送られてくることはご存じでしょうか?

50代からの「ねんきん定期便」には40代までの定期便とは決定的に違う部分があります。それは、下記の見本に記載されている年金受給額の数字が「現時点での年金額」ではなく、「60歳まで現在の年収で保険料を支払い続けた場合の年金額」になっている点です。

記事画像

外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

より現実の年金受給額に近いリアルな数字になってくるのです。

ですから、50歳になったタイミングで一度年金に関してチェックしてみましょう。具体的には以下の3点を強く推奨しています。

1.「ねんきん定期便」を熟読して、その意味をしっかりと理解する

2.「ねんきんネット」に登録して、自分の年金額シミュレーションを行う

3.日本年金機構の「窓口相談」に申し込み、できれば夫婦で相談に行く

まずねんきん定期便ですが、50 代になったらねんきん定期便にはしっかりと目を通して毎年数字がどう変化していくのかを細かくトレースしてみましょう。できれば毎年のねんきん定期便をファイル保管して、その推移がいつでも確認できるようにしておくことが理想です。

チェックポイントとしては、これまでの保険料納付実績で抜けている部分がなく正確に表示されているか、何歳から厚生年金と基礎年金(自営業者の国民年金)が受け取れて、その金額(年額)はいくらになるのかです。

私の場合は、1958年5月生まれなので、63歳から特別支給の老齢厚生年金(比例報酬部分、65歳への移行措置によるもの)が始まり、65歳からは基礎年金と厚生年金の両方の受給が開始される予定で、それぞれ年金額が年額で表示されています。

ねんきんネットでシミュレーション

次に「ねんきんネット」について説明します。

登録の仕方は簡単で、ねんきん定期便に記載されているアクセスキーをWEBサイトで入力し、自分でパスワードを設定入力するだけです。

ねんきんネットには2つの機能があります。

1つはねんきん定期便や日本年金機構からの「お知らせ」をWEBでいつでも閲覧できること。これができるとねんきん定期便をいつでも見ることができ、大事なお知らせを見逃すこともなくなります。

2つ目が「年金額のシミュレーション」ができること。

この機能を使うと、前提条件を入力するだけで、自分の年金額がさまざまなケースごとに正確にシミュレーションできます。

例えば何歳まで働いて保険料を支払うか、何歳から年金を受け取るかをいろいろと条件を変えて入力すると100歳までの年金額が算出され、棒グラフにして表示してくれます。

下図は、平均的な男性会社員が65歳で引退して年金受給者になった場合の年金額シミュレーションのグラフです。

(出所)『定年ひとり起業マネー編 定年後のお金の不安を解消するならこの1冊!』(自由国民社)

(出所)『定年ひとり起業マネー編 定年後のお金の不安を解消するならこの1冊!』(自由国民社)

65歳で仕事を辞めて年金生活者になったケースをシミュレーションしていますが、65歳以降は100歳までの収入が横一線に続き、低位安定となっています。

こちらの図では77歳までしか表示していませんが、実際にねんきんネットで画面を見ると100歳まで横ばいで続くグラフになります。

このように、何となくわかっているつもりなのと、実際にグラフで数字を目にするのとではインパクトが違います。

このねんきんネットによるシミュレーションが優れているのは、年金受給の「繰り下げ」をした時に、何歳まで繰り下げたら年金額がどうなるのかを正確にシミュレーションできることです。基礎年金、厚生年金それぞれについて繰り下げた場合のシミュレーションが可能です。

もちろん今後、年金制度改正も行われるでしょうし、5年に一度の「財政検証」という年金額の調整も行われるため、実際の正確な年金額ではありませんが、大きく違う数字ということはなくほぼ正確な金額と見ていいものです。ぜひ登録して、使いこなすようにすることをおすすめします。

ここで日本の公的年金制度について大事な特徴を説明します。日本の公的年金は、「申請主義」であり、申請して初めて年金受給権が発生する仕組みになっています。したがって、年金受給の「繰り下げ」に関して、「何歳まで繰り下げる」とあらかじめ決めて宣言する必要はありません。必要になったタイミングで受給の申請をすれば「申請した月から受給できる」いう仕組みなのです。1カ月単位で申請できて、繰り下げによって増額された年金額を終身で受給できます。

また、申請時点でまとまった金額が必要ならば、それまでの年金額を一括で受け取ることも可能です(その場合、その後の年金額は繰り下げをしなかった場合の通常の年金額になります)。会社員の場合は、基礎年金と厚生年金のそれぞれについて、繰り下げ時期の選択が
できます。

日本年金機構の「窓口相談」を上手く活用して不安を解消!

最後に、日本年金機構の「窓口相談」について説明します。これは全国の日本年金機構の年金事務所の窓口カウンターにて、予約制で1人30分間、年金に関する無料相談ができる制度です。

1人30分なので、夫婦で相談に行けば連続した予約で合計1時間の相談ができます。

かつて年金記録の喪失問題(いわゆる「消えた年金」問題)などがあったこともあり、社会保険庁から現在の日本年金機構へと組織改編された後は、とても親切な対応をしてくれて、親身に相談に乗ってくれます。予約制なので待たされることもなく、無料です。

実際の年金関連事務を行っている公的機関が行う相談なので、年金額のシミュレーションが正確で、1人ひとりの条件に合わせた試算を複数のケースを想定して自在に行ってくれます。

私は57歳で起業する直前、年金受給開始の2年前、そして年金受給開始の3カ月前の計3回、窓口相談に行きました。最近の2回分は夫婦で予約をしていきましたので、夫婦2人分の年金について1時間じっくりと相談ができました。

自分なりにねんきんネットでシミュレーションして疑問点などを整理してから相談に行けば、効率的に中身の濃い相談ができます。

老後マネープランを考える際は、わが国の年金制度についての正しい知識を持ち、考えていくことが必要ですが、自分で調べるだけでは細かく把握はできません。

実際に年金機構に行き、具体的にきめ細かなアドバイスをもらうことで、年金の現状をしっかりと把握できるでしょう。

ベースとしての年金を活用して、老後を明るく

人生100年時代において、60歳以降の40年間は長く、年金のみの収入では節約を重ねていかなくてはなりません。

金融庁のレポートによると、年金だけの収入では、夫婦で月々5万円の不足となってしまうのです。

ですから、65歳まで定年再雇用で働いたり、それ以降も将来の不足資金に備えて投資などを行って資産を増やしていくことを考えたりしなくてはなりません。

こういった老後資金の確保を考えなくてはならないので、老後の不安が増しているのです。ただ、ここで発想の転換ができます。

記事画像

『定年後のお金の不安を解消するならこの1冊! 定年ひとり起業マネー編』(自由国民社) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

65歳をすぎれば、年金が入ってきます。

つまり、起業をしたり、フリーランスで働いたり、70歳までの再雇用制度を活用して会社で働いたりする際も現役時代のような収入を目標にせずとも、ある程度働くことで不足資金をカバーできるということなのです。

できれば、50代のうちに会社員として働きながら準備をし、定年ひとり起業によって雇われない働き方に移行できれば、そのあと月5万~10万円くらいの不足額を長く稼ぎ続けることは、実はそれほど難しいことではありません。

年金制度は改正を重ねてきた歴史もあって複雑な仕組みになっているため、一般論ではなく、「自分の年金はいったいいくらもらえるのか」という正しい情報をきちんとつかんでおくことが大切になります。つまり、年金を知るということは、老後の計画のすべてに関わってくることなのです。

記事画像

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提供元:老後の年金が心配な40~50代に知ってほしい見識|東洋経済オンライン

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