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2022.04.06

サーモンが5分で「本格蒸し物」電子レンジの凄技|蒸し器を用意しなくても完璧に仕上がるワケ


サーモンの清蒸(写真:『ぼくのおいしいは3でつくる 新しい献立の手引き』より)

サーモンの清蒸(写真:『ぼくのおいしいは3でつくる 新しい献立の手引き』より)

NHK「みんなのきょうの料理」「おはよう日本」「趣味どき!」などに出演し作家としても活躍する料理家・樋口直哉さんが、「ふつうの材料で、最高においしい家ごはん」として料理の新常識を提案します。書籍『ぼくのおいしいは3でつくる 新しい献立の手引き』から一部抜粋、今回はサーモンの清蒸の作り方を紹介します。

『ぼくのおいしいは3でつくる 新しい献立の手引き』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

蒸し料理は電子レンジで

電子レンジは過少評価されている調理器具です。以前、イベントで家電メーカーの方とお話ししたときも電子レンジに関わっている方は「本当はもっと色々とできるんですけどね」とぼやいていました。上手に使われていないのは、仕組みが理解されていないから。普及率は100%近いのですから、学校の授業で教えればいいのに、と思います。

電子レンジは英語で「Microwave oven」(マイクロ波オーブン)と呼ばれ、その名前のとおり、マイクロ波を食材に放射することで、食材を加熱する仕組みです。ちなみに電子レンジという名前は当時「電子機器という言葉もあるし、なんとなく高級な感じがする」ということでついたそう。マイクロ波の性質を知るのがレンジ調理の鍵です。マイクロ波は金属に当たると反射し、紙やガラス、陶磁器などは通り過ぎる性質があります。

電子レンジにかけると食材が加熱されるのは、マイクロ波が食品内の分子を回転させ、その運動が熱エネルギーになるからです。フライパンやオーブンといった通常の加熱では、外側から熱が伝わりますが、マイクロ波の場合は全体的に加熱されます。水分子は動きやすく、しかも酸素を中心に2つの水素(双極子)が104.5度という角度でつながっている関係で回転しやすいので、マイクロ波を通すと温度が上がりやすい特性があります。

逆に電子レンジは大きい分子や、あまり動かない分子―――例えばタンパク質やデンプン――は苦手です。意外かもしれませんが凍っている水分子は動かないので、冷凍された食べ物を熱するのも得意ではありません。原理を知れば電子レンジに向いている食材は水分の多い野菜や魚介類、ということになります。水分子を加熱するわけですから、食品に水分が多いうちは温度が100℃以上にはなりません。つまり、焼くことはできず、蒸した状態に近くなります。こうした電子レンジの性質を理解すると料理の幅が広がります。

水分含有量の多い野菜や果物はレンジで調理すると栄養素の損失も少なく、色もきれいに仕上がります。加熱が短時間に抑えられるからです。また、電子レンジで加熱するとペクチンが水溶化しないため、歯ごたえがいい、という特徴もあります。

レンジでサーモンの清蒸

清蒸(チンジョン)は中国風の魚の蒸し物のこと。蒸し器を用意しなくても、電子レンジを使うと短時間、かつ完璧に仕上がります。味の決め手はナンプラー。醤油でもいいのですが、ぐっと本格的な味になります。ちなみに「清」は「あっさり」という意味で、健啖家として有名な作家の開高健が好んだ料理としても知られています。

魚の蒸し物にはハタやイシモチなど白身魚を使うことが多いですが、いずれにしても脂の多い魚が向いています。今回は入手しやすいサーモンを選びました。

レンジ調理で注意したいのは加熱のしすぎ。野菜を料理したときのように余熱の蒸らしを上手く使うと、加熱した後、油を熱している30秒から1分ほどのあいだに火が通るはずです。箸や包丁などで身をつついて、色の変化などで火の通り具合を確かめます。身がフレーク状に剥がれる手前くらいがベストです。

魚は思っているよりも火の通りが早い食材。肉のタンパク質は60℃前後でいい具合に火が通りますが、魚の場合は45~50℃くらいから固まりはじめます。魚は熱いお風呂くらいの温度から火が通りはじめることを頭に入れておくと、魚料理はぐっと上手になります。

レンジ加熱は「蒸す」料理なので、香ばしさが出ません。そこで仕上げに熱く熱した油を回しかけて、香りを出します。油はかなり熱いので火傷に注意してください。

材料(2人分)

サーモン(切り身)…2切れ
塩…適量
長ねぎ…1/2本
生姜…1片(10g)
ナンプラーまたは醤油…大さじ1/2
酒…大さじ1/2
ごま油…大さじ2
パクチー…適量

記事画像

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切り身に調味料をかけてレンチンするだけ

サーモンには薄く塩を振り、電子レンジにかけられる皿に置きます。長ねぎの白い部分と生姜は千切り、長ねぎの中心部分は小口切りに。サーモンの上にのせたらナンプラーと酒を振りかけ、ラップフィルムをかけて、600Wで2分30秒加熱します。[写真の1・2]

熱々のごま油をかけて香ばしさをプラス

フライパンにごま油を注ぎ、うっすらと煙が出るまで中火で熱します。蒸気に注意しながらラップフィルムを外し、熱したごま油を回しかけたら、ザク切りしたパクチーを添えます。食材を準備してからたったの5分で完成です。[写真の3・4]

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提供元:サーモンが5分で「本格蒸し物」電子レンジの凄技|東洋経済オンライン

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